複雑・ファジー小説

The girl of Ugly duck ( No.5 )
日時: 2016/06/24 20:53
名前: 亜咲 りん ◆zy018wsphU (ID: visZl1mw)
参照: お久しぶりです

 
 毎晩、私は1人、鏡を見る。
 そこにうつるのは、醜いアヒルの子。
 私は、私の顔が大っ嫌いだ。


 腫れぼったい一重まぶた、大きくて丸い鼻、歪んた唇、大きくて浮腫んだ顔。誰だって整ったパーツが1つくらいあってもいいものだと思うけれど、私はすべてが醜い。総合的にも、部分部分でも不細工だ。

 教室でふと辺りを見渡せば、可愛い女の子たちばかり。彼女たちは美しく空を飛ぶ白鳥。その美しいかんばせに麗しい笑みを浮かべて、男共を誘惑する。教室の隅で1人ひっそりと本を読む私と比べて、彼女たちはいつもきらきらと輝いていた。

 童話では、醜いアヒルの子は最後に美しい白鳥に変身して幸せになるけれど、現実は厳しい。ブスと美人は違いすぎる。ブスが美人になんかなれるわけがないのだ。

 毎晩、私は1人、鏡を見る。
 そこにうつるのは、安物の化粧品で醜い顔を覆った私。
 ファンデーションをして、口紅を塗ってみたけれど、やっぱり同じだ。
 どうして、どうして。神様は私という存在を造り間違えたのだろうか。
 鏡の前で、顔を掻き毟る。伸びて尖った爪でファンデーションが崩れ、私の膝の上に雫が落ちた。

 しかし卒業後、私は整形という魔法に出会ってしまった。
 顔を切られるのは少し抵抗があったけれど、1度してしまうと、もう抜け出せなかった。
 もっと目を大きく、鼻を高く、唇を綺麗に、顔を小さく!!!!!
 もう私は失敗作なんかじゃない。そう思いたかった。


 毎晩、私は1人、鏡を見る。
 そこにうつるのは、美しい顔。
 大きな二重まぶたの目、通った高い鼻筋、形のよい唇、シャープな顎。まるで人形のように整った私の顔。
 でも、あの子たちみたいな輝きはどこにも、どこにも、どこにも見つからない。

 いくらメスをいれても、私は私。何一つ変わらない。暗くて地味な、私のまま。
 なぜだろう。
 ……どうして?



 どれだけ容姿を変えても中身が同じなら変わらないということを知ったのは、私がもう手遅れになったときのことだった__





 

           ………end?