複雑・ファジー小説
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.7 )
- 日時: 2016/05/13 21:52
- 名前: 四つ葉 (ID: g./NUPz6)
「齋、私先行くよー?」
「今行くって、置いてくな」
そんな会話を交わす少年と少女。
真新しい制服。
如何にも新品、という感じの少しだけ臭い匂いがする。
傷一つ無い鞄に、新品の靴。
彼女と彼が向かう場所は───中学校。
今、彼が彼女が、少年少女達が織り成す物語が。
青春の物語が。
世界の"裏"の物語が。
今、少年少女達の青春と共に。
───始まるのだ。
───────────────────
「待てよ、少しくらいは」
「やだ。時間の無駄としか考えられないよ」
僕、斎藤齋が言った言葉に彼女は即答でそう返す。
これでも一応、幼馴染みなんだがな………。
「齋、校門の近くに来たら私から離れてね」
「ん?なんでだ?」
一緒に同じ場所に行ってんのに、目的地の直前で離れろって、どう言うことだと思いきや、彼女は平然とした表情で答える。
「齋と一緒にいるところ見られたら、私の中学校生活終わるも同然だから」
相変わらず即答だな。
少しは躊躇う素振りを見せろよ!
「大体、小学校の時は普通に話してただろうが。何でいきなりそんなこと言うんだよ」
「私もそろそろ親離れしてきてるんだよ。そして反抗期真っ盛りなんだよ」
「僕は何時からお前の親になった?!」
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.8 )
- 日時: 2016/05/13 23:36
- 名前: 四つ葉 (ID: g./NUPz6)
ったく、こいつと話していると無駄に精神力が削られていく………。
いや、もうひょっとしたら精神力だけでなく、生命力まで削られているのかも………。
だとしたら恐るべきだな、奏!
ちなみに奏=幼馴染みだ。
「ねぇー、齋は阿呆?馬鹿?どっち?」
「何だよ突然」
「会話がないから、何となく」
「いや、何となくって………。だとしたらもう少し会話の内容を選べ!ってかあれだ、いくらなんでも、幼馴染みの僕にでも気を遣え!"親しき仲にも礼儀あり"だ!」
「あ、私達って"親しき仲"だったの?」
お前何時か殺されるぞ。
被害者お前、犯人………お前に恨みを持った人物。
幼馴染みなのに親しき仲呼ばわりされなかった人物。
─────って、それ僕以外に思い当たらない。
ってか僕だった。
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.9 )
- 日時: 2016/05/13 23:58
- 名前: 四つ葉 (ID: g./NUPz6)
「で、話戻すけど」
戻すのかよ。
「齋は馬鹿なの?阿呆なの?」
さっきと馬鹿と阿呆の順番が逆になっていることには触れないでおこう。
「僕は多分、どちらでも無いと思うけど」
「いや、確実にどちらかでしょ」
うーん………。
いや普通、阿呆か馬鹿か聞かれてどちらかを答える奴なんて匆々いないだろ。
「抑、馬鹿と阿呆の違いってあるのか?」
「あるよ」
へぇー。
意外とそんなこと知ってんだな。
その知能を別の所に活かせよ。
「馬鹿は馬と鹿で、阿呆は阿吽が呆れたって違いでしょ?」
「ドヤ顔で意味不明なこと言うな!」
何の説明にもなっていないだろ!
「馬鹿は勉強的に頭が悪く、阿呆は性格的に頭が悪い」
「あ、美月、いたんだ」
いたんだ、って言い方酷いな!
まるで美月の影が薄いみたいな言い方じゃないか!
………まぁ実際そうなんだけど。
斎藤美月。
12歳、岬咲町立松山小学校六年生。
僕の年子の妹だ。
僕よりも優しく僕よりも可愛く僕よりも気が利く羨ましい性格だ。
だからあんまり可愛げが無いんだけどな。
だって、何でも冠でも一人でやってのけるんだもん。
面白くないのである。
「で、改めて聞くけど、齋は馬鹿なの?阿呆なの?」
「やっぱりどちらでもないよ」
僕は勉強的にも、性格的にも頭は悪くない。
寧ろ平凡だ。
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.10 )
- 日時: 2016/05/15 00:22
- 名前: 四つ葉 (ID: BvdJtULv)
でも、僕の中で平凡だったとしても、世の中的には此を"平凡"とは呼ばないのだろう。
そう──僕が背負ったものは、平凡とは決して呼んで良いものではないんだろう。
「兎に角、イツっくんは分類的に馬と鹿でしょ」
「馬鹿って言わなかっただけましだろ、みたいな表情して言うの辞めろ!大体馬と鹿って最早違うものだから!」
「あ、ばれた?」
「其でばれないと思ってたのか?!」
驚きだ。
本当にこいつが僕の妹なのか疑ってしまう。
………逸そ今度、DND検査でも受けようかな………
否勿論、冗談だが。
逸んな事したら、絶対親に引かれる。
まず、料金高いから辞めなさい、とかなんとか言われる。
抑、僕の黒歴史確定だ。
「じゃあバイバイ、内海」
「じゃあね、美月」
二つの分かれ道。
美月は右の道、僕と奏は左の道へと行く。
というかおい、実の兄は無視かよ。
ったく、酷いものである。
もう少しでも、ブラコン要素が僕の妹に含まれれば良いのだが。
「斎、あの子可愛くない?」
「ん?ブラコンか?」
「何言ってんの、変態」
しまった。
変態呼ばわりされてしまった。
ブラコンと言うだけで、変態呼ばわりされる社会になってきたんだな………。
僕が生きれる町はもう絶滅したのだろうか。
───ブラコンを口にしても変態呼ばわりされない町が
何て、そんなものがあるわけ無いのだが、というか逸そ自分で造ろうかともおもったのだが。
まぁ辞めておいた。
───ガチで死んでしまう
殺されるぞ僕。
言葉と言う名の暴力に!
