複雑・ファジー小説
- 第一章 「世界の旅人さん」 ( No.11 )
- 日時: 2016/04/09 19:42
- 名前: 花月 (ID: WGarmeYs)
第5話
あの日から、教官の授業や訓練は、厳しくなった。
そりゃそうだ。 あんなに逃げ回ってたんだから。
生徒A「ねぇねぇ、最近教官全員うざくない?」
生徒B「そうそう。相手は本物のマモノなんだからさー、あんなに叱らなくてもいいじゃん?」
生徒C「わかる〜! 自衛隊じゃあるまいし、女子にあんなきつい訓練させてんの、ほんっとむかつく〜!」
生徒A「だよね〜!」
ヴォア『…はぁ……」
私はため息をついた。
ヴォア「原因あなたたちでしょ…」
独り言で言ったつもりだったけど、あの子たちがそれを察したらしく、
生徒A「あのさ〜 1人だけ活躍したからって他の人を見下さないでくれる?」
生徒B「あ、あの子、親知らずの世間知らずだから、何でも言っちゃうんだよ」
ヴォア「じゃあ言わせてもらうけど、原因作ったの、マモノごときに逃げ回っていたあなたたちでしょ。 人を巻き込まないでくれない?」
生徒C「マ、『マモノごとき』って本当はあんたも怖かった癖に」
ヴォア「あんなひどい顔、好みって方がおかしいでしょ」
生徒B「う…ち、ちょっと、思い出させないでよ… うわぁ…気持ち悪い」
確か、人面が完全にドロドロだったような…気持ち悪い。
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ある日、私にある1通の通知が届いた。
…見合い?
見合いって何? 教官に聞いてみた。
男女でお話をして、そこから結婚する。
教官が言った。
結婚? 何でこんな早くに?
普通は、20歳を過ぎたらするものでしょ?
先輩「あれ?あなた、確か今度お見合いするんだよね? おめでとう!」
ヴォア「嫌だ…」
先輩「嫌かー。 そっか。 実はさ、この学院は、とっても優秀な子がいたら、男の子とお見合いさせるらしいの。 それはいい事な筈なんだけど、その子は周りからも距離置かれるし、だからみんな、この事、『魔導学院の裏の顔』って呼んでるらしいの。 しかも、その事、その子の両親にも言わないんだって」
ヴォア「裏の顔……」
なんだ。この学院も黒かったのか。 いい風に生徒を縛り付けているだけだったんだ。
私は心底呆れる。
両親には言わないって言ってたけど、私には最初からいないから、むしろ好都合だったんだ。
そして、見合い当日になった。
相手は確か… なんかのすごい人の息子…だったような… 話聞く気ないな…。
私は少しイライラしながら椅子に座って待っていた。
隣には、「母の代わり」と、学院長が座っている。
学院長「ヴォア、何をイライラしているのですか? お見合いとは、聖なる儀式ですよ。待つときも、華麗に、美しく」
ヴォア「何が華麗に美しくですか。私はこんなくだらない事より、授業の方が気楽です。 はぁ…遅い」
学院長「ヴォア、あなたのそのなんでも口にしてしまう癖は、昔から知っていましたが、それもそろそろ終わりにしましょう。 あいての機嫌を損ねてはいけません」
ヴォア「…絶対嫌だ。 ああもう、遅い…!」
私が学院長と喋ってる内に、相手の人が到着した。
相手「すみません。 遅れまs…」
ヴォア「遅い!」
相手「うぅ…」
言ってやる。思った事を、そのまま。
学院長「ヴォア、相手にいきなりそんな事を言ってはいけません」
ヴォア「嫌だ」
相手の父「あ、えっと…始めますか」
グダグダで始まった見合い。 私にとっては時間の無駄。
相手の話を流し聞きしながら、私はボーッとしていた。
学院長「では、2人だけで話す時間にしましょうか。 ヴォア、くれぐれも相手に失礼な事はしてはいけませんよ」
ヴォア「…」
2人だけの自由時間になった。 そこまでして距離縮めたいの?
ヴォア「……」
相手「……」
沈黙が続いている。
相手「…あの、」
ヴォア「…何?」
相手「あの、さっきからずっと不機嫌そうだったんですけど、僕何か、変な事言いましたか?」
ヴォア「…別に。」
相手「え…」
ヴォア「…この見合いが嫌なだけ。早く終わって欲しい」
相手「え…」
という感じで、グダグダ見合いは終わった。
私は開放感に満ちて、嬉しかった。
翌朝
今日は休日。だけど雨だ。 部屋で大人しくしていよう。
すると、『私とあって話がしたい』という人が来たと聞いた。
一瞬昨日のあの人かと思ったけど、仕方なく行ってみた。
昇降口を出て目の前に、
あの子がいた。
オレンジ色の髪。
水色の瞳。
あの時頭を打った子だ。
頭に包帯が巻かれている。
ヴォア「……」
シエル「え、えへへ…」
ヴォア「…?」
何が可笑しいの? まだ誰も何も言ってないのに。
シエル「えっと、僕の事、覚えてる? あの時、助けてくれたんだよね?」
ヴォア「え…えっと…まぁ…うん…」
シエル「やっぱり! あの時はありがとう!!」
ヴォア「…そこ…濡れるよ…?」
シエル「え? あ、うん。大丈夫だよ! ねぇねぇ、ちょっと僕の話、聞いてくれるかな?」
ヴォア「…うん……いいけど…」
シエル「やった! ありがとう!」
こうして、あの子の話が始まった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー第5話 ENDーーーーーーーーー
ハイ!って事で、
遅刻しちゃいけないって前回書いたくせに早速更新遅刻しやがった花月でーす!
いや〜やらかした!
すいません!
なんかもう書くことないから次回予告!
ーーーーーーーーーーーーーーー次回予告!ーーーーーーーーーーーーーーーー
シエルの4年前の話。
あの子が助けてくれた記憶。
感動の再会!
シエル視点!
次回もお楽しみに!
感想まだ