複雑・ファジー小説

Re: 純白のサスペスト ( No.4 )
日時: 2016/03/14 23:41
名前: いんばーす (ID: sq.MYJuj)

一章 純白のサスランス
四話 刺客

研究室を飛び出して2日後、イギリス、ウエスト・ブロムウィッチにやってきた影人とサスランス。気づけばサスランスの頭のなかではまた『ボク』の声が聞こえ始めた。
『もうイギリスについたんだね。早くボクのところへ来なよ。』
「つったって、お前どこにいんだよ。」
「もう見えてるよ。目の前にいるじゃないか。」
その言葉を聞き、辺りを見回す。自分の視界に写るのは、20m先くらいに切り株に腰を下ろしている美しい女性ただ一人だ。
「向こうにいるあの女性のことか?」
『...どうかな?』
その言葉を耳にし気配がしたので後ろを振り替えると、1m先には160cmくらいかという低身長の少年がこっちを見ていた。
「...お前か?」
「そうだとも。このボクが超元能力『全能伝導』を持つナット・エイピングさ。」
「何!?超元能力と言ったな!?」
影人はいきなり驚いた。
「だからなんだよ。」
「超元能力って名前は俺が勝手につけた名前...」
「そうだね。でもボクのおかげで『超元能力』ってのは『あの人』もアンタが名付けたのを知ってる。」
「『あの人』?誰のことだ?」
「それは...教えられないね!それより後ろ、大丈夫?」
サスランスが後ろを向いたその瞬間、影人が耳から多量の血を出して倒れた。
「影人ォ!!!」
「おっとお。その場でお前も死ぬんだ。動いたら倒れたこいつを撃ち殺す。」
「...そうか。」

ナットとやらをぶん殴る。...影人が死ぬ。
影人の方に向かう、。...俺と影人が死ぬ。
ナットに3歩近づく。...影人が死ぬ。

「あと五秒で下に倒れてるのを殺す。」
「5...」

ナットの銃を持ってる方向に一歩スライド。...俺が死ぬ。
ナットの銃の持ち手と逆側に一歩スライド。...俺が死ぬ。
動かない。...影人が死ぬ。
まずい。策がないのか?

「2...」

そうだ。俺は胸ポケットにいつも2×4×1立法センチメートルの鉄板を入れているんだった。

鉄板を投げる。...俺が死ぬ。
鉄板を弾丸の弾道にかざし、弾丸をとめる。...スキができる。

来た。これだ。
しかし、向こうが銃を何発撃つかわからない。それを俺が鉄板一枚で全て止めるという無茶なことかもしれない。でも、やるしかない。

「0。」
ナットは弾丸を撃った。
俺は一瞬横目で影人を確認して、弾丸の弾道に鉄板をかざす。
心臓を狙うのは普通に予測できた。
ナットは2発撃っていた。俺は次頭を狙うと予測した。だが、もう一発心臓に撃ってきたのだ。
俺はすかさず慌てて鉄板を影人の心臓に向かう弾道の位置に戻した。この瞬間、サスランスはおかしいと感じた。
(なんで俺は今、鉄板の位置を影人の心臓への弾道に戻せた?)
サスランスは気づいていない。だが、影人ははっとして意識をとりもどしたその瞬間、見えた。
サスランスの右腕に青色の腕がもう一本高速で動いたようにみえた。
カン、カンと、2発の弾丸をサスランスは鉄板で弾いた。
「なっ、なにィ〜〜〜〜〜!?」
「今がチャンスだぜ!」
瞬間、サスランスは一気にナットに近づき、拳を10発ほどいれた。
「オラァ!!」
ナットは吹き飛ばされた。気絶している。
急に始まった殺しあいは、時間にして34秒の戦いだった。
さっきいた美しい女性は、いつの間にかいなくなっていた。
「こいつには吐かせてもらうことがある。連れて帰ろう。」
「わかった。」
サスランス達は、影人の研究室に戻っていった。