複雑・ファジー小説
- Re: 不老不死は、眠れない。 ( No.9 )
- 日時: 2016/05/04 22:21
- 名前: 波坂@携帯 (ID: aBTAkqDJ)
私は、どうやら死ねないらしい。
運よく、いや、この場合は、悪くと言った方が、適切だが、私は、人を、クッションにして、死ねなかった。
人の不幸を、踏み台にしていたが、本当に人を踏み台にするとは、いくら何でも想定外の話。
病院の、ベッドの上で、一人きり、ただ風に揺られるカーテンだけが、虚しく音を、発て続ける。そして、私の手元に、一冊の雑誌。
その雑誌には、私の書いた、リサイクルする他に価値がない程に、無茶苦茶な文章と、人間性を疑う様な、馬鹿らしい、言葉の数々が、敷き詰められている。
ため息をついたのは、これで何度目だろうか、数えようとして、途中で止める。どうせ、後何回もするのだから、今数えたところで、仕方が無い。
結局、私は、死ぬ事さえ、できなかったのだ。他人を殺した癖に、それから逃げようとは、所詮私は、その程度の、とるに足らない、一人の人間なのだ。勿論、自身が、特別な人間とは、掛け離れた凡人とは、思っていたが、凡人以下とは、些か、受け入れる事が、憚られた。
このままだと、自己嫌悪の沼に、ずっぽりと、嵌まりそうな私は、自分の財布を、片手に、松葉杖を付きながら、病室を抜け出した。
空は既に、無彩色に、染まっていて、幾つかの星と、欠けた月が、自己主張する様に、光りを反射していた。
元気百倍!アソパソマソ!
と、まあいい感じに顔が治ったところだから今の状況を説明しようか。
まあまず、後ろから迫りくる軽自動車から見ようか。いやー、文明ってすごいわ。昔の速い移動手段なんて馬ぐらいだったしな。
おおっと。目の前に見えますのはテレビ局のバリケードでごさいまーす。勿論強行手段でーす。要するに突っ切りまーす。出発進行ー。だ
皆ももうだいたい予想ついてるだろうけど、メディア及びマスコミが金魚のフンみたいに俺にストーカー行為してくるんだ。ストーカーで訴えるぞおい!その人数でストーカーとか隠す気0だろ。
そして俺今スゲー速く走ってるから。不老不死って疲れても過労死すれば体力が戻るから……要するに何度でも体力が蘇るのさ。ラピ〇タ王国の様にな。でも速い速度出すと一定間隔で骨がレッツシェアポキィー見たく真っ二つに折れるから痛いんだよな。
「待て!」
おい!俺単に買い物に行くだけなんだけど?!何で刑事ドラマの逃げる犯人に言うみたいに言ってんの?!
「待て!この怪物!」
怪物だと?!残念!不老不死だ!ふはははは!……要するに怪物かよ。
「待て!アンパ〇マン!」
「アァァァァンパァァァァンチ!」
アソパソマソとか言うなよ!ムカついたからぶん殴ったけど死なないよな?てか俺まだアソパソマソなのか?え?!さっき顔からポンッ!って再生する音が聞こえたんだけど?もう顔治ったはずなんだけど?元気百倍なはずなんだけど?
ええい!こうなったら川に飛び込んでやる!てか最近俺川に飛び込むっていう選択肢選びすぎじゃね?いつの間に俺こんな川好きになったんだ?あのアマチョロ殺人鬼の仕業か?今度あったら俺の顔をちぎって口にねじり込んでやる。嘘だよ。痛いからしねーよ。いい加減このネタから離れろ俺。
「気持ち悪い……」
俺が流れ着いたのは自宅からそこそこ離れた河川敷らしい。金魚のフンは綺麗さっぱり取れている。
さーて、どうすっかね。買い物はもう厳しいし……どっかで酒でも飲んで帰るか。仕方が無い。全く迷惑な連中だ。