複雑・ファジー小説
- Re: 純白のサスペスト ( No.14 )
- 日時: 2016/06/08 21:31
- 名前: いんばーす (ID: P/D0CuiW)
一章 純白のサスランス
十四話 樹海
「まず、乗客は見捨てる。」
「まあ極悪非道とか言い張るくらいですからそうでしょうね。」
「飛行機が墜落寸前の距離になった瞬間、ヤバルが俺達を掴んで空気を殴って横方向に飛んでいって逃げる。」
「…」
「…」
「どうした?」
「いやあ、思ってたよりありふれた作戦だったなって…」
「…すまんかった。」
「てか、もうちょっと安全な作戦はないのか。」
「おい、お前ら来たぞ。一番安全な道の予測ができた。」
「本当か!?サスランス!」
「ああ、実はこの中にもう一人能力者が潜んでやがった…予測の中に出てきた。」
「本当ですか?さっきの10秒で見つけれていなかったのでしょうか。」
「こいつだ。副機長のこいつだ。」
「こいつはもう死んでやがるぜ?どう関係するんだ。」
「あなたの能力、用途豊富ですね。」
「そんなことはねえぜ、今回もたまたまだしな。」
「で、どう関係するんだ?」
「闘って勝てば生き残れるらしいぜ。」
「闘ってって…こいつもう死んでるじゃねえか!」
「どう襲ってくるかわからんし、俺に言われても…」
「おい、サスランス。いつ襲ってくるかわからんから気をつけろよ。」
影人は突き刺さってる飛行機の状態を窓から見ながら言った。
「…サスランス?」
後ろを振り返ると、ついさっきまで話していたサスランスたちが消えていた。
「何だここは?」
樹海のような風景だった。道がある。
「一体何なんだ…」
といって前を向き直すと、飛行機を見てたはずの窓もなかった。
…後ろの道を進んでいくしかないのか?
はぁ…とため息をつき、影人は歩きだした。
影人が7歩目の足を踏み出そうとした瞬間ー
ガッ、と後ろから肩を掴まれる感触があった。
影人は思わず後ろを振り向いた。
すると謎の人型生命体があった。
いや、生命体なのか?
「うおあ!?!?」
影人でも叫ぶレベルの驚きだった。
「な…なんだ!?」
「…」
「ま…まさかこれが副機長の能力なのか…!?しかしこの人型の生命体は…?」
「この樹海で永遠に生きるといい…」
「しゃ、喋った!やはり能力か!」
「俺は…死んでなどいない…」
「な!?思っきり血口から出して死んでたのは…?」
「あれは…偽の副機長だ…」
「助かりたくば…進め…出口は…向こうだ…」
「お前の言葉に従うわけにはいかないな。信じることはできない。」
「そうならば…永久にここを出れることは…ない…」
確かに言うとおりだった。樹海に囲まれたこの地は、この道を進む以外には出る方法がなさそうな感じだった。
「この道を進めば何があるんだ。」
「言っただろう…出口…だと。」
「チッ…進むしかないのか…」
そういいつつ、影人は進み出した…だが!
ガッ。
「まただ!また何かに掴まれたぞ!」
「今お前は…サスランスに掴まれている…」
「サスランス?何を言ってるんだ!」
「影人!?」
「どこ進んでんだお前!」
「なんでしょうか。これは。影人さんも何も言葉を発さないし、私達の声も聞こえていないようです。」
「しかも…俺達はこの影人に触れることができているが…」
「シートをすり抜けているぞ…!?」
「意味わかんねえ!どうなってんだ!!!」
「サスランスは出口にいくなととめてくれているのか?」
「…そうともいえる…」