兎に角、兎も角。
「で、どの子が可愛いんだよ」
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.11 )
- 日時: 2016/05/15 22:54
- 名前: 四つ葉 (ID: n3KkzCZy)
「あの子」
そう言って奏が指した人物を、僕は知っている。
僕に限らず奏も美月も、去年松山小学校に在籍していたものなら誰しも知っているのではないだろうか。
下手すれば中学の教師も知っているかもしれない。
望月遥。
12歳、僕の去年のクラスメート。
つまり、同じ小学校の卒業生だ。
小学校の中でも、否町内でも有名な優女である。
誰にでも均等に平等に優しく、誰よりも一般常識に近く誰よりも他人の理想に近い。
そして、誰よりも完璧である。
そんな彼女が僕の事を知っているのか否かは知らないが、僕は風の噂と言う奴で彼女の事を知っていた。
否、彼女の噂も凄いものだ。
少なくとも其処ら辺の地元民に聞けば電話番号と住所が分かってしまう。
まったく、個人情報の流出も良いところだ。
兎も角、逸んな彼女は勿論成績優秀態度優秀、品方向性で大抵の事は何でも出来る。
出来てしまう。
正に『立てば芍薬座れば牡丹』とは彼女の為に作られたような言葉であると、僕は思う。
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.12 )
- 日時: 2016/05/16 07:03
- 名前: 四つ葉 (ID: n3KkzCZy)
と、其れにしても。
「お前と望月って、同じクラスになったことないっけ?」
「あるよ」
「じゃあ、『あの子』だなんて他人事みたいな言い方、変だぞ」
「良いじゃん、別に」
何だよ。
素直じゃないな、奏。
でもなんで゛あの子゛だなんて他人行儀なことをいったのだろうか。
俺はてっきり友達の多いお前の事だから、望月とも既に゛友人゛と呼べる仲になっているものだと思っていたぞ。
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.13 )
- 日時: 2016/05/16 20:33
- 名前: 四つ葉 (ID: 4V2YWQBF)
まぁ、女子同士にも男子にはわからない色々とした居座古座があるんだろう。
其処に口を出すほど、僕はデリカシーの無い奴じゃない。
デリカシーの欠片も無い何処ぞの年子の妹よりは、ましである。
「斎、早く行かないと遅刻するよ?」
「あぁ、そうだな。入学式当日に遅刻は、流石に恥ずかしいしな」
「は?何言ってんの?抑斎が此処に居る事自体が結構な恥なんだよ」
酷い!
僕はどんな恥人間なんだよ!
お前、俺に恨みでもあんのか?
じゃないとあんな毒舌吐けないぞっ!
もしかしてあれが素なのか…?
だとしたら怖いぞ、奏。
お前将来、年齢=彼氏居ない歴、の人間になるぞ。
まぁ今でもそうなのだが。
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.14 )
- 日時: 2016/05/16 22:50
- 名前: 四つ葉 (ID: 4V2YWQBF)
そんなどうでもいいことは本当にどうでも良いので放って置いて。
僕と奏は校舎に足を踏み入れる。
と言って、別に初めて校舎内に足を踏み入れたからと言って、何を感じるわけでもなく、唯々普通にこれからのぼっちに生らない為の対策を考え出しただけであった。
………また、ぼっちになるなんてぼくはごめんだ。
また……また!
「どうしたの?斎」
「否、何も無い」
「?意味不明。中学生に生っても相変わらず毎日妹の下着を盗むなんて犯罪的行為を趣味としているから理性が壊れちゃったの?」
「僕は妹の下着を盗んだこともないし、趣味にもしていない!」
僕は何処ぞの変態だ!
