複雑・ファジー小説

Re: 不老不死は、眠れない。 ( No.28 )
日時: 2016/08/27 21:04
名前: 波坂@携帯 (ID: ZTqYxzs4)

質問がある。
いや、その前に概要説明しとくか。
俺こと伏見茨は、近所のスーパーに買い物をしに行った。
その時ついでにお得用パックで卵が安かったから、複数買いしようと思ったが、俺に店員の一言が突き刺さる。

「お一人様、一パックとさせて頂きます」という言葉が。

俺は急いで家に帰り、なんか家で中二病的な訓練をしている二人を引っ張ってきて、卵を見事三パックゲットした。(中二病的な訓練ってのは、ヤマイバちゃんがソプラに妖気の使い方を習っていたらしい。妖気?ほらあれだよ。ソプラが俺を爆発させたり血の海を蒸発させたりしたアレ)
因ちみにソプラは日傘を差しているから大丈夫らしい。……お前、何故そんな高そうな日傘を持ってやがる……!
人通りの少ない場所に出て、腕時計を確認したら時計は十一時を現していた。
今日はバイトも無ぇしゆっくりできるな。そう考えたのは覚えている。


さて、問題です。



俺こと伏見茨、不老不死の体に現在進行形で突き刺さっている、この長槍はな〜んだ?

答え?被害者の俺が知るかよ。
内蔵を貫かれたらしい。俺が悲鳴を出そうとすると、出たのは尋常では無い赤色の胃液混じりの血液だった。そのまま無残に膝を付いて倒れる俺。うわぁ鉄臭……。汚ぇ……自分で言うと悲しくなるな。

「茨!おい!茨!」

ヤマイバちゃんが俺を必死に揺さぶり声をかける。そして俺に刺さっている槍を…………ちょっ!バカ!一気に抜くな痛ぁぁぁぁぁぁぁあ!
あ…………視界がぼやけてきた……。
ヤマイバちゃん、泣くなよ。そんな悲しい顔するなよ。
ーーーーだって、お前の嬉しさで笑った顔。まだ見てないからな。
そして俺の意識は白く凍りつき始めーーーー




ーーーー体が沸騰したかのように弾け、復活した。

俺達三人が「うん、知ってた」と異口同音を述べる。
……ああ……死にてぇ……何が『お前の嬉しさで笑った顔、まだ見てないんだからよ』だよ!誰これ!?こんなの言って恥ずかしく無ぇの?恥ずかしいわ!死にてぇぇぇぇぇ!

「頼む……俺を殺してくれ……」

「良くてよ」

ちょっ!そこ本気にする奴があるかぎゃぁぁぁぁぁぁ!
ソプラが!ソプラがあの漫画とかで良くある手刀で体を貫くやつやってきたぁぁぁぁ!めっちゃ痛ぇぇぇぇぇ!内蔵がぁ!俺の背骨がぁ!
そして俺の意識は白く凍りつき始めーーーー(謎のデジャヴュを感じる)



ーーーー体が沸騰したかのように弾け、復活した。
うわぁ、無限ループ怖い。

「……私達を無視するのもいい加減にして頂けますかね?」

声がしたので振り向くと、そこには…………コイツ、前俺ん家来たやつじゃね?
とにかく神主みたいな恰好をしたやつらーーーー多分、陰陽師達がいた。
…………え?バレてた?ソプラとヤマイバちゃんの事、バレてた?

「お、お前達は!」






「…………誰だ?」

ゴメン、そんなここで会ったが百年目とか言わんばかりの表情されても困る。
全員が驚いた顔……やべぇ、めっちゃ面白い……駄目だ……まだ笑うな……。
と、いち早く気を取り直した奴が話始めた。

「私達は陰陽師、『河川かせん家』の者達だ」

「よし、ソプラ、ヤマイバちゃん。帰るぞ」

「人の話を聞けえぇぇぇ!」

「うるせぇぇぇ!中二病要素はもうソプラで間に合ってんだよ!」

こっちなんてみろ!金髪紅瞳吸血鬼だけでは飽き足らず妖気なんてものも使っちゃうんだぞ!もう中二病はお腹いっぱいだ!

