複雑・ファジー小説
- Re: 心を鬼にして ( No.4 )
- 日時: 2016/06/14 18:23
- 名前: 凜太郎 (ID: LN5K1jog)
第1話「燃えろ熱血!赤鬼誕生」4
「龍斗、龍斗!」
声が聞こえる。俺はゆっくり目を開けた。
そこには、心配した様子の健二がいた。
「健二・・・・・・俺・・・・・・」
「お前、こんなにボロボロになってまで化け物追い払うなんて、すげーな。部室とかもほとんど被害なかったし、お前どうやって追い払ったんだ?」
あれ?と、俺は疑問に思う。
あの化け物は夢じゃなかったのか?でも、たしかに俺は怪我してるし、でも部室も爆散していたような気がする。
俺は恐る恐る自分の右手の甲に目を向けた。
そこには、鬼を模したような奇妙な紋様がハッキリクッキリとそこにあった。
「まさか・・・・・・夢じゃない・・・・・・?」
「何言ってるんだ?しかし、怪我してて焦ったけどこれなら数日で退院できそうだって先生言ってたぞ。良かったな」
「あっそう・・・・・・」
俺は曖昧な返事しか返せない。
あの化け物や、鬼になったりとかが、夢じゃないなんて・・・・・・。
俺はしばらく健二と話していたが、しばらくして彼は帰った。
もう外は真っ暗。俺みたいに怪我しないといいけど。
「にしても・・・・・・結局あれはなんだったんだ」
俺はベッドに仰向けになり、天井を見上げる。
真っ白な天井。それを見て、ため息を漏らした時だった。
目の前に、真っ赤な物体が現れた。
「あれは桃太郎一行の一人のキモンだアカ」
「うわぁ!?」
夢に出てきた(?)赤鬼だった。
急に現れるものだから、俺は驚いて急に起き上がってしまい、ソイツに頭突きしてしまう。
赤鬼は「痛いアカぁ・・・・・・」としばらくおでこを押さえていたが、やがてキリッと顔を上げると、俺の腹の上に乗り、正座をする。
「オイラの名前はアカト。よろしくアカ」
「あ、よろしくお願いします・・・・・・?」
俺も自己紹介するべきかと思ったが、化け物の前で一回堂々と名前名乗ったし、さっきも「りゅーと」と呼んできたので、多分いらないだろう。
アカトとやらは、コクッと頷き、姿勢を正す。
「それで・・・・・・えっと、何から聞けばいいのか・・・・・・」
「とりあえず、オイラのことを話してもいいか?」
「い、いいですけど・・・・・・?」
とりあえず、話の流れは彼(彼女?)に任せよう。
だって俺じゃどうしようもないし。
「オイラはりゅーとの中にいる鬼の分身だアカ」
「・・・・・・はぁ?」
そもそも俺の中に鬼がいることについて疑問が多いのだが。
「鬼って一体・・・・・・?」
「鬼ってゆーのは、心に強い信念を持つ者に宿るものだ。昔はどの人間にも鬼が宿って覚醒も済んでたんだけど、最近では鬼を持つ者はメッキリ減って、ほとんどいないんだアカ」
「なるほど・・・・・・?」
「理解したのか?」
「まぁ、なんとなくは・・・・・・」
「そうか」
アカトはそう言うと、悔しそうに顔を歪めた。
悲しそうな目で俺の顔を見上げる。
「頼む、りゅーと。オイラと一緒に、桃太郎たちと戦ってくれ!」
「話ぶっ飛びすぎだろ!まず桃太郎についても教えてくれよ」
「あ、そっか・・・・・・」
コホンと咳払いをするアカト。
コイツ、本当に大丈夫なのかな・・・・・・?
「桃太郎っていうのは、その強い信念を持つ、鬼を持つ人間を世界から消そうとしているんだアカ」
「なんでだ?」
「桃太郎は、元々世界の全ての人類を自分に従わせようと、昔に一回暴れたことがあったんだアカ。でも、その時は鬼を持った人間が多くて、邪魔されて作戦は失敗したんだアカ」
「つ、つまり、次は邪魔されないように、鬼を持つ人間を消そうとしてるってこと?」
「大正解なのだ」
「じゃあ、昔に比べて鬼を持つ人間が減ったのも、その影響?」
「そう。それで、このままじゃ鬼は全滅して、この世界は桃太郎に支配されてしまうのだ」
俺が知らない間に、この世界は桃太郎とやらのせいで大変なことになりかけていたのか。
俺の中では桃太郎って正義の味方なんだけどなぁ。世界は何が起こるか分からない。
「まぁ、俺も鬼持ってるってだけで殺されたくねえし、世界支配されるのも嫌だし、良いけどさ」
「ありがとうなのだ。ちなみに、殺されることはないぞ?」
「え?」
「基本的に近い未来自分が支配する世界を破壊したくないみたいで、ダゴビキの能力で、あそこでの被害は基本的にほとんどは現実世界には影響はないのだ。だから、あそこで殺されても、鬼が殺されるだけで、お前は生き続けることができる。ただし、信念とかはな状態でね」
「そういうことは早く言えよ。な?」
まぁ、それが分かったところで俺がやることは変わらない。
「でも・・・・・・良いぜ。一緒に戦おう。アカト」
「やったー!」
桃太郎とやらから世界を守り、俺の信念を突き通す。
それが、これから俺がやるべきことだ。