妹の下着なんて盗まねーよ。
盗んだら此方が死ぬわ。
───社会的にも肉体的にも精神的にも。
「まぁ、こんなくだらない話は辞めて」
「僕が罪人と間違われたことはくだらない話なのか!?」
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.15 )
- 日時: 2016/05/17 07:00
- 名前: 四つ葉 (ID: 4V2YWQBF)
「くだらない、話す価値もないくらい」
「泣くぞっ!?」
まぁ、泣く気なんて更々無いのだが。
というか泣いたら泣いたで、恥ずかしい。
中学校生活三年間、ぼっち確定になってしまうからな。
………ぼっちはもう嫌だ!
懲り懲りだ!
がらがら。
教室の戸を横に開けて中へと入る。
まだ数人──否はっきり言って一人しか来ておらず、制服の左胸の所には゛瀬名゛と書いてある。
制服は、男子はブレザー制服にワイシャツ、女子も同様にブレザー制服にワイシャツである。
鞄の指定は無し、各自自由だ。
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.16 )
- 日時: 2016/05/17 23:02
- 名前: 四つ葉 (ID: JIRis42C)
「瀬名さん?であってるかな?」
いきなり話し掛けるなんて相変わらずの度胸と根性だな、奏。
その代わり知能と優しさ(主に僕に対するものだけれど)が徹底的に欠けているがな!
「うん……瀬名であってる」
瀬名さん──僕から見て、゛可愛い女子゛という分類に入る瀬名さんは頷く。
奏はにこりと相手に微笑み掛けるが相手は無反応。
二人の間には長い長い、そして思い沈黙が流れる。
………此処は男子として、手を差し伸べてやらねばな。
普段の奏への恩返しだ。
普段奏には、一緒に登校して貰ってるし………。
他にも───荷物持たせて゛頂いて゛いたり、送り迎えもさせて゛頂いて゛いるからな………。
否待て、此じゃまるで僕あれだ。
アッシー君とかとか貢君とかそこら辺と大差ないぞ。
というか諸々あれだ。
奴隷だ奴隷。
綺麗な言い方で召し使い───決して綺麗な言い方ではないけれど。
とまぁ、本題へ。
「瀬名さん、可愛いよな」
容姿を見て、思った通りに言う。
女子は大抵、可愛いと言われれば喜ぶものだ。
瀬名さんも例外、と言うわけではないだろう。
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.17 )
- 日時: 2016/05/18 19:35
- 名前: 四つ葉 (ID: JIRis42C)
しかし彼女は怪訝そうに眉を寄せて、僕を睨む。
「今すぐ消え失せて」
と、一言添えて。
「じゃ、斎何処か行っててね(ハート)」
おい奏。
゛ハート゛とか付けてたら何処ぞの幼馴染みに夜部屋に侵入されるぞ。
でもって、そのままあの世にバイバイされるぞ。
まぁ、そんな卑劣な奴だけは僕だとは信じたくないのだが。
とはいえ其れも僕だった。
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.18 )
- 日時: 2016/05/18 20:20
- 名前: 四つ葉 (ID: JIRis42C)
ていうか哀しすぎだろ僕!
しかも゛哀れ゛な方の哀しいだぞ!
どんだけなんだよ!
哀れな哀しい奴って!
幼馴染み殺しちゃうんとかさぁ!
───と、今は『コロス』なんて言葉を簡単に、日常的に、平凡的に、冗談混じりに使える僕だが、昔は違った。
あの『裏側』では違った。
違ってしまった。
違いが出てしまった。
゛ホミル・カイドオガー゛
彼奴の話は又今度。
別の場所でするとしよう。
と、あまり彼奴の話は好んでしたいとは思わない僕だが。
あんな奴の話は出来ればしたくない。
それは僕の原点にもなるから。
頂点にもなるから。
始まりにも、終わりにも。
何にでもなってしまうから。
僕に関わる『何にでも』なってしまうから。
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.19 )
- 日時: 2016/05/18 20:57
- 名前: 四つ葉 (ID: JIRis42C)
そう、『何にでも』
奴は僕の一部であり、僕は奴の一部。
僕が居なけりゃ奴は居ないし、奴が居なけりゃ僕の人生に大きな影響が及んでいた。
今の僕は居なかった。
だから、僕と奴は一心同体。
僕が損すれば奴にも損だし、奴が損すれば僕も損。
そんな関係である。
今のところは、たったの、其だけの関係である。
たった、そんな惨めでちっぽけな関係である。
でも、だからこそ───
「ねぇ、あんた」
僕の回想を誰かの声が打ち切る。
銀髪でストーレトなふんわりとしたショートカット。
彼女が歩くに連れて髪も靡く。
スッとした体型は、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。
そして瞳は───右瞳が碧く、左瞳が黄色い。
所謂、オッドアイ。
彼女は僕の前に立つ。
「あんた、私と付き合ってくれない?」
衝撃の一言。
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.20 )
- 日時: 2016/05/18 22:07
- 名前: 四つ葉 (ID: JIRis42C)
奏は驚きで目を見開いているし、瀬名も瀬名なりに驚いた表情をしている。
暫くの沈黙が流れる。
「良いから、付き合ってよ」
「嫌です!」
丁重にお断りだよ!
そんなワケワカメな事言われても!
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.21 )
- 日時: 2016/05/19 06:58
- 名前: 四つ葉 (ID: JIRis42C)
「まぁ、良いから来て」
彼女はそう言って僕の右手を掴む。
ファーストキスならぬ、ファーストタッチだぞ。
身内以外の異性と手を繋いだのは、此れが僕、斎藤齋の一生の人生で初めてだった。
*****
僕は今屋上にいる。
入学式当日に立ち入り禁止のテープが張られた場所に入るのもどうかと思うが。
「ここなら話せる。さっきはあんたなんて言って御免」
自分のキャラじゃなかったよ。と、言い彼女はフェンスに凭れ掛かる。
僕はごくりと唾を飲んだ。
何が起こるのだろう、と。
そして彼女は一言言い放った。
「私、君と一緒なんだよ」
そう言いオールソックスの靴下を足の踝程まで降ろす。
「何だよ、それ───」
其処には、氷があった。
冷凍庫で作れる、あの氷が。
彼女の足に゛同化゛していた。
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.22 )
- 日時: 2016/05/19 23:07
- 名前: 四つ葉 (ID: JIRis42C)
「………」
沈黙を保つ。
まさかこいつは…
彼女は───
裏を知っているのだろうか。
あの恐怖を。
あの死の恐怖を。
あの『世界の裏』を。
「あら、ノーリアクション?傷つくなぁー」
はぁ、と溜め息をつく彼女。
「君もあれでしょ?どーせ行ったことあるんでしょ?彼の場所に」
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.23 )
- 日時: 2016/05/20 22:17
- 名前: 四つ葉 (ID: UcGUlfNK)
隠さないで言ってよ、と彼女は言う。
そう、彼女の言う通りだ。
僕は行ったんだ。
彼の場所に───最悪最低な、現実に有り得る科学的な地獄と呼べる場所に。
そんな場所の説明をするには、結構なことを話すことになるだろう。
少し話すことにしよう。
少し、雑談混じりになんて、そんな楽しい雰囲気じゃないかもしれないけれど、それでも。
それでも、少し楽しんで話すとしよう。
*****
地球上には様々な国が存在する。
様々な国に、名前なんて無かった頃。
抑、国自体の存在が無かった頃。
世界には中心があった。
中心が居た。
中心が息を持っていた。
その中心を境に、人や国、何もかもが出来ていく。
造られていく。
創っていく。
便利良く、不便なんて無いかのように造られていく。
でも、メリットしか存在しないなんて事はない。
必ずしも何処かに、デメリットが存在しているのだ。
自動車は便利だけれども、お金が抑掛かる。
食べ物は美味しいが体重は増えていってしまう。
そんな感じのデメリット。
一長一短。
その、デメリットが。
一短が。
集まったものが『裏』
世界の『裏』
人が産み出した不幸の塊。
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.24 )
- 日時: 2016/05/21 17:11
- 名前: 四つ葉 (ID: JIRis42C)
その不幸の塊にも、世界の裏側にも。
やはり何者かが住んでいるものだ。
そして、その者達から害を受ける世界の表側の住人も存在する。
何らかの事情で裏側の世界に足を踏み入れてしまった者達が、害にあってしまう。
老若男女、人か虫か、生者か死人かなんて事も関係無しに。
僕も其の被害者の中の一人だ。
僕は彼の世界で───゛裏側゛の世界で、最もと言っても過言ではない程の被害を受けたのだ。
───彼の世界で───
彼の世界で僕は───
゛死神゛に、出会ってしまったのだ。
憑かれてしまったのだ。
死神に゛殺されて゛しまったのだ。
- Re: 世界一片裏記録日記 ( No.25 )
- 日時: 2016/05/21 20:14
- 名前: 四つ葉 (ID: JIRis42C)
まぁ、その事を考えるのは此所までにしておこう。
又今度の機会に、という名目にでもしておくとして。
「君は───君も、裏側に行ったのか…?」
恐る恐る聞く気はないのだけれど、其れでも声は震える。
「うん、行ったよ」
必然であるかのように、当たり前であるかのように、彼女は答える。
そして、あぁ忘れていたと呟いて耳に髪を掛ける。
「雪白文音。明日から多分クラスメートになると思うから宜しくね」
そしてにこりと笑顔になる。
此れが僕と彼女、雪白文音との出会いだった。
【文音雪神 partone fin】