複雑・ファジー小説
- Re: 心を鬼にして ( No.24 )
- 日時: 2016/07/27 22:03
- 名前: 凜太郎 (ID: LN5K1jog)
第6話「魔の修了式!赤鬼、新しい力!」4
「どぉりゃああああああああああああッ!」
俺は刀に炎をまとわせ、鬼に切りかかった。
しかし、鬼の体は鋼のように固く、甲高い金属音と共に刀に僅かにヒビが入る。
すぐに鬼の腕に顔面をぶん殴られ、俺は地面を跳ねた。
「ガハッ・・・・・・!」
口から声が漏れる。
なんとか近くに刀が落ちているのが見えるが、脳震盪にでもなっているのか、上手く体に力が入らない。
「龍斗ッ!」
すぐに氷空が叫び、拳銃を構えた。
そこに鬼が迫り、氷空の顎を蹴り上げた。
俺より一回り小さな体は上空まで吹き飛び、やがてグラウンドにぶち当たる。
「そ、氷空ッ!大丈夫か・・・・・・ッ!?」
「ゲホッ!あ、ぁ・・・・・・ッ!大丈夫だ」
俺は地面を這い、氷空に近づいた。
所々が傷だらけで、頭からは血を流している。
致命傷、ではないかもしれない。でも、致命傷じゃないだけだ。そして、俺も。
その時、足音が迫ってきた。見ると、鬼が少しずつ近づいてくるのが分かった。
「はっははは!鬼の覚醒者も、これで終わりだなぁ!」
「・・・・・・おい。よく考えたらおかしくないか?お前たち桃太郎とやらの部下で鬼を倒す立場なのに、鬼を利用するとか、プライドどうなって・・・・・・」
「お前、自分が今どういう立場なのか分かってんのか!?」
なんとなく時間稼ぎで言ったら、クドツはマジギレしてきた。
だって、おかしいじゃないか。鬼を退治する立場が鬼生み出してどうするんだっていう。
しかし、そんなことを気にする立場じゃないのは理解している。
だって、もう目の前に鬼が迫ってきている・・・・・・。
「氷空。お前は逃げろ・・・・・・」
「は?何言って・・・・・・逃げるなら、せめてお前も・・・・・・」
「俺は戦うッ!たとえ、この命尽きようともなぁッ!」
叫びつつ、フラフラと立ち上がる。
しかし、どこか痛めたのか、すぐに膝をつく。
目の前には、すでに鬼が拳を振り上げてきていた。
「りゅーとに手を出すな!」
その時、赤い塊が目の前に出てきた。
それは鬼の拳を必死で止めている。
「アカト・・・・・・?」
「そら!りゅーとを連れて早く逃げるアカ!」
アカトの小さな体じゃ、鬼の拳は受け止めきれなかった。
多少は彼の力もあったのだろうが、拳は俺の鼻先を掠め、アカトを地面に叩き落した。
「アカトッ!」
俺はすぐに彼の小さな体を抱き上げた。
アカトは俺の顔を見て、ニッと笑った。
「りゅーと・・・・・・無事で良かった・・・・・・」
「馬鹿ッ!お前は鞄の中に入って俺等の戦いを見てりゃいいんだよッ!無理に戦うなよ!」
「でも・・・・・・りゅーとやられそうだったから・・・・・・」
「お前・・・・・・」
俺は思い切りアカトの体を抱きしめた。
その時、俺とアカトの間に赤い光が出てきた。
「龍斗ッ!それは・・・・・・?」
「分からねぇ」
その光はそのままヒビの入った俺の刀に近づき、やがて刀全体を包み込む。
かなり眩しかったので、俺はつい目を細めた。
しばらくして光が収まると、そこには刃が赤くなった刀があった。
「刀が・・・・・・進化した・・・・・・?」
「グオオオオオオオオオオオオッ!」
鬼の雄たけびに、俺はなんとか立ち上がり、刀を構えた。
すると、少しずつ力が湧き上がってくるのが分かった。
「この感覚・・・・・・ッ!」
俺は一気に踏み込み、刀を振り上げた。
業火に包まれた刀を振り上げ、鬼に振り下ろした。
燃え尽きる鬼を見ながら、俺は地面に足を着いた。
「龍斗ッ!大丈夫か・・・・・・?」
「りゅーと!」
「あぁ、大丈夫だ。にしても、この力・・・・・・」
真っ赤になった刀を眺めながら、俺はポツリと呟いた。
氷空は俺が持つ刀を見て、息をつく。
「まぁ、これに関してはもっと知っている人物がいるしな。今は、修了式だ」
「そうだな。行こう!」
俺たちは変身を解き、体育館に向かった。
そして俺たちの日常は、夏休みに突入した。