複雑・ファジー小説
- Re: 不老不死は、眠れない。 ( No.2 )
- 日時: 2016/03/25 18:26
- 名前: 波坂@携帯 (ID: DJvXcT4Z)
僕は殺人鬼だ。
正確に言うのなら、通り魔という部類だ。
通行人を無差別に殺す殺人鬼。それが僕だ。
僕は別に金が無いだとか恨みがあるだとかそんな理由で殺しをしない。
ではなぜするのか?答えは簡単。『楽しい』からだ。
いや、快感を覚えると言った方がより的確かもしれない。
そんな僕は今日、スキップしたいほどにいい気分だった。
なぜなら昨日殺した人間があまりに愉快だったのだ。
僕に刺された後、何を血迷ったのかそのまま橋から飛び降り川に着水したのだから。一体何を思ってそんなことをしたのかは不明だが、僕はその頭の悪さに大爆笑してしまった。
さて、今日は誰を殺そうか。そう思い周りを見渡した時だった。
「馬鹿な……」
癖のある髪に加えてボサボサの髪型が清々しく感じる程に荒れた髪型をし、そこそこ高い身長。顔立ちは二重の目に細くも太くも無い眉毛で人の良さそうな印象を受ける。
この男はまさしく昨日殺害した愉快な男だった。
僕にその時湧いた感情は何だと思う?喜び?悲しみ?違う違う。
噴火するほどの怒りだ。
僕はいままで誰一人として殺し損ねた事は無かった。しかも殺されかけても堂々と街中を歩く?ふざけているとしか思えない。
決めた。今日はアイツを徹底的に殺す。
そう決めた僕は右ポケットに折りたたみ式のナイフを忍ばせソイツに近づく。
そしてそのまま接近しーーーー思い切り開いたナイフを脇腹に刺し、そのまま数センチ程切り裂く。
この感触。この殺しの快感。これだから殺しは辞められない!
僕は興奮しつつも更にナイフを走らせ人体を布のように裂いていく。
僕はどんな表情をしているかを伺うためにその顔を覗きーーーー驚愕した。
なぜならその顔はーーーー憐れむ様な表情だったからだ。
どうやら昨日の一件はこの大人しそうな少年の仕業だった。
だけど運が悪かったな。今の俺は不老不死だ。どうやっても何をやっても俺の命の炎が消える事は無い。
俺は掌でナイフを掴み、自分の腹から抜くとそのまま片手でへし折る。不老不死は人間の枷を気にしないで肉体を破壊するレベルの力を出せる。なぜなら再生が始まるからだ。
俺の腹がゴポゴポと音をたてて沸騰するかのようにうごめく。
ぽんっ!と軽い爆発的なものが起こった後に俺の腹は治っていた。
ーーまた死ねなかった。
まあいい。ゆっくり方法を考えよう。そういう風に気を取り直して俺は少年の頭にげんこつを下す。げんこつじゃあ済まないくらいの音が鳴る。あ、やべ、力の枷を嵌め忘れた。まあいままでツケだと思え。もうやんちゃは控えろよ。
そして、俺はその少年の精神を折った。