複雑・ファジー小説
- Re: 名前のない怪物 〈オリキャラ二次募集予定〉 ( No.27 )
- 日時: 2016/04/08 14:45
- 名前: ルビー ◆B.1NPYOoRQ (ID: kkPVc8iM)
合歓さん
虎功刀はいつでも苦労人です。むくわれません。たぶん隕石に直撃するぐらいの苦労人です。
戦闘員のほとんどが脳筋といっても過言ではありませんw
逆に裏方人は頭がいいです。更新頑張ります!
———
「社長! これ、間抜けな看守どもからスッてきた“例の物”です」
「ご苦労元スリ師」
「社長! こっそり倉庫から資料持って来やしたぜ!」
「ご苦労元空き巣」
殺風景な牢獄の中、夜明はそこにいた。鬱屈したような絶望に満ちている——と思えばそうでもなかった。むしろ今まで以上にのびのびしているような気がする。
これまででも異様なのだが、それを強く推している面がある。それは周りにいる夜明よりも前からの犯罪者たち。強盗・空き巣・暴行など上げていったらキリがない。ただいるだけであったのならばまだ普通だといいようがある。だが、確実に夜明を囲んでいる囚人たちは彼女を王のように祭り上げていた。
そして夜明は彼らの得意分野を生かそうと少し頼みごとをしていた。そして見事彼らは夜明の望むものを持ってきたのである。
「へへっ。政察(せいさつ)が留守にしているのもあってかそこら辺の看守の目を欺くのは簡単すぎましたぜ」
「バカヤロー、社長の前でそんな陳腐なこと言ってんじゃねーよ。社長に比べたら蟻が1センチ動くのと一緒なんだよ」
「メンズども静かに」
夜明は淡々とした口調で口論になりそうだった囚人たちを宥める。すると、彼らは先ほどの荒々しさが嘘のようにおとなしくなった。夜明は彼らが持ってきた資料を読み漁る。
彼女は読むスピードが職業柄早いので分厚い資料でも3分ほどで読み上げた。
そして、気になるページに戻すと、
「……こいつは」
「こいつですか?確か……2年前ぐらいに下着泥棒で捕まってたやつですね。あんまりおしゃべりな奴じゃなかったからよくは知らねーんすけど……。あ、あと殺人未遂でもあったんですよこいつ。人のこと言えないけど20歳のくせして牢獄(こんなとこ)に来たなんてありえないですよねー」
ははは、と30代後半の元空き巣は空笑いした。周りの囚人たちもつられて笑う。だが、夜明は表情を崩すことはなかった。
「その口ぶりだともう出所したの?」
「ええ、つい3か月ぐらい前ですよ。まともに生きてたらいいですけどね」
(……虎功刀と捕まえたアイツは30代後半……。依頼人の内容からしてアイツほど丁寧に下着なんか盗んじゃいないってことは……)
「社長?」
しばらく考え込んだ夜明に囚人みんなが心配そうな面持ちで見つめる。そして夜明は何を思ったのか立ち上がり、前を歩いた。そして、牢獄のコンクリートの壁に手を当てる。
「悪いなメンズども。わたしは用事ができたから帰ることになってしまった……。だがお前らは来るな。罪を償うんじゃ」
「わかってるよ社長! 俺ら、アンタが来る前まではこんな世界くそくらえって思ってたけど、アンタと出会ってから価値観が変わったんだ! こんな犯罪者でもあがいていれば羽生○弦みたいに輝けるんだって!」
「俺たち……頑張るから! その時にはまた会えるよな社長!」
「さらば」
夜明は拳一発で壁を破壊すると華麗に落ちていった。囚人たちの歓声を背に受けながら。
「やっぱ……社長はすごいぜ……!」
4
「……そろそろ動かねーか?」
「いえ、まだ奴がどんな下着をよく狙うのかしっかり話しておかねば」
そのころ虎功刀は。
まだ男の下着談議について一方的に花を咲かされていた。