複雑・ファジー小説
- Re: 純白のサスペスト ( No.2 )
- 日時: 2016/03/14 23:31
- 名前: いんばーす (ID: sq.MYJuj)
一章 純白のサスランス
二話 超元能力
カフェ「サークインベス」。
F区で知らないものはいないと言えるほどの人気カフェである。
平日の昼過ぎなので客は少なかった。
落ち着いたところで大男と話す。
「そもそもあんた。まだ名乗ってねえよな、名乗れ。」いつもどおりの口調で聞く。
「そういえばそうだったな。俺の名は匙本影人(さじもとかげと)君よりひとつ上の18歳だ。君に可能性を感じてここに来た。」やはり日本人だったようだ。そういえば、高校で日本語を専攻していたから、最低限は喋れたな...
「影人と言ったか。俺に可能性とはどういうことだ?」
「サスランス。お前は喧嘩で4回投獄されたそうだな。しかも3回目の投獄では23対1の戦いをして勝ったと聞いている。」
「ああ。確かに23対1で勝った。だからなんだってんだ?」
「しかもその23人は銃を持った大人だったんだろう?普通の人間がまず勝てるわけがない。そこで聞きたい。サスランス。」
「聞いてやるよ。」
「なにを言ってるかわからないかもしれないが...お前は、喧嘩をするとき、なにかを感じ取って喧嘩をしていないか?」
...なにを言ってるかわからない...
「意味がわからねえよ!その質問!」
少し苛立っただけで一発少し殴る性格の俺には、影人を殴らないわけにはいかなかった。
いつもどおり拳を出したその瞬間、影人は目の前から消える。
サスランスは臆病スキルで動けない。
「俺は、おれ自身が勝手に名付けただけだが、超元能力という能力を持っている。」
「俺は15歳の時、親から聞いただけだが、双子の兄をなくしている。その日から俺はこんな自分を他人の視界から消える能力を使えるようになったらしい。」
双子を...なくした...?親から聞いたということはその事を自身は知らないということか?俺と全く同じじゃないか。双子がいなくなった時に能力発現...俺もたしかそれくらいに喧嘩が急に強くなり始めたな。
他人の視界から消える...か。さっき目の前に現れたのも能力を使っていたってことか。
「俺はこの能力を『次元掌握』と呼んでいる。名前の由来はただ俺の好きな本のタイトルをとっただけさ。」
「そして...君の能力、俺が察するに、ここをどうすればこういった連鎖が起こる、というのを探知できる能力とみた。」
「要約すると『未来の連鎖の予知』ってことか...?」
自分で言うのもなんだが、不良と言いつつ普通に頭がいい。一度、学年三位まで行ったこともある。
影人の言葉の意味も、すぐ察せた。
「俺は...自分が見たこともない双子の兄を探しているんだ。」
「...奇遇だな、俺も自分が共に生活した記憶もない双子の弟がいたらしい。弟が消えてから急に喧嘩も強くなった。」
「...!本当か?」初めて影人は驚きの表情を見せた。
「で、俺になんのようなんだ?」俺は聞いた。
「俺たちは双子を失うと同時に能力を発現した。関連性があると思わないか?俺はその関連性を突き止めると共に、さっきもいったが、兄を探す。それには超元能力を使える人間が多い方がいいじゃないか。俺の旅の手伝いを頼みたい。」
俺はそれをすんなりと承った。
どうせ学校もなんの変化のない毎日なら、影人についていく方が楽しいと考えたからだ。それに自分の能力についてもっと知りたいからだ。
3日後、F区を後にして、俺たち二人は長い長い旅を始めたんだった。