複雑・ファジー小説
- Re: 心を鬼にして ( No.41 )
- 日時: 2016/11/01 21:47
- 名前: 凜太郎 (ID: uzSa1/Mq)
第11話「夏の出会い!8月に咲く恋の花!?」
「でりゃあああああああああああああッ!」
青い炎を纏った刀で、俺はダゴビキを切り裂いた。
空が紺色から綺麗な青色に戻るのを確認し、俺は変身を解いた。
「部活直後に来るってのは予想外だったな」
「そうですね……キモンやクドツが来るわけでもないですし」
緑川先輩と氷空の会話に、俺は首を傾げる。
「何の話だ?部活直後くらいに来るