複雑・ファジー小説
- 第一章 「世界の旅人さん」 ( No.14 )
- 日時: 2016/04/16 19:44
- 名前: 花月 (ID: WGarmeYs)
最終話(1)
※長くなったから二つに分けます。
私の両親の話。 私がまだ産まれたての時の話。
私のお父さんは、古生物学者だった。
お母さんは、料理人だった。
でも、お母さんは生まれつき、病弱だった。
私が産まれたって聞いて、お父さんは喜んで、すぐにその病院に行こうとした。
でも、その道中、お父さんは、
事故で亡くなった。
馬車にひかれて、即死だったらしい。
その知らせを聞いたお母さんは、1人で私を育てると決めたらしい。でもその翌日、
その病院内で殺人事件が起きて、お母さんは強盗に殺された。
なぜ私は助かったかというと、その時の私は、別室にいて、奇跡的にその部屋には被害がなかったから。
その後、両親二人共亡くした私は、病院から魔導学院に送られて、学院長や教官たちが、私の保護者になった。
でも私は、学院長や教官たちを、親とは思っていなかった。
人間には親はいなくて、大人が世話をすると思っていたからだ。
虫のように、人間も子供を産んだらすぐ死ぬんだと思っていた。
教官「っていうことがあったの。ヴォア、今まで隠しててごめんなさい」
学院長「ヴォア、決して授業や試験の最中に、この事を思い出してはなりません。苦しむのはあなたです」
ヴォア「………」
もう嫌だ。消えたい。死にたい。
私はあの時の苦しみを思い出した。
私が生まれたせいで、お父さんとお母さんは死んだんだ。私が殺したんだ。
私さえ…生まれなければ……こんな事には……
全身の力が抜けた。
教官と学院長の声が遠のいていく。
死ねるのかな…?
ヴォア「!?」
目を覚ましたら、白い天井が見えた。 自分の部屋だ。
私は起き上がった。 なんだか頭が痛い。 頭を打ったのかな。
ヴォア「うぅ…」
あのとき何が起きたんだっけ。 確か、両親の話を聞いて、私のせいだって思って、それから…思い出せない。 多分、倒れたんだろう。
…シエル。、今何してるんだろう。
暇だな。 今、会えるかな。
でも、今朝押しかけちゃったし、さすがに二度もな…
今はまだ午後2時。ちょっと外へ出ようかな。
ベッドから降りて、部屋を出た。
ヴォア「…はぁ…」
今日はついてないな。 異世界の予言は出るし、聞かなければよかった話も聞いちゃったし。
シエル「…あれ? ヴォアだ! おーい!!」
ヴォア「…?」
シエルだ。なんでこんなところに?
ヴォア「…? なんで…」
シエル「いやーたまたま偶然!ちょっと暇潰しに、ここまで来ちゃった! あっはは!」
相変わらずのんきな笑顔を見せる。 異世界が危ないっていうのに。
ヴォア「………」
シエル「? どうしたの? そんな暗い顔して」
ヴォア「………」
もう…言おうかな…
ヴォア「両親…」
シエル「え?」
ヴォア「私の両親の話…聞いちゃった…」
シエル「えっと、ヴォアの両親って確か…あ、知らないんだよね」
ヴォア「……」
シエル「聞いちゃったって事は、嫌なことだったの…?」
ヴォア「……」(コクッ)
シエル「えぇ!? 二人共、すぐに亡くなっちゃったってこと!? かーなーしーいーよー!!!」
ヴォア「原因は、私」
シエル「?」
ヴォア「私が…殺した」
シエル「え…?」
ヴォア「私が生まれたせいで…二人共…」
シエル「…ヴォア」
ヴォア「私さえ…いなければ……」
シエル「ヴォア! しっかりして!」
ヴォア「……!」
シエルが私の肩を掴んだ。
シエル「…確かに、ヴォアの両親は、すぐに亡くなっちゃった。 でも、ヴォアはまだ生きてるじゃん! きっと、ヴォアの両親も、ヴォアが生きてる事、喜んでくれてると思うよ。 きっと天国で、ヴォアの事、応援してくれてるよ! だから、自分を責めないで! ね!」
ヴォア「……」
シエル「しかも、もし君がこの世に存在しなかったら、僕はもうとっくに死んじゃってたよ。 君が助けてくれたから、僕は今も生きているんだよ。 僕にとって、君は、命の恩人なんだ!」
ヴォア「……!」
命の恩人…そう呼ばれたのは初めて。
こんな私でも…生きてて喜んでくれている人が……いたんだ………
そう思うと、またあの時みたいに、目から水が溢れてきた。
あの子が言ってた、『涙』っていうやつかな。
苦しくないのに…なんで?
『涙』は苦しくて、悲しい時に出るものじゃなかったの?
シエル「ヴォア…」
シエルが『涙』を拭ってくれた。
でもそこで、邪魔が入る。
生徒A「ちょっとー、なに2人でイチャイチャしてんのよ!」
あいつが私のフードを引っ張り、引きずる。
ヴォア「うぅ…!!」
シエル「ヴォア!」
生徒B「ねーお兄さん、そこの女には関わらないほうがいいわよ? 生意気な世間知らずなんだから」
シエル「え…?」
もう1人がシエルに私の悪口を言う。
生徒A「そうそう。こんな奴、とっとと討伐しちゃえばいいのよ」
そうか。こいつらにとって私は、死んでもいい存在なんだ。
シエル「ちょっと! なにそれ!!」
生徒A「はぁ? 抵抗するの? そこまでこいつと不幸になりたいの?」
シエル「…不幸になる? …へぇ、そこまで君たちはヴォアをいじめたいんだ」
生徒B「そうよ。 だってこいつは、根元から腐った人間なのよ」
シエル「根元から腐ってるのは君たちの方だ!!!!」
ヴォア「…!?」
シエル「同じ人間に死ねなんて言うな!! 君たちそれでも人間か!! 人をいじめて何が楽しいの!!? ヴォアは命の恩人なんだよ!!! 心の底から優しい子なんだよ!!!!」
生徒A「な…!?」
生徒B「…!?」
ヴォア「…………」
シエルが本気で怒ってる。 思いっきり怒鳴ってる。
いつもの明るい笑顔とは裏腹の、思いっきりガン飛ばしてるような目つきだ。
教官より恐いんじゃないか。
生徒たちは涙目になりながら、帰って行った。
シエル「ふぅ… ったくもー ちょっとは人の気持ち考えたらどうなんだよ!」
まだ愚痴吐いてる。
シエル「大丈夫? あー… 服、汚れちゃったね…」
ヴォア「…いい。 大丈夫」
シエル「そう? ならいっか。 はい。立てる?」
シエルが手を差し伸べてきた。
さっきの影響でもかるのか、少し恐い。
私には怒ってないと思うから大丈夫だと思うけど。
でも手を取るのは少し緊張感があって、私はその手を取らなかった。
ヴォア「…自分で立てる」
シエル「よかった! 怪我してなさそうで!!」
と、いつもの明るい笑顔に戻る。
シエル「あ!もうこんな時間! 帰らなきゃ!!」
ヴォア「?」
シエル「あ、実は、3時40分からマモノ討伐の仕事があるから、そろそろ帰らないと。 ごめんね!」
ヴォア「いや…別に…」
シエル「そっか! じゃあまたね!」
ヴォア「うん…また……」
なんかちょっと、寂しかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー最終話 (1)ENDーーーーーーーーー
はいはーい! 最終話(1)終了!
あのね、なんで分けたかっていうとね、思った以上に長くなっちゃったから、二つに分けたの!
うん!最終話じゃ無くなったね!!
批判ばっちこい!!!ψ( °Д°)ψ
次回予告ダヨー
ーーーーーーーーーーーーーーー次回予告!ーーーーーーーーーーーーーーーー
真の最終話。
ついに動き始めた、異世界の『異変』。
立ち向かい、戦うことを決意した3人。
次回、出発進行!!!
次回もお楽しみに!
感想まだ