複雑・ファジー小説
- Re: 心を鬼にして ( No.15 )
- 日時: 2016/07/06 21:14
- 名前: 凜太郎 (ID: LN5K1jog)
第4話「青鬼の復帰!始動する期末テスト」3
「はぁぁ・・・・・・」
俺は、大きくため息をついてしまう。
それを見て、氷空は苦笑した。
「落ち込むな・・・・・・って、言いたいけど、その点数じゃなぁ・・・・・・」
氷空はそう言いつつ俺の前に広げられたテストを見て顔を引きつらせる。
点数は、まぁ、赤点ギリギリといったところ。
正直、よくまぁこの学校に合格できたなと思わせる点数だ。
「あはは・・・・・・やべぇよなぁ。これは」
俺の言葉に氷空も小さく、「だな」とだけ言い、無言で俺のテストをまとめて裏返しにしておいてくれた。
ちなみに氷空は言うまでもなく、クラス最高点。学年でも一位らしい。
「ほんっと羨ましいよ。お前の頭脳がよ」
「頑張っただけさ。夏休みは、部活以外の時間は勉強に当てないとな」
「うぐ・・・・・・」
笑顔で言う氷空に、俺は目を逸らす。
とはいえ、そうしないと流石に成績もヤバいだろう。
俺は何度目かになるため息をついた。
−−−
「勉強と言っても、一体何をすればいいのかもサッパリわかんねぇよ・・・・・・」
俺は道に落ちていた石を蹴りながら呟く。
ちなみに氷空は、今日は陽菜のお見舞いに行くと言い、部活や片付けが終わるとすぐに帰ってしまった。
仕方がないので、俺は一人でトボトボと下校中だ。
「あーあ、楽に頭がよくなる方法って、ないかなー」
頭の後ろで腕を組みながら、そう呟いた時だった。
「その願い、叶えてやろうか?」
どこからか、声がした。
見ると、フードを身に着けた男が、近くの塀に寄りかかった状態で笑っていた。
俺の体は自然と強張ってしまう。
「・・・・・・願いが叶う?それは、本当か?」
「あぁ、ただ・・・・・・」
彼の口の端はニタァと吊り上がり・・・・・・———
「君の中の鬼を、殺させてくれたらね」
「逃げろ!りゅーと!」
鞄の中から聞こえたアカトの言葉に俺は頷き、鞄を胸に抱いてひたすら走った。
気付けば空は紺色に染まり、不気味な空気が漂う。
「その中か!」
フードの男はそう叫ぶと、足元にあった小石を拾い、こちらに向けて投げてきた。
俺は咄嗟にそれを鞄を盾にして受け止めた。
小石のくせに、やけに強かったせいで、鞄の外側が弾け飛び、プリントやら教科書の破片やらが空中に舞う。
「っぐ・・・・・・アカト!大丈夫か!?」
俺はすぐに鞄に空いた穴から中を覗いた。中では、アカトが鞄の奥の方に避難しており、「大丈夫だアカ!」と親指を立てた。
無事で良かった、と顔を上げた時、俺は絶句した。
そこでは、俺のテストが数枚、ヒラヒラと空中を漂っていたからだ。
「あッ!それは・・・・・・ッ!」
「あぁ?なんだこりゃ」
男は俺のテストを掴んで見始める。
しばらく見つめた後で、「クハッ」と笑い飛ばした。
「こりゃあ酷い点数だなぁおい!こんなんじゃお前の中の鬼もさぞかし嫌なことだろう!」
「なッ!そのテスト返せよッ!」
俺は咄嗟に鞄を振り回しながら走った。
しかし、変身前の状態じゃ太刀打ちできず、鞄を何かで爆散された挙句腹を蹴り飛ばされ、地面を転がる羽目になった。
「はっははは!これは傑作だ!そうだ、せっかくだからお前のこの酷いテストをダゴビキにしてやらぁ!」
俺はすぐに顔を上げ、やめさせようと手を伸ばした。
しかし、それより先に彼は俺のテストに丸い物体を付けてしまい、ダゴビキになってしまう。
「クソッ・・・・・・ッ!こうなったら、やるしかねぇ!」
俺はそう言いつつ、右手の甲に力を込め、変身した。