「後で覚えておいてよ?」

……やべぇ、墓穴掘った。
いやね?俺も陰陽師は知ってるし実際『河川家』ってのは有名所だ。ついでに言うとその『河川家』の奴らが本当に呪術を使えるのは知ってる。
ただ、俺からすればもうそんなもんには興味無いしどうでもいい。
さて、今日の昼飯は何にすっかな……そんな事を考えていた俺の鼻が、なにか壁のようなものに当たった。……はぁ。面倒臭い奴ら。

「おいおい、人が帰ろうとしてんのに結界で囲むとか、お前らマナー違反だぞ」

結界ってのは、要するにATフィ〇ルドを思い浮かべればわかる。わかんねぇならとにかく半透明の壁があるって思えばいい。

「貴方、結界の事を知ってるんですね」

「んな事よりどけてくんね?帰りてぇし」

面倒臭いな。俺は面倒事が世の中で三番目に嫌いって言ってんだろ。
てかどんだけ構って欲しいんだよ。カマチョか?カマチョなのか?やーい!カマチョカマチョ!

「妖怪を黙って帰す訳にはいきません」

「俺は妖怪じゃねぇよ。馬鹿か」

「嘘を付くのはよろしくない。貴方には大量の妖気がこびりついている。そんなもの、人間には妖怪と肌を擦り合わせでもしないと付かないレベルですよ」

……擦り合わせるどころかダイレクトアタックされた件について。
知っているか?山姥に添い寝されるとドキドキ(激痛)で夜も眠れないぜ?

「てかさ?俺戦闘脳じゃないんだよ。わかるか?なんでもかんでも戦闘で解決するのは二次元の中だけにしとけ」

「いいえ、貴方は、正確にはそこにいる金髪の妖怪。それはとてつもない妖気を放っています。そんな危険なものを野放しにはできない」

……OKコイツの事がだいたい分かった。

「おいソプラ、ヤマイバちゃん。コイツ多分残念エリートタイプだ」

その言葉にピクンと眉を動かしたのはその残念エリート。てかこんな些細な事に反応する時点で残念エリートなんだよな。

「どういう意味ですか?」

「簡単な話だ。お前みてぇな人間は自分が間違える筈が無いとか思っちゃってて、自分がやってることは正義だと思って、そして一人で言うんだよ。『ああ、今日も俺カッコイイ』ってな。物事の本質は何もわかっちゃいやしない。
別に人間性を否定する訳じゃ無ぇけど……。お前、どうせ妖怪=悪の方程式とか作っちゃってるパターンだろ?で、自分が悪に負ける訳無いとか悲しい事思ってるパターン。
例え、自分と違う意見が証明されても無理矢理自分の意見を通そうとする、集団で最も必要とされないタイプ。一度Noって言うとNoしか言わなくなる子供だ。
‥………一人で痛いことやるなら勝手だけど俺達を巻き込むなよなぁ……………なんで俺達がお前の中二病的エリート意識(笑)の餌にならなきゃいけないんだよ。ほら、帰った帰った。お前らだけで陰陽師ごっこでもしてろ……………………あ」

……やべぇ、図星な事言い過ぎた。
ちょっとどうすんの?ヤベーよ。残念エリートが顔に青筋浮かべて激おこプンプン丸だよ。

「死ねぇぇぇぇぇ!」

うわぁ……技を使いながら『死ねぇぇぇぇぇ!』』とか……こっちまで頭痛くなりそうだ。

とりあえず!なんかビームがきたので体を捻って回避。なんかもうソプラと喧嘩してたらビームくらい避けれるんだよなぁ……。
まあこっちは余裕だしソプラ達はどうなったか…………あ。



ソプラ。日光ダメじゃん。
日傘。ないとダメじゃん。
…………たった今、日傘に攻撃の流れ弾が当たって布が無くなったんだけど……。
そして、ソプラに日光が降り注ぎ、ソプラがバタンと倒れる。

…………本格的にヤバい……。

すると陰陽師がソプラを人質にとってヤマイバちゃんを捕縛。おい!正義の味方(笑)が何やってんだよ!

「貴様ァ……死ねぇ……妖怪風情が……僕を馬鹿にしやがってぇぇぇぇぇ!」

おい、残念エリート。さっきまでのクールな雰囲気とキッチリとした敬語はどうした。
俺の体になんか呪術的なもの。要するにビームとかエネルギーの塊が降り注いだ。
熱い!痛い!ちょっとテメェら手加減しろ!
俺の視界がブラックに染まる。あー、どうやら体が弾けてバラバラになって目が無くなったみたいだな。さて、こうなると何もできなくなるから……取り合えず気合いを入れて目玉だけ再生。

さて、視界が回復したし何が映るかなー。
おーっと!オンミョウジーズ、まさかの二人を担いでどこかへ行ったぁ!誘拐!人さらい!完全に悪役だぁー!
…………マジでヤベーよ。