複雑・ファジー小説

Re: 夢の中にいられたら ( No.8 )
日時: 2016/05/01 19:38
名前: 四つ葉 (ID: 6Z5x02.Q)

【第二話 永遠に終わらぬ夢を夢に見て】

ねぇ、一人が好きな人、いる?
まぁいるよね、当たり前か。
じゃあ、そんな『一人』が好きな貴方に質問。
『独り』は好き?
あ、ここで一つ補足を。
『一人』と『独り』が同じだと思った人、いる?
いるよね。まぁイントネーション同じだし。
ただ、漢字が違うだけ。
イントネーションも、読み方も一緒だ。
そして、何処かには『意味も同じ』と言う人もいることだろう。
でも、私は違うと思う。
私の勝手な想像の中では、『一人』と『独り』は違うのだ。
『一人』の方は───そう、形的な一人。
良い例えは───ボッチとか、そんな感じ。
周りから見て『一人』だとわかるもの。
そして『独り』の方は───形的な一人じゃない。
形には現れない、所謂『孤独』ってやつだと思う。
うーん、わかりにくいかなぁ………
あ、こんな感じ。
例えば、仲の良い二人組の女子がいたとするね。
二人は自他共に認める親友。
何処に行くにも大抵一緒で、互いの殆どを知っているくらいの仲。
でも、そんな仲の良い親友にも、互いに知らないことくらいあるよね?
『殆ど』を知っていたとしても、それは『殆ど』であって、『全て』を知っているわけではないのだから。
とまぁ、本題へ。
その二人の親友の片方を───い、もう片方をろ、とするね。
いさんは、ろさんとはとてつもなく仲が良いと思っていた。
まぁ、お互い歪み合っているわけでもないし、素を出し合っているわけだからね。
でも、ろさんの方は違った。
ろさんは、そりゃ、いさんと一緒で、ろさんとは本当に大の仲良しだと、心から思っているわけ。
でも、心の何処かではこう思ってるの。
───いつかこの関係にも終止符が打たれる

ってね。
だから本能的に──無意識に、彼女はいさんとは距離をとってしまう。
といっても、本当に微妙な距離を。
本人も無自覚に。
無自覚なのだから、言葉の通り自覚が無い──つまり本人は、いさんと距離をとっているつもりはない。
そして周囲も、いさんも、ろさんさえもが錯覚する。
『互いに知らないことが殆ど無いくらいの、唯一無二の親友』

だと。

でも、それは違う。
ろさんの心は、自然と距離をとっているのだから。
だとしたら、何れだけ本人達の仲が良かろうと。
何れだけ周囲から仲が良いと、親友だと思われても。

───ろさんの孤独は変わらない


心が孤独。
心が独り。
無意識に、無自覚に、自然に。
そして、周囲の人物は気づかない。
だって、一人には見えないから。

そう、気付けない。
本人冴えも。


って、何か意味ふって感じだよねー!
私らしくもない。

まぁ、結論。

一人=独りということは、とてつもなくレアケースだ。
寧ろ存在しないに等しい。

Re: 夢の中にいられたら ( No.9 )
日時: 2016/05/01 22:17
名前: 四つ葉 (ID: 6Z5x02.Q)

あれから三日後。
あれ───『エンプロールダークネス』が出現してから。
エンプロールダークネスってのは、政府か国会か何か知んないけど、御偉いさんが名付けた名称だ。
初めは名も無かった『あれ』に。
まぁ、見た目はブラックホールを連想させる、何処までも続く闇のような色の、見ているだけで吸い込まれそうなほどの迫力の巨大な穴なのだけれど。
友人の向日葵は───向日葵ってのは渾名で、本名日向種ちゃんは、エンプロールダークネスのことを、『エンプ』とか勝手に略して呼んでいたっけ。
とまぁ、余談はここまでにしておこう。
この、エンプロールダークネス───エンプは、三日前の四月十日に地球に落下してきた。
───そう、落下。
名前の通り。
初めの内はただ其処にあるだけで、ただ其処に存在しているだけだった。
しかし、存在しているだけで私たちには害を与えているのだ。

落下してきた場所は、日本国内のみ。
落下場所は、北から南まで様々。
落下箇所は47都道府県中、現在観測されているものでも158箇所。

Re: 夢の中にいられたら ( No.10 )
日時: 2016/05/02 07:00
名前: 四つ葉 (ID: 6Z5x02.Q)

勿論、沢山の被害者も出ていた。
エンプの落ちてきた場所に居たもの達は、エンプの下敷きになり、救命隊でも救出不能の危機に陥った。
私の友人も───と言うか、私が一方的に知っているだけなんだけど、その人もエンプの下敷きになって消滅しちゃった。
『学校』と共に。

私の通っていた学校・信濃殲滅高等学校は、中高一貫の私立校だ。
そんな私立校にだって、関係なく被害が来る。
というか、私たちの高校が、一番先に被害にあったのだ。
四月二十四日、18:00。
校舎には、部活をして居たもの達は残り、その他の生徒も数名残っていた。
そんな校舎に、不幸なことにも巨大なエンプが落下した。
そう、人間が何人、何百人いたとしても受け止められないエンプが。
そして、その校舎から数々の死者、一人の生存者が出てきた。
でも、生存者の方も精神が参っちゃってるんだよねー。
とまぁ、こんな雑談も終わり。
早く家に帰って───


───夢の中に入らなきゃ

Re: 夢の中にいられたら ( No.11 )
日時: 2016/05/03 11:44
名前: 四つ葉 (ID: 4jdelmOD)

☆☆☆☆☆

「ただいまー」
勢いよく玄関の戸を開ける。
中にはもう誰もいない。
つい一昨日まではいた、母親や父親も、元気な小学生の弟も。
皆非難したのだ。
エンプの被害があって。
私は非難しないかって?
まあ確かに、非難したほうがいいのかもしれないんだけど。
でも、級友の伊織ちゃんが未だ行方不明なのだ。
それに、向日葵だって仲良しだった双子のお姉ちゃんが亡くなってしまって、精神状態がやばくなってきている。
そんななか、自分だけ安全に非難するなんて気が引けて、家に一人で住んでいたのだ。
幸い、非常食の保存状態はよかったし、水だってある。
電気、ガスも通るので不便はない。
家の所々の壁にひびが入った程度しか、家に被害は無かった。
と、そんことをしていたら眠気が私を襲ってくる。
「ふぁー………寝よ………」
私はそう呟き、その場でばたりと倒れる。
いつもなら母親が
「そんなところで寝てたら、風邪引くわよー」
といい、私はしぶしぶ部屋へと向かうのだけど、今日はそんなことは無かった。
そのまま、規則正しい寝息を立て、夢の中へと落ちて行った。


☆☆☆☆☆


今は昼?
そう思わせるような光が、私の目に飛び込んでくる。
眩しくて、目をきっちり開けられない。
「あれれー?早く起きないと、私がまゆっちのお菓子、ぜーんぶ戴いちゃうよ?」