複雑・ファジー小説

Re: 名前のない怪物【血の楔篇】  ( No.122 )
日時: 2017/03/23 11:21
名前: ルビー ◆B.1NPYOoRQ (ID: Ed6RPZhj)

——……嫌だ嫌だ嫌だ!! どうして死ななければならない!? どうしてアリアが死ななければならない!! もし、どうしても死ねというのであればわたしが生贄を捧げる。お願い、お願いします。どうかわたしの大切な者だけは奪わないでください。


『いかないでアリア!!』

『御免ね、夜明。でも私はいかなくちゃ』

『いかなくてもいい、お前がいない明日何て生きたくない……っ。皆、みんなもういないんだよ、アリアしかいなくなっちゃたんだよ、地位も名誉も金も仲間も命も……っもうないんだよ』

『聞いて夜明、私は世界を救いに行くんじゃないの。私の家族を守りに行くの』

『だったらわたしも……っ』

『私の最後のお願い聞いてくれる?』

『最後だなんて言うな! そんなん聞いたらもう二度とお前は帰ってこないだろうが!!』

『言葉遣いが悪くなっちゃってるわよ、ねぇ、夜明。ずっと笑って、幸せに生きて頂戴。それが私の最後の願い。そして、できることなら……苦しくて苦しくて死にそうになってしまっている人をどうか。助けてあげて』

『嫌だよ、そんなことしたくない、やりたくない!! アリアッ!!」

『ありがとう、夜明。本当にあなたは優しい子』

























 嫌だ、助けて、誰か、誰か———……!!
 誰が死んでもいい、どうか、仲間は、あの人だけは……っ。















『異星人も人間も全部忘れてへらへらと笑っていやがる』

『それが一番悔しい』

『誰が死んだのかも忘れて生きている』

『結局わたしは救われず、誰からも救われず自分の力でどうにかした』

『挙句の果てには余計なオプションまでついてきた』

『なんでみんながこんな目に合ったんだろう』

『異星人と人間(おまえら)も同じ目に合えばいいのに』

『ただ働き、ただ死に』




















『なんでだろ、何時の間にか社長になってたよ』

『そういう器じゃないのにね』

『面倒な奴らしかいないし、事故物件だし』

『嗚呼、—————……』

『どうしてこんなにも————なんだろうか』

『それでもやっぱり————』





























 許すことなんて、忘れることなんて一生無。