複雑・ファジー小説

Re: 不老不死は、眠れない。 ( No.21 )
日時: 2016/08/19 15:47
名前: 波坂@携帯 (ID: ZTqYxzs4)

「吸血鬼……?」

「そうそうあの人の血をわざわざワイングラスに入れて飲むとか言うアホくさい行動する、日光がダメで川も飛び越せないような、上流階級のブルジョア達だ」

「……茨、女性には紳士的に接するものでなくて?」

「自分で言うなよ。大体ソプラの年齢は四捨五入したらもう四桁到達……止めろ、無言で傘を構えるな」

止めて、吸血鬼の腕力で撲られたら、体が弾けるだろ。
全く短気な奴だな。まあ、人生に飽きてない辺り、前みたいに病んでる訳じゃなさそうだよなぁ。人じゃねぇけど。

「……まあいいわ。それより、私としてはこのまま野外にいるのは余り気分がよろしくなくてよ」

「ああ?だったらさっさと入れよ。ヤマンバちゃんはもう入ろうとしてんぞ」

「い、いいだろっ!」

……今、冬なんだよなぁ……。別に俺としては暑さは感じるけど、不老不死な身だと常に死んでるような感覚だし寒さは感じねーんだけどな……。
多分ヤマンバちゃんとか薄着だったし、寒いんだろうなぁ。ぶっちゃけ寒いなんて感覚はもう昔過ぎて忘れたけど。

「茨、300年前にもこんなやりとりしたのよ?」

「……あー、そっか。吸血鬼は招かれないと人ん家入れないんだっけか」

実際そこんとこのマナーを律儀に守る吸血鬼えらいな。マナーとかの理由じゃねぇけど。
全く、吸血鬼は不便な種族だなおい。身体能力とか俺の捨て身のバカ力が常時出せるぐらいあるし、さっきみたいな超能力(笑)も使えるし、あと蝙蝠とか霧とかに化けたりもできるけど、川は渡れない雨には弱い、日光で弱る、十字架嫌いにニンニク嫌い。おまけに銀が嫌いとか好き嫌い多過ぎだろ。
さて、別に招き入れてやってもいいが、俺には一つ問題がある。

「……いくら出す?」

ヤマンバちゃんみてぇなホームレス小学生には金は期待してねーが、ソプラはなんか金持ってそうだよな。ぐへへ。
ソプラが呆れたようにため息をついて、俺に札束を渡してきた。そして、ゴミを見るような目。

「目ぇ充血してるぞ」

「そんなに殺されたくて?もとから赤くてよ」

「わー、ガストレ〇ウイルス感染者だー(棒)パンデミックが起きる前に殺せー(棒)バラニウ〇弾なら殺せるぞー(棒)」

「一回死になさい」

俺の体がトマトを壁に投げ付けたみたく、壁に投げ付けられ、俺の体が弾ける。痛ぁぁぁぁぁぁぁぁあ!
弾けるのが一番痛いんだよ。爆発と同じくらい。
うええ、俺の全身にトマトケチャップがついてやがる。
体が沸騰するように泡を立てて、パァン!と泡が弾けると綺麗さっぱり怪我は治っている俺。

「相変わらず、気持ち悪い再生よね」

……うるせぇよ。