複雑・ファジー小説
- Re: 純白のサスペスト ( No.9 )
- 日時: 2016/04/19 23:16
- 名前: いんばーす (ID: sq.MYJuj)
一章 純白のサスランス
九話 奈落
空港爆破により未だアルゼンチンにいる一行は、近くのホルヘ・ニューベリー空港へと向かっていた。
「ホルヘ・ニューベリー空港でもニューヨークへの路線はある。今度こそ飛行機に乗るぞ。」
「なんで直通便がねえんだよ。使えねえなあ。」
「しょうがないでしょぉ。ないものはないんだからぁ。」
「着いたぞ。お、丁度よくあと1時間半後に出航する便があるぞ。あの飛行機にしよう。」
「了解。」
「らじゃっ。」
チケット購入完了。
「時間もあるし飯でも食うか?」
「賛成い。」
「つっても、飲食店なんて近くにあったか?」
「あるぞ。あそこに一店だけだが。」
影人は出入り口付近にある飲食店を指差した。
「はやくいこお。腹すっかすかだよお。」
「あやっしいなぁ。」
「飲食店で刺客に会うようじゃあ、俺たちも不運ってことだよ。行くぞ。」
「もうすでに不運なんだが...」
「いらっしゃいませ〜!」
可愛い服を着たメイドが案内してくれる。
「ここアルゼンチンだよな?」
「雰囲気違うねえ。」
「まあこんな店もあるだろう。メニューを見せてもらえるかな?」
「メニューはこちらになります〜!」
可愛い店の雰囲気とは裏腹に、アセード(焼いた牛肉)などガッツリアルゼンチン料理のメニューだった。
「...逆になんか安心したわ。」
「お前ら決めたぁ?」
「もうちょっとメニュー見させろや。」
「すいませーん!」
「はいー!」
今度は紳士的な服を着た男の人が出てきた。
「注文はお決めになられましたか?」
「ああ、エンパナーダとバリジャーダと...」
「おっと、申し訳ないです。先に当店の仕組みをご存じでしょうか?」
「いえ、始めてきたので。」
「では説明を。当店ではこのようなサービスをさせていただいております。」
紳士的な服を着た男が合図した瞬間、サスランス達のテーブルの地面が消えた。
「なっ---」
「まずい!地面が見えねえ!!」
「これ...もしかして永久に落ち続けるのか!?」
「堕ちろ。サスランスども。私の能力『永久奈落』に。」
「このままじゃ3人とも永久に落ち続けるぞっ!」
「お前ら!俺の手を掴め!!」
ヤバルは叫んだ。
「早く!!穴が閉じてきてる!!」
何もいわず、サスランス達はヤバルの手を掴んだ。
「絶対に離すなよッ...!」
「うおああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
ヤバルは空気を殴った。謎の反発が起こりヤバル達は上にとんで行く。
「があああああああああああああああ!!!!!!」
穴はぴったり3人分が収まりそうな大きさの穴ぐらいまで小さくなっていた。
「があああああああああああああああ!!!!!!」
ギリギリのところで、ヤバル達は穴から脱出した。
「何イィィィイィィイ!!???」
「はぁ、はぁ、マジで逝っちまうとこだった。俺はもうたてねえ。コイツを倒してくれ...!」
ヤバルは気絶した。
「ふん!気絶したのは運の尽きだな!もう一度穴を生み出して永久に落としてやるわ!!!しかし...あと一分耐えなければ...あのサイズの穴はあ...!!!」
「させるかよ!!!」
サスランスが紳士服の男に歩み寄ろうとする。
「ふん!!!」
足を置く地点にちょうどサスランスの足にぴったりな穴が生成された。
「何!?抜けねえ...!!」
「穴は2つまでは同時に作れる...お前の埋まった足が切断したりはできないのは悔しいがな。」
「なんだこいつは...!動いても穴を生成され、止まってても奈落におとされる...なんて強力な能力なんだ!?」
「影人まずい!あと15秒で一分だ!」
「わかってるぜ。そんなこと。」
「何がわかってるぜ。だ!!!味方一人の命がかかっているんだぞ!?単純に死ぬよりももっと恐ろしい結末を友人が迎えるんだぞ!?」
「うるせえな。あと4秒にまで減らしやがって...」
影人の姿が消えた。
「影人...姿を消したか。だがもう遅い!!!穴はもう完成したぞ!!はァ!!!」
足元に大きな穴が開いたのは気絶しているヤバルではなかった。
「なっ...」
サスランスの足元に、大きな穴が空いた。