複雑・ファジー小説

Re: 心を鬼にして ( No.6 )
日時: 2016/06/14 22:01
名前: 凜太郎 (ID: LN5K1jog)

第2話「冷静沈着?青鬼誕生」2

「蒼井。お前は今回のテストもクラス最高点だったぞ。よく頑張ったな」

 いつものごとく丸だけが書かれた答案用紙を見ながら、僕はため息をついた。
 勉強なんて、少し頑張ればできるし、正直やり甲斐がない。
 熱中できるものが欲しかった。でも、無い。

「一つだけ除いて、か・・・・・・」

 僕はチラリと視線を前に向けた。
 そこには、男子と一緒にテストの答案用紙を見せて、笑っている龍斗の姿があった。
 その答案用紙は、丸もあればバツもある、点数もパッとしないごく普通のテストがあった。
 赤桐 龍斗。彼だけは、僕を熱中させてくれた。彼と一緒にサッカーで競い合うのは、とても楽しかった。

「それももう、できないんだけどな・・・・・・」

 僕は俯いてため息をついた。
 サッカーは大好きだ。またやりたいとも、思う。
 でももう、できないんだ。いや、やろうと思えばできるかもしれないが・・・・・・。

「やるわけには、いかない・・・・・・」

 僕は拳をギュッと握り締めた。
 目を瞑れば、瞼の裏には一人の少女の姿が映っていた・・・・・・———。

−−−

「はぁ〜。なんで氷空はサッカーやらねーんだろなー」

 俺はボールを蹴りあげながら、そう呟いた。
 隣でリフティングに苦戦している健二は、「んなこと、俺が、知るか、よ・・・・・・っと」とと言った。
 まぁ俺も独り言のつもりだったんだが、それを言ったら彼が恥ずかしい思いをするだけだ。そのことについては黙っていよう。
 にしても・・・・・・。

「どうしたものかなぁ・・・・・・」

 ボールを胸の前まで蹴り上げ、それを両手で掴み、俺はため息を吐く。
 そんな感じで今日の練習は終わった。
 片付けやらを終え、帰路につきつつ俺は鞄の中からアカトを出した。

「はいおはよう」
「おはようじゃないアカ!すっごい狭かったのだ!」
「まぁまぁ。それより、氷空についてなんだけどさ・・・・・・」
「あぁ、あの鬼を持った奴か」
「え?」
「ん?」

 今なんて言った?

「氷空って、昨日りゅーとがなんか帰りに話してた奴だろ?」
「分からないけど、多分合ってる。え、アイツ鬼持ってんの?」
「あぁ。しかも、お前と同等くらいの強さはあるやつだぞ」
「マジかよ!?」

 驚きのあまり声を張り上げてしまった。
 口を押さえ辺りを見渡し、静かに息を吐き、アカトに向き直る。

「・・・・・・マジか」
「おう。鬼があるってだけでどんな能力かとかは知らないけどな」

 つまり、氷空にも強い信念があるってことか?
 何に対して?もしかして、サッカーをやらないことに対しての信念だろうか。

「これは、尚更聞いてみないとな!」

 俺が言うと、アカトは呆れた様子でため息をついた。