複雑・ファジー小説

Re: 【長編】花が咲く【ミステリー】 ( No.7 )
日時: 2016/03/15 02:29
名前: ゆり ◆Qd6XA/vkyQ (ID: UHIG/SsP)
参照: 2話続き

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朝礼がなった為、調査は一旦中止にして(まったく進んでないけど)俺は教室に戻った
唯は相変わらず、男子に囲まれている。ぱっちり二重で長い睫毛だからかな、俺にははっきりいって理解できないけど。まぁ、可愛いのは認めるよ
睦月は…女子に囲まれている。まぁ、当然といえば当然


二人ともかなり鬱陶しそうな顔をしているのに、周りは我先にと話しかけようとしている。モテる方は大変だ。自分の事ばかりで、相手の事を考えない人達を相手にしなければいけないから

まぁ、それでも見慣れた、いつも通りの光景だ

ただ、俺の心には暗雲が垂れ込めている…というよりも、雲の方こそどちらへ向かったら良いのか正直分かってないみたいだ

調査1日目
はっきり分かってはいたけど、もう少し計画すべきだ

というか、今更だけど別に「生徒」に聞く必要はないだろう。むしろ、中学部からいた唯がまったく知らないくらいだ、他の生徒がより詳しい情報を持っているとは限らない

先生に聞いてみるのはどうだろう?
伝説の二人がいつ頃活躍したかだなんてまったく分からないけど。やはり、ここはベテランの先生のほうがいいのか
教えてくれるかどうかはわからないけど、それでも聞いてみる価値はあるだろう

────二人の卒業間際にしでかした「すっごいこと」

────────もっと規模のでかい、言うならば社会問題

唯の言葉が頭を反芻する
わからない。元々こういったことは得意じゃないんだ、糸が絡まってしまった状態を解すのは、苦手だ




授業中、ぼんやりとそんなことばかり考えていたら、頭上に重たいものを落とされた
一瞬思考は停止し、目の前には一瞬黄色の火花がきらきらと散った
見とれる暇もないまま、机にぶっ倒れる

「痛ぇっ!」

「ほーう、神崎君。俺の授業で考え事とは、居残り常習犯の君が大した出世だな?立て」

あれ、今って何の授業だったっけ、と我にかえる

面倒臭い先生に見つかってしまった
ってまぁ、そんな先生の授業中に考えことする俺も悪いんだけども。しぶしぶ立ち上がる俺

「すいません、ちょっと考えことをしていて…」

「何を?俺の授業より大事?学生の本業は勉強だろ、それ以上に大事なことって何?家族?友達?恋愛?」

「えー…」

瀬戸先生めんどくさいなぁ。三十路だけど独身でしかも彼女いないって噂聞いたけど、本当だろうな

「ちょっと伝説の二人についてね…ってすいません、授業に集中します」

「神崎。放課後職員室な、俺の授業中に考え事していた罰だ」

言うんじゃなかったと後悔。
クラスの奴らは、好奇心旺盛の目で俺と先生を交互に見ていた。特に唯なんて、意地悪そうな顔でニヤニヤしている。他人事だと思いやがって

感情がごっちゃになってしまったせいで、俺は返事をすることができなかった。
その代わり、乱暴に椅子に戻ろうとした際、思いっきりひっくり返ってしまった


爆笑の波の中俺はひっそりと決意する
もう授業中に考え事はしない────と




* * *