複雑・ファジー小説
- Re: 心を鬼にして ( No.21 )
- 日時: 2016/07/25 21:21
- 名前: 凜太郎 (ID: LN5K1jog)
第6話「魔の修了式!赤鬼、新しい力!」1
「うー・・・・・・夏休みだぁー!」
俺が叫ぶと、横で歩いていた氷空が俺の頭を叩いた。
見ると、氷空は苦笑する。
「まだ修了式だろ?その前に大掃除もあるし、修了式の前後でも、表彰式だとかもあるんだから。あ、表彰式には龍斗の大好きな緑川先輩も出るよ」
「え!緑川先輩が!?」
つい反応してしまう。それを見た氷空は苦笑し、「本当に先輩のこと大好きなんだな」と笑った。
好きといっても憧れとかそう言う類だっての・・・・・・。
その時、風が少しざわついた気がした。
「あれ、なんか風、変わったか?」
「え?あぁ、少し強くなったね。・・・・・・あ、もしかして女子のパンチラでも狙ってるのか?」
「んなわけあるか!」
俺は否定しつつ、前髪を掻き上げた。
今はもう風は落ち着き、誰も先ほどの風のことなんて気にしていなかった。
「おーい。龍斗?何やってるんだよ?」
「ん?あぁ、いや。なんでもねぇよ。そうだ、折角だからさぁ、久しぶりに学校まで競争してやろうぜ!」
「久しぶりって・・・・・・最後にやったの中学校の入学式の日じゃんかー・・・・・・」
「気にしない気にしない!よいドン!」
「あ、ちょっと待てって・・・・・・」
俺は追いつこうとする氷空に笑いながら、全力で走った。
学校に着く頃には、先ほどの風のことなんて、忘れていた。
−−−
跪くクドツとキモンの表情は、悔しそうに歪んでいた。
鬼の覚醒者の二人ともを倒せず、ついに桃太郎に呼ばれてしまったのだ。
「あぁぁ・・・・・・俺はなんでこんな無能な部下を持ってしまったんだろうか・・・・・・」
大きな椅子に座り、偉そうに見下ろすフードの男は、そう言ってため息をついた。
それを見た二人は焦りの表情を浮かべた。
「まぁ、良い・・・・・・ジーケはまだ帰らなそうだしな。奴が帰ってくるまでは、お前たちの力のみで、せいぜい頑張るが言い」
部屋を出たキモンは、悔しそうに壁を殴った。
「くそッ!結局はジーケだけが、桃太郎様の部下みたいな扱いじゃねぇか!」
「いや、あながち間違ってはいないな。アイツは今だって、別地域の鬼を退治している頃だろうし」
クドツの言葉に、キモンは「あー!」と髪を掻きむしった。
しばらくガリガリと掻いた後で、「そうだ」と呟くように言った。
「なぁ・・・・・・俺たちもそろそろ、次のステージに進む時じゃねぇか?」
「次のステージって・・・・・・まさかお前!」
「あぁ。お前だって、こうするしかないって分かっているはずだ」
キモンはキビ団子を取り出すと、ニヤリと笑った。