複雑・ファジー小説
- Re: 心を鬼にして ( No.26 )
- 日時: 2016/08/04 21:40
- 名前: 凜太郎 (ID: LN5K1jog)
第7話「鬼と人の絆?青鬼、新しい力!」2
「じゃあ、お邪魔しました」
「おう。また明日、部活でな」
龍斗はそう言って手を振る。僕も振り返した。
十分ほど歩いて家に帰ると、鞄の中から青鬼を出した。
彼はフワフワと浮かぶと、唐突に僕の机の上に座った。
「おい、何やってんだよ。そんなところに座ってたら、勉強できないだろ?」
「なぁ・・・・・・拙者達って、仲良くないよなぁ」
突然の一言に、僕はつい、「はぁ?」と言ってしまった。
確かに僕と彼は仲良くない。とはいえ、犬猿の仲というわけではないのだ。
ていうか、コイツの第一人称「拙者」なのか。忍者か?
「まぁ、仲良くもないし、悪くもないって感じだよな。それがどうかしたのか?」
「もしかしたら、あの新しい力を出すには、鬼と人との絆が大事になるんじゃないかと思ったからな」
「鬼と人との・・・・・・絆?」
僕は勉強道具を出しながら首を傾げた。
今更絆とか言われてもなぁ?僕は冷静に青鬼をどかしつつ、「気が向いたらな」とだけ言ってやる。
「気が向いたらじゃ遅いアオ!また強い敵が出てきたらどうするつもりだアオ!」
「と言っても、人外生物と仲良くしろといきなり言われても困るしなぁ」
僕はそう言いつつ、数学の問題集を開いた。
脳が勉強モードに切り替わった瞬間、僕の中で一つのアイデアが浮かんだ。
僕は青鬼を掴むと、笑って見せた。
「お前、この町のこととかよく知らないだろ?」
「え?まぁ、そうだけど・・・・・・」
「じゃあ、付いて来いよ。僕が案内してやる」
「あ、案内・・・・・・?」
困惑した様子の表情を浮かべる青鬼に、僕は荷物を軽くまとめながら言ってやる。
「まぁ、デートだよ。恋愛も友情も、相手のことを深く知るには、二人きりで出かけるのが一番だよ」
僕は薄手のパーカーを羽織ると、フードの中に青鬼を入れてやり、その下から滑り込ませるようにリュックを背負った。
そして、家の車庫から自転車を引っ張り出すと、漕ぎ始める。
−−−
「また負けちまったのかよ」
黄色いヨーヨーで遊びながら、キモンはぼやくようにクドツに言った。
クドツは軽く肩を揉むと、「うるせぇな」と煙たげに言った。
「まさか、変な力まで使えるとはな。よく分からない技使われて、倒されたよ」
「もう、あの餓鬼どもは計算で測れる強さじゃないってことか」
キモンはそういうと、器用にヨーヨーを回し、空中に放ってキャッチした。
「まぁ、ジーケが来るまでの時間稼ぎってところか。アイツが来れば、俺たちは必要も無くなるからな」
「それまでに倒せれば、桃太郎様は俺たちのこともちったぁ見直してくれるだろ」
キモンはテーブルにヨーヨーを置くと立ち上がり、息をつく。
「俺様ももう少し、頑張ってみるかな・・・・・・」