複雑・ファジー小説
- Re: 心を鬼にして ( No.30 )
- 日時: 2016/08/07 21:20
- 名前: 凜太郎 (ID: LN5K1jog)
第8話「夏だ!海だ!合宿だ!サッカー部地獄の合宿開始!」2
「ジーケが、もうじき帰ってくるらしい」
クドツの一言に、キモンは遊んでいたヨーヨーを落とした。
床を転がる黄色のヨーヨーは、そのまま机の足にぶつかる。
クドツはそれを見下ろしつつ、目を瞑った。
「時間が無い。彼女が帰ってくれば、俺たちの首はないものだと思え」
「はっ……ははは……あっははははッ!」
キモンは笑いながら、自分の前にあるゴミ箱を思い切り蹴った。
それはゴミをまき散らしながら壁にぶつかり、粉々に砕け散った。
彼はそれを見届けるのと同時に立ち上がり、フラフラとドアの所まで歩いていく。
「黙ってやられてたまるかよ……」
キモンはそう呟くように言うと、部屋を出て行った。
−−−
深い惰眠を貪っていた俺は、スマホの着信音によって起こされる。
画面を見ると、氷空からだった。俺はのんびりそれに出た。
「あー……もしもし、氷空?どーしたんだよ。まだ5時前じゃねぇか」
『もう5時前だよ』
電話の向こうから聴こえた氷空の声は、なんだかとても苛立っている様子だった。
あれれ〜?俺、なんか悪いことしたっけな〜?
「えっと……?」
『もう面倒だから答え教えてやるよ寝坊助野郎。今日はサッカー部の合宿の日だろうが』
氷空の言葉に、俺はカレンダーを見る。
ちょうど、今日の日付のところに赤ペンで丸が書かれ、文字で『合宿!』と書いてあるではないか。
俺が現実を理解するのに、数秒くらい掛かった。そして時間は、加速する。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!」
俺はすぐに電話を切ると、慌ててベッドから転がり落ちる。
寝間着のシャツやズボンを脱ぎ、部活の指定シャツとズボンを履く。
氷空のアドバイスで前日に準備を終わらせてて良かった!俺はでかい鞄を担ぐと、すぐに家を飛び出し全力ダッシュで学校まで駆けた。
ちなみに、遅刻した俺は主に氷空に怒られましたとさ。
−−−
いつの間にか眠っていた俺は、何かに反射してキラキラ光る輝きに、目を開く。
口からはだらしなく涎が垂れており、俺は咄嗟にそれを手の甲で拭った。
窓の外に目を向けた俺は、すぐに隣で寝ていた氷空を揺すり起こす。
寝ぼけ眼をこする氷空に、すぐに俺は窓の外を見させた。
窓の外を見た氷空は、「わぁ」と声を漏らした。
太陽の光を反射してキラキラと光る真っ青な海。ついに始まるんだ。合宿が!