複雑・ファジー小説
- 第1話 patr1続き ( No.8 )
- 日時: 2016/04/08 11:41
- 名前: 囚人D ◆7cyUddbhrU (ID: 9/n2KZgq)
性分に合わない任務を続けさせられるほど苦痛なものはない。それだけは勘弁だとゴウは首を横に振る。
”確証がない”と言う事はつまり、敵が居ない可能性だって十分にありえる話だった。その場合、居もしない敵に警戒を向け続けることになる。ゴウにはそれが耐えられなかった。
「だいたい、バケモンが出た時にぶっ倒せば済む話だろうが。んな無駄なことやってられるか」
「無駄なものか」
しかし、オッサンはゴウの吐き捨てた言葉に否定の言葉を返した。怪訝な表情を浮かべるゴウに対し、オッサンは間髪入れずに口を開く。
「大前提として、俺たちは”東京エリアの治安活動と防衛”のために動いてるんだ。所詮『この任務(バケモノへの対処)』もその一環に過ぎん」
奴らが居ないならそれでいい——何か『異変』が起こった時の些細な変化にさえ気づくことができれば。と、オッサンはそう言い切った。ゴウは何か言い返そうと口を開いてはみたものの、そこから言葉が発せられることはなかった。
こうなるとオッサンが折れることはないだろう。それを察したゴウは、げんなりとした様子で肩を落とした。そんなゴウの心情を察したのか、オッサンは笑いながらもどこかなだめる様な口調で言う。
「はは、そう気を落とすな。俺の勘が当たっていれば、そう遠からずバケモノの相手ができるだろう」
「それがいつになるか分かんねえからこっちは退屈してんだろうが」
オッサンを説得することは諦めたらしく、ゴウは後ろ頭をかきながら面倒くさそうにそう答えた。そして、頭を上げると、おもむろにあたりを見渡しはじめた。
2週間前から変わらない景色。相変わらず静かで、瓦礫以外何もない。注意深く観察してみるが、敵の気配どころか、一切の異変も感じられなかった。
バケモノで溢れかえっていた1か月前の東京エリアからは想像もつかない光景だ……お陰で暇で仕方がない。そんなことを考えながら、ゴウは目の前の石に視線を落とす。
「ったくよ、あんだけ居やがったのにどこに消えたんだ? あのバケモン共は。出てきやがったらすぐにでも相手してやるってのに、よ!」
そう言ってゴウは足を引くと、鬱憤を晴らすべくその石を思い切り蹴り飛ばした。
直後、ゴウの足に激痛が走る。
「痛ッてえ!?」
強く蹴りすぎた。
そう呟きながら、ゴウは石を蹴り飛ばした足を押さえつつその場で飛び回ったのだった。
一方、ゴウが蹴り飛ばした石は、放物線を描きながら今だ宙を滑っていた。それは古びた建物の方へと飛び、間もなく入口を支えていた一本の柱に激突する。石はなすすべもなくはじき返され、すでに脆くなっていた石は地面に叩き付けられたところで粉々に砕け散ってしまった。
異変が起きたのは、ちょうどその時だった。
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PCふっかああつ!(∩´∀`)∩
ひとまず以前ちょっとした事故で消してしまった文章の補完です。
中身はちょっと変わってしまいましたが、流れはおおよそ同じです。
早く戦闘シーンが書きたい…