複雑・ファジー小説
- Re: 名前のない怪物 〈オリキャラ募集二次募集予定〉 ( No.16 )
- 日時: 2016/03/24 21:37
- 名前: ルビー ◆B.1NPYOoRQ (ID: EwVeSaUz)
合歓さん
ありがとうございます!
拝見しました。よりわかりやすくなりました^^
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「藻琴(もこと)は下着泥棒についてどう思う?」
「は? 何言ってるんですか? まさか下着泥棒に転職したいんですか?」
「やだなぁ、さっき依頼の電話来たから聞いてるだけじゃん」
そう言って、月雲は大量の昼食を口に掻き込む。ちなみに、彼は要人結社の食堂でチャーハン・ラーメン・パフェ・スパゲティ・大量のパン・ハンバーガー・寿司・春巻き・サラダ……と上げたらキリがない程のご飯を食べていた。地味に彼がこの要人結社の兵糧を潰していることは夜明しか知らない。
そんな彼の目の前でサンドウィッチとジュースという月雲に比べたらすごく小食な黒い髪に赤い目が特徴的な藻琴と呼ばれた少年は怪訝な目をした。彼は月雲と虎功刀の部隊の部下であり、18歳という若さで2人に次ぐ屈指の実力を持つ戦闘員だ。
「知りませんし、知りたくもないですよ。知りたいのは虎功刀さんの急所だけです」
「俺、お前のそう言うとこ嫌いじゃないよ。でもそういうとこ、夜明には出さないよね」
「当たり前ですよ。夜明さんは素晴らしい人ですから」
「虎功刀は殺したいくせに?」
「……夜明さんには言わないでくださいね」
(多分知ってると思うけどなぁ)
ズゴーッと藻琴はジュースを一気に飲むと低い声で月雲にそう告げた。月雲は特に興味なさそうに大量のご飯を食べ続ける。
そんな彼を慣れたように観察する藻琴。藻琴は、ハッと気が付いたように肘鉄を付いていた手から顔を上げる。
「ていうか、そういう意見って女性から聞いた方が早いと思いますけど。……でもそんな直接聞けるもんじゃないですけどね」
「呉羽(くれは)—。下着泥棒ってどう思うー?」
「うわ。マジで実行しやがりましたよこの人」
藻琴が言い切る前に月雲は食堂で食器を洗っているぱっちりとした黒い瞳にややグレーがかった薄い色の金髪が特徴的な美少女——呉羽に呼びかけた。呉羽は、この要人結社の全ての家事を任されている。特出した戦闘能力はないが、丁寧な仕事ぶりから他の社員たちからは人気がある。ちなみに、呉羽は月雲にほのかな恋愛感情を抱いているがそれは女社員しか知らない話。
藻琴はそんな常識はずれな月雲を若干呆れたような視線で見た。
呉羽は突然の声に驚き、洗っていた食器を落としかけた。慌てながらもパタパタと月雲に駆け寄った。
「ど、どうかしましたか……? すみません、わたし、集中してたので話が聞こえてこなかったのですが……」
「下着泥棒ってどう思う? あんまり聞かない言葉だからピンと来ないんだよね」
(この人に羞恥心って言葉はないのか?)
呉羽は一瞬、面食らったような表情を浮かべた。そして、次の瞬間にその言葉を理解すると、普段口数が少ない彼女からはあまり想像できないほどに顔が赤くなった。
そして、モジモジしながら、
「あ、あの。わ、わたしそういうの経験したことないから想像でしか言えないんですけど……。やっぱり下着泥棒はよくないと思います……。盗まれた女性の方はきっと恥ずかしいし、不快な思いをするから……」
「ふーん。そうなんだ」
「聞いといて適当な反応ですね」
一生懸命答えた呉羽に対してあまり興味を示さなかった月雲。藻琴は思わず真顔で突っ込みを入れた。
「呉羽。チャーハンお代わり」
「は、はい! どうぞ」
(……そういえば何で呉羽さんいつも月雲隊長のご飯心なしか多く次いでんだろう)
普段も奥ゆかしい彼女だが、月雲を前にするとさらにそうなっている気がする。藻琴はそう思ったが、その答えが導き出せないので首をかしげるだけにした。
「……夜明さんと虎功刀さんは」
「あー。2人なら外だよ。下着泥棒を追うんだってサ。夜明曰く『下着泥棒(じけん)は会議室で起こっているんじゃなくて現場(女性の住んでいるアパートのベランダ)で起こってるんだって』」
「また著作権侵害しかけてますね」
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「ウゲホァァァァァァッ!!」
「キャー! 人が血を吐いたわ! 救急車——っ!!」
「ちょ、奥さん! 違いますから。これ血糊(っていう設定)ですから」
——……そのころ、犯人を捜そうと探索していた夜明と虎功刀だったのだが。早速夜明が血を盛大に吐き出したことで下手したら下着泥棒より町をより騒がせてしまっている2人がいた。