複雑・ファジー小説

Re: 名前のない怪物  〈オリキャラ二次募集予定〉 ( No.29 )
日時: 2016/04/15 19:19
名前: ルビー ◆B.1NPYOoRQ (ID: kkPVc8iM)

合歓さん
いやー、更新が遅くなっていて本当に申し訳ない限りです。
虎功刀はおもっくそ被害者です。下着は10代後半から20代前半が採れたてだとか、色はやっぱり黒で攻めるべきだとかDカップ以上の下着は最高だとか言われてます。彼は迷惑なだけです。
更新頑張ります!





——
「おい源五郎、いつまでここにいる気だ?」
「しっ。お静かに。息をひそめるのです」
(帰りてぇ)

 真夜中のアパートのベランダ近くの路地裏に虎功刀と元・下着泥棒である本名、栗林源三郎(くりばやしげんざぶろう)はいた。
 虎功刀はなんだかんだで5時間ぐらい彼につきっきりだ。顔はすっかりや攣れていた。そんな彼とは真逆で源三郎の顔を引き締まる。ベランダには下着があるからだ。——と、いうこともあるだろうが彼は己の正義のために真の下着泥棒を発見しようとしているのだ。

「奴の行動パターンではそろそろここに来るはず。さぁ、ご準備を」
「準備っつってもなぁー……」

 虎功刀は頭を掻きながらベランダを見上げる。
 すると、気配を感じた。虎功刀はほぼ反射的に前へ乗り出す。すると、ベランダに真夜中の闇に扮しつつある影が向かってくる。虎功刀は源三郎の首襟をつかむと、

「……来たようだぜ下着泥棒ってやつが!」
「ああっ。首を掴むのはお止めいただきたい。命の灯が消えそうです」
「おらあっ!」

 悲鳴を上げる源三郎など露知らず、虎功刀は彼をベランダにいる影にブン投げた。源三郎は見事影に命中する。そして、一緒になって2人は真っ逆さまに落ちていく。
 余談だが、下着を盗まれそうになっていたアパートの住人はまだ仕事が終わっていないのかかなりの轟音を立てたというのにベランダからは姿を現さなかった。

「大人しくしてもらおうか」
「……っ」

 ガッと、虎功刀は黒いマントを頭から羽織った人間をうつ伏せ状態のまま片腕をひねりあげ、その背に乗る。虎功刀の高身長と体重では黒マントは抵抗すらできないだろう。
 源三郎はぶつかったショックで気絶していたが、とりあえず真犯人は捕獲したので良しとしよう、と思っていた虎功刀の前に夜明が現れる。

「めっちゃ探した」
「……社長! どうやって出てきたんだよ」
「普通に壁から」
「それは普通じゃねぇ」

 夜明の斜め359度ぐらいの行動に虎功刀は肝を冷やした。彼女の前ではすべての要塞は豆腐のように崩れ落ちるというのだろうか。
 ふと、虎功刀はそう思った。彼の考えはさておき、夜明は真っ先に黒マントのところへ向かった。

「まさかわたしら要人結社が一杯食わされたとは思ってもみなかったぜ」
「……どういうことだ、社長?」
「最初から犯人って設定はわたしらか、そこにいるランジェリーオタクってことになってたんだよ。……依頼が来た瞬間から」

 夜明は無表情ながら気に食わない顔で黒マントの顔の真正面にしゃがみ込む。そして、手に持っていた書類を思い切り黒マントへ叩き付ける。

「うちのエンジニアも、頭のいい医者もわからなかった。そしてわたしも。気づいたのは囚人たちが看守どもから取ったデータで気が付いた」
「おい社長今聞き捨てならない言葉が」
「気づくはずないわー。だって、そういう証拠はアンタんとこのお家が潰したんだもんね」
「聞けよ!」

 夜明は虎功刀の言葉を無視する。

「でももう終わり。アンタも、家も全部終わらせてやる。……わたしを嵌めやがったお詫びとして。……ねぇ」

 そう言って、夜明は乱暴に黒マントを剥いだ。