複雑・ファジー小説

Re: 名前のない怪物 ( No.136 )
日時: 2017/05/13 20:05
名前: ルビー ◆B.1NPYOoRQ (ID: mZr6nb5H)

「私と刻印を交わして魔法少女になってほしい」
「嫌よ」

 バッサリと華南は即答した。その目は彼女が嫌う意地の悪い異星人及びゴキブリを見る目とほぼ同様だった。
 そんな彼女にピンクの熊、マーニーはどこか悲し気に頭を垂れた。

「私だって……乗り気ではない……。私が望む少女は中学1年生から高校2年生まで。こんなBBA好きで誘っているんじゃない……」
「何ですってこのインチキ熊!! 何処がババアだってのよ私の!! 私はまだ30代にも突入してないわよ」
「確かに25歳だしね」
「シャチョーさん」

 マーニーの失礼極まりない物言いに思わず取り乱してしまった華南。息を切らしながら一気に話し終わる。横で夜明が思い出したかのように話しているのを聞いて思わず低い声が出る。
 そんな彼女のことなど露知らず、マーニーは首を90度一気に回転させると結廻の顔を見た。
 結廻は「ひっ」と思わず声を出した。

「此処には老人が多い……。かといって最年少の夜明(あなたさま)を魔法少女にするとワ〇プ〇ギ〇の夜の再来。それは決していけないこと」
「いやぁぁぁ!! 誰か時間を戻してぇぇ!!」
「お前もたいがいアウトだけどな結廻」

 敵に対しては好戦的な結廻でも戦闘民族でも異星人でも、心は乙女なのだ。気持ち悪いものも、虫も受け付けられない。マーニーに対し、武器を持ってきているという事実を忘れているのか取り乱しながら尻餅をついた。
 そろそろ著作権辺りが危ないので夜明は白い目で2人を見る。

「だがまだ結廻(あなた)は20代前半と言ったところでしょうな。仮面ライダーの女優ヒロインが頑張って髪を染めてメルヘンな服を着ていると考えればまだ多分恐らく大丈夫でしょう」
「そんなものになりたいと思っているのぉ? 嫌よぉ!」
(……これは、一体……)

 此の無駄な会話の間、銀狼は真面目に言われていたゴミ拾いをしていた。会話はちょくちょく小耳に挟んではいたが、まさかこんな状況に成とは思ってもいなかった。
 あそこまで嫌がる人間は……奴隷市場の商品しかいない。

「ピンクの熊さんよ、魔法少女は別の子にしてくれないかな。ちょっと痛い……じゃなくてうちの数少ない社員に魔法少女になられて星〇杖辺りを持たれても困るし」
「今痛いって言いかけたわよねシャチョーさん」
「酷いわぁ!」

 不機嫌さを隠すことなく2人は夜明に不満をぶつける。夜明は「だってさ」とマーニーに言うが、熊は納得できないのかフルフルを全身を震えさせた。

「いけない……! このままでは私の命が……!!」
「…………! 避けろ……っ」

 マーニーは思い切り結廻に飛び込もうとジャンプした。結廻は大きな悲鳴を上げるだけで恐怖で避けられない。銀狼はゴミ袋を手放し、結廻を庇う形で熊ノアタックを食らってしまった。
 その瞬間、眩い程の光が辺りを照らした。















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一応言っておきますがこれはハートフルゴミ拾い短編です。