複雑・ファジー小説
- Re: 魔法伝説 七人の勇者 ( No.7 )
- 日時: 2016/04/28 17:14
- 名前: 魔夜 (ID: y88BZl/P)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode
あたしは廊下をパタパタと走っている。
まぁ、本当は駄目なんだけどね。でも寮生活は誰とするのかが気になって仕方無いんだよ。
と、そのまま走ってもうすぐ正門に着きそうになったその時に、何か透明の物体が視界の隅っこに映って、急ブレーキを足でかけて止めてその物体がある場所に行ってみた。
しゃがみ込んでそれをそっと両手で取ってみると、何と透明なハイヒールだった事が判明する。
これは世間で言えば、『シンデレラ』に出てくるガラスの靴。
まさか今はシンデレラシチュエーション? ならばあたしは王子様だ。
何か面白いけど今は誰の物か分からないし一応持って帰ろっと。
あたしはガラスの靴を片手で大切に持ったまま正門を出てすぐ近くにある寮に行って着いた。
それぞれの個人個人の部屋番号が貼りだされている玄関には人が沢山固まっている。
その人の塊を潜り抜けて何とかあたしの部屋番号を見る。番号は一の四十八。結構大きな数字だな。
あたしは塊から出て行き周りを見渡す。すると部屋番号を見終わったらしき皆が、壁に付いている青い機械に手を触れてはその場から消えている。あれって、移動する機械かな。
そう思い、機械に触れようとする人が誰も居ない隙に急いで触れた。
『名前と、部屋番号をお願いします』
機械らしい無機質な声があたしに向かって聞いてきた。
「名前は雪島明里。部屋番号は一の四十八」
そう言い終わった途端、目の前が歪んでいく。こういうのには弱いから辞めてほしい。
それが終わると、横にあたしの部屋番号のプレートが下がった扉の前に着いていた。ここが今日から生活していく部屋。
丸いドアノブを回して茶色の扉を開け、部屋に入る。
すると、綺麗な金髪に青い瞳を持ち、水色のドレスを着て透明なハイヒール、ガラスの靴を右足の方だけ履いている子だけがいた。
この子、全体的に言うとシンデレラ風かな。どういう訳か今片方、靴履いてないし。
……ん? シンデレラ風?片方靴が脱げている?あ、まさかあのガラスの靴を落としたのはこの子かな……?