複雑・ファジー小説
- 第3章 「手放すか」 ( No.37 )
- 日時: 2016/08/24 04:36
- 名前: 花月 (ID: ixlh4Enr)
第5話
リベルタ「えっと……おかえり、クオーレ」
帰って来た、やっと。
もう会えないかと思ってた。戦争が終わるまで。
でもこの前みたいな再会のし方は不意打ちだった。
クオーレ「? …何ボーッとしてんだよ」
リベルタ「…ん? あ、ごめん!あはははは… ねぇ、それ重いでしょ?玄関に置いときなよ。鎧とか」
クオーレ「そうだな。すまん、嵩張るけど」
リベルタ「いやいや、嵩張って当然だよ!昔使ってた段ボールとは格が違うんだから!」
クオーレ(懐かしい事言いやがって…)
そう言って、クオーレは剣を置き、鎧を脱いで、セーターの姿になり、手を洗いに洗面所へ行……
リベルタ「あ、そこキッチンだよクオーレ」
クオーレ「えっあ、間違えた! はぁ…寮の生活で感覚変わっちまったな…」
リベルタ「あははは、慣れって怖いねー(クスクス)」
クオーレ「うるせぇ笑うな!」
笑って乗り切ろう、
今日も。
手洗いを終えたクオーレがリビングに入って来た。
そしていつもの癖で何もする事がないのに食卓の椅子に座る。
リベルタ「そうだ、クオーレ!ホットミルク飲もうか!」
クオーレ「あ、あぁ。頼む」
気のせいかな。クオーレの目が少しだけ光った気がした。
クオーレはたまにこういう単純な所もあるから接してて楽しい。
こんな気分は何年ぶりだろうか。
リベルタ「クオーレ、最近ホットミルク飲んだ?」
クオーレ「いや、警部団に入ってからは片手で数えれるぐらいだ。毎日飲み物がぬるい水だよ。それなら真冬に氷水飲む方が何倍もマシだな」
と、ボソッと愚痴を吐く。
相当扱いが荒いのかな… きっと毎日毎日疲れるんだろうな… とか思いながら少ない牛乳を2つのコップに交互に注ぐ。平等にね。
リベルタ「そっかぁ… だけどごめん。最近食品の配給が少なくてさ、牛乳もほんの少ししかないんだ」
クオーレ「そりゃそうだよなぁ… あ、もしかして、牛乳全部淹れるつもりか!?」
リベルタ「あったり前だよ!せっかくクオーレが久しぶりに帰って来たのに、ケチってちゃボクのなんとかが許せない!」
クオーレ「なんとかって何だよなんとかって…」
クオーレが半端呆れてる所をクスクスと笑い、2つのコップを電子レンジで温める。
しばらくして加熱が終わったら、コップを取り出してボクのコップには角砂糖を3つ、クオーレのには5つ入れてスプーンでかき混ぜる。ボクもクオーレも分量を測るのが苦手だからこうやって角砂糖を使っている。まぁ、角砂糖はごく稀でしか手に入らない物なんだけどね。
あ、あと彼。
実はああ見えて甘党なんだよね。
リベルタ「できたよー」
クオーレ「お、ありがとう。久しぶりだな、ホットミルク飲むのは…… なぁ…リベルタ、これ角砂糖使ったのか…?」
リベルタ「うんそうだよ!」
クオーレ「『うんそうだよ!』じゃねぇよ!配給厳しいんだろ!?」
リベルタ「うん、厳しいんだけど、今はそれよりクオーレとこうやって飲みながら楽しくお話しできるのが幸せなんだ!」
クオーレ「え…ん、まぁいいや。入れちまったもんはどうしようもないし」
リベルタ「あ、ちょっと嬉しいでしょ?」
クオーレ「うるせぇ!」
そうやって他愛もない話をしていても、何か…
何かが変だ。
リベルタ「…ねぇクオーレ、その…ケガしたってホント?」
ずっと気になっていた事を聞いてみる。
クオーレ「え……まぁ、そうだな」
リベルタ「どこをケガしたの?」
クオーレ「ただの骨折だよ。軍人になりゃ当たり前の事だ。ってかそれだいぶ前の話だろ。今はもうすっかり治ってる」
リベルタ「でも、戦に出れないって…」
クオーレ「………!」
クオーレは少し慌てている。やっぱり何か隠しているんだ。
リベルタ「『戦に出ろ』とは言わないけど、なんで出られないの? 何かあるんじゃないの?」
クオーレ「…お前には関係ねぇよ」
リベルタ「関係あるよ! だって変だもん…」
ずっと変だった事は、
「さっきから全然ボクの目見てくれないじゃん!」
それだった。
クオーレ「…!いや、それは………」
リベルタ「何で?クオーレどうしちゃったの?前はちゃんとボクの目見てくれたのに!」
質問詰めをクオーレにぶつける。
もう我慢できない。
クオーレ「…………」
リベルタ「何でそうやって目を逸らすの?やっぱり何かあったんでしょ?お願い、話してよ。ボクの信頼できる人はもうキミしかいないんだよ!」
ホットミルクはそっちのけで、ボクは叫んだ。
さすがのクオーレもかなり驚いている。
けど目は逸らしたまま。
リベルタ「ずっと、ずっと寂しかったんだよ!ボクのお父さんも、他の友達も、みんな警部団に取られて、みんな戦死して、家族も行方不明で、クオーレまで死んじゃったらボク…どうしたらいいのかわかんないよ!!」
ひたすら叫び続ける。
気付けば、いろんな仲間が消えていた。
たまにこんな夢を見る。
それは、いつもの家族がいて、友達がいて、クオーレもいる。
でも瞬きをすれば、そこは血祭りになっている。
血の臭い、泥の臭い、銃の火薬の臭いが混ざり合った、気持ち悪い風。
何度瞬きをしても、いくら目を擦っても、その風景は変わらない。
目を擦りすぎて目が痛い。目から赤色の涙が流れてくる。お腹からも、口からも。
そして、いろんな死体の奥に1人だけ立っている、黒いコートを着た骸骨。
クオーレ「おい、おい!!」
リベルタ「イテッ!」
我に帰れば、椅子に座ってたはずのクオーレが目の前にいた。
左の頬に痛みを感じる。きっと平手打ちを喰らったのだろう。
クオーレ「わかったよ!話すから!だから落ち着けって!」
リベルタ「…うん」
クオーレが戦わなくなった、本当の理由。
〜第5話 END〜
すっかり忘れてた☆彡
これもう日常茶飯事と化しましたなwwwすいませーんm(_ _)m
今回はクオーレとリベルタが喋ってるだけの回になりましたv
あと微グロ?っぽかったと思います、ハイ。(ほんの一部分だけ)
〜次回予告!〜
ついに、クオーレの真相が明らかになる。
そしてその事を受け入れ、シエルたちとも交流を深めていく。
でも話したは話したものの、まだ戦場へ立てないクオーレであった…
次回もお楽しみに!
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