複雑・ファジー小説
- Re: 純白のサスペスト ( No.15 )
- 日時: 2016/06/17 01:09
- 名前: いんばーす (ID: P/D0CuiW)
一章 純白のサスランス
十五話 本物
「そもそも…ここはどこなんだ!?」
「樹海だと言っているだろう。」
「なんで樹海なんだ!?俺はさっきまで飛行機の窓を見ていた!!!樹海とは無縁の上空にいたんだぞ!?なんで樹海にいるんだ!!あとお前誰だよ!!」
影人はいきなり背中に赤ちゃんが乗ったような重みを感じた。
「!?なんだ…?」
何も触感は無かった。
副機長の何かだと思った。
「副機長だ…と言っているだろう…お前は今俺の術中に…はまっているんだ…」
「じゃあお前を殴れば済むってことだな!『次元掌握』!!!」
影人は能力で姿を消した。
「グボアッ!!!」
謎の生命体は、腹を殴られ吐血した。
「フフフ…匙本影人…お前の死はたった今…確定した。
私を殴ったことで…お前は死ぬんだ。」
「ハッタリぬかしやがって!!どうやって俺がこの状況で死ぬんだ!!」
「フフフ…さあ…出口は向こうだ…」
影人は一歩踏み出した瞬間…
地面の中に堕ちていった。
影人の視界は戻った。さっきまでのように飛行機の中に…いたはずたった。
上は…青い空。そして飛行機。
下は…パナマ運河。白い雲。
今自分は…運河に向かって飛び降りている状態にある。
「なぜだ!?なぜこんな状況なんだ!?さっきの副機長ってやつのせいか!?」
「うわあああああああああああああ!!!!」
「はっ!?」
バサアッ。いつの間にか背中についていたパラシュートが大きく広がった。
「パ…パラシュート!?飛行機には搭載されていないはずじゃ…」
「そ…それにしても、下は運河だ!!どこに着陸すればいいんだ!?」
「あ!!あそこに孤島があるぞ!!」
影人はパラシュートに身を任せながら孤島に向かって行った。
一方、サスランス達は、本物の能力使いを発見した。
「まさか…CAに紛れて女装していたとは…」
「おいヤバル!!影人の状況は見えるか!!」
「見えねえよそんなもん!!でも多分あいつだから大丈夫だ!!」
「これで大丈夫じゃなかったらどうすんだよ…まあいい。今はこいつの処理だな。」
「ですね。どうしましょう。」
「ひっ…許してくれ…影人は殺しちまったけど…許してくれえ!!!」
「無理だな。それに影人もおそらく生きてる。ヤバルが変な心配して持ってきたパラシュートが役に立ったぜ。」
「あとで影人に宝石おごってもらおーっとぉ。」
「いいですね。私もついでに頂きたいな。」
「はぁ…ナルバもヤバル俺に押し付けかい。しゃーねえな。」
どうやら紳士の男の名はナルバらしい。
「助けて!!影人も生きてたんだ!!許してくれよお!!」
「俺が思うに…命乞いをしてる姿が人間の中で一番滑稽な姿だと思うんだ。」
影人は無言で殴り続けた。
「うわぁぁぁあああ!!んごむこんぐが…」
「お前には陸につくまで黙っててもらうかんなー。あ、そういやお前飛行機の何かしら持ってるか?それくれたらガムテは剥がしてやるぜ。」
女装CAは首を横に振った。
「おっかしーなー。どうやって助かるんだ?」
「もっかい予測してみたらぁ?」
「それもそうだな。」
「しかしおかしいですね。この飛行機まだ動きませんよ。空気壁にまだ支えられてる感じです。」
「確かにおかしいな。仮に空気壁のやつが生きてたとしてももう支える意味はないはずだ。」
ヤバルは立ち上がろうとした。
ガンッ。
「いってえ!!!」
「まさか…空気壁か!?」
「そのとおりだ。操縦席から出てきたやつは私の部下だ。邪魔だったから切り捨てがてら適当に時間稼ぎさせておこうと思ってな。」
「こいつか!!本当の『大気造壁』の能力使いは!!!!」
「さっきまでは適当に壁を作っていたが…本気でかかる!!」
ドオオオオン!!!
飛行機を支える壁が消えた。
「相手はおそらく素早いぞ!気をつけろよ!」
「もう遅い!!」
といって、能力使いはナルバに向かって蹴る動作をした。
「まさか!?」
サスランスは瞬間的に能力を使った。
ナルバに何も言わない…大量出血てナルバが死ぬ。
避けるように言う…ナルバは死なない。
まずい!
「ナルバ気をつけろ!一度ジャンプして飛んでくる壁を避けるんだ!!」
「なっ…!?」
ブシュアッ。
ナルバは避けるのが数瞬遅れたせいで前に出していた左足が吹っ飛んだ。
「うわあああああああああああああ!!!!」
ナルバの叫び声が飛行機の中に轟いた。乗客はどよめいている。