複雑・ファジー小説

第一章 「世界の旅人さん」 ( No.12 )
日時: 2016/04/16 19:47
名前: 花月 (ID: WGarmeYs)

第6話

あの日、僕は頭を打って、幸い命は助かったけど、その日から頭痛とめまいが酷くて、よく倒れたりした。 今は、頭に包帯を巻いている。 保冷成分の薬を、頭皮から点滴みたいに刺しているから、それが外れないようにする為。
でも、

僕は決めた。
あの子に会いに行こう。 ちゃんとお礼を言おう。 ちゃんとあの子に確かめてもらおう。 あの日、僕たちが出会った日のことを。
僕は決心して、早速次の休日を確かめた。

シエル「土曜日と日曜日か。 じっくり話し合えるね!」

僕は予定表を見て言った。 お礼を言う。 たくさんお話しする。

エトワール「シエル先輩! 最近なんだか楽しそうですね」
シエル「え? そうかなぁ? 実は今度の休日、ちょっとお出かけするんだ」
エトワール「え!? どこ行くんですか?」
シエル「んー 秘密〜」
エトワール「あ、わかりました。 先輩がそこまで言うのなら」
シエル「え!? そこ『教えてくださいよー』って言うところだよ!? あと、僕そこまで言った!?」
エトワール「いや、なんだかそうすると図々しいというか…」

いくらお出かけでも「魔導学院」なんて言ったら、なんか誤解招きそうだし、この事は黙っておこう。

そして休日。 僕はいつものリュックに少しの食料を入れて、外へ飛び出した。
と思ったら…

シエル「うわぁ! あ、雨かー」

慌ててたから気付いてなかったけど、今日は朝から大雨だ。
僕は昇降口に戻って傘を取りに行った。
だけど…

シエル「あれ? ない」

僕の傘が見当たらない。 他の子が間違えて持って行っちゃったかな。
僕は仕方なく、大雨の中、駅まで走って行った。

シエル「うわぁ〜 でっかいなぁ〜」

僕は無事、到着した。
隣町の魔導学院。 大きな校舎で、5階ぐらいあるかな。 昇降口の上には、立派な時計があった。
僕がしばらくその建物を眺めていると、

女の人「あの、何かご用ですか?」

女の人が話しかけてきた。 紺色のドレスを着ていて、頭に花の髪飾りを付けている。

シエル「あ、えっと、この学院の方ですか?」
女の人「えぇ。ここの教官を勤めています」
シエル「へー! そうなんですか!」
女の人「あの、もしかして、少年自衛団の方ですか?」
シエル「あ、はい! あの、この学院のえーっと、紫色の髪で、かみが長くて、赤い目で、人形を持っている女の子、いますか? 僕、その子と話がしたいんです」

特徴を言ってみた。 名前わからないと不便なんだなって思った。

女の人「紫…赤い目… あ、わかりました。すぐ呼んできます」

そう言って、女の人は学院へ帰って行った。そしてしばらくすると、

女の子「……」

あの時の子が出てきた。 やっぱりフードは被ってたけど、ちょっと恥ずかしがっている顔が少し見える。

シエル「え、えへへ…」
女の子「…?」

なんかすっごく、嬉しい。 会いたいって思ってた人に本当に会えるって。
でもこの声は、あの子からしたら、ただの変な人の声かも。

シエル「えっと…僕の事、覚えてる? あの時、助けてくれたんだよね?」

僕は問いかけてみる。 すると、

女の子「え、えっと…まぁ、うん」

その子はそう言いながら、頷いた。

シエル「やっぱり! あの時はありがとう!!」

笑顔でお礼を言う。

女の子「…そこ…濡れるよ…?」

その子は無表情で言う。

シエル「え? あ、うん。 大丈夫だよ!」

雨くらい、平気だ。

シエル「ねぇねぇ、ちょっと僕の話、聞いてくれる?」
女の子「…うん……いいけど…」

よかった!やっぱり優しい子なんだね!

シエル「やった! ありがとう!」

それから、僕たちは雨宿りできる場所に移動して、僕とあの子の話は始まった。
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シエル「4年前にね、記憶の海に、マモノたちがたくさん現れたの、知ってるよね?」
女の子「……」(コクッ)
シエル「僕その時ね、そこにいたんだ。 それでね、マモノにやられそうになった時、君にそっくりな子が魔法で助けてくれたんだ。 人形も持ってて。でね、 まさかとは思うんだけど、その子、君の事じゃないかなって…」
女の子「………」
シエル「あ、誤解だったらごめんね! ただ、本当に君にそっくりだったから、それを確かめようって思って」
女の子「それだけの為に?」
シエル「え?」

急に問われたから、ちょっと話が止まる。

女の子「それだけの為に…雨の中ここまで来たの…?」
シエル「あ…うん!」
女の子「………」ギッ

睨まれてる…赤い目だからなおさら怖い。

シエル「あ…えっと…ごめん」
女の子「別に…怒ってないけど」
シエル「あ、そうなんだ」

よかった。 機嫌損ねちゃったかと思った。

シエル「あ! そういえば、名前聞いてなかった! えっとね、僕はシエル。 シエル・クレールだよ! 君は?」
ヴォア「…ヴォア・ラヴィソン……」
シエル「ヴォアっていうんだー! いい名前だね!」
ヴォア「いい名前…?」
シエル「うん!」
ヴォア「………」
シエル「あれ? もしかして、褒められるの苦手?」
ヴォア「…いい名前って…初めて言われたから…」
シエル「えぇ!? 初めて!? 友達とかに言われないの!?」
ヴォア「いらない…そんなの……」
シエル「えぇ!?」

友達いないんだ…。特に欲しいとも言ってないし…

シエル「このまま…独りでいるの?」
ヴォア「それでいい」
シエル「……」

さすがの僕も、黙り込んでしまった。

ヴォア「私…」
シエル「え?」
ヴォア「あなたの言ってたその子…私…」
シエル「…!!! 本当!? 本当なの!?」
ヴォア「…うん……」
シエル「やったぁ!! やっと会えた! 今更だけど!」
ヴォア「今更…」

僕はこの日、久しぶりに幸せというものを感じた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー第6話 ENDーーーーーーーー
うぇい!今回ちょいと長かったぜぃ!

ちなみにシナリオとかあっても、書くときにほとんどが変わっちゃうっていうか、全く違う展開に行っちゃうことがよくあるんです!←どうでもいい!\(^q^)/
あーゲームやろう

じかいよこーく!
ーーーーーーーーーーーーーーー次回予告!ーーーーーーーーーーーーーーーー
関係が判明したシエルとヴォア。
しかし、またあの悲劇が、今度は異世界まで襲う!
そして、ヴォアの両親とは!?
次回はちょっとシリアスかも
次回もお楽しみに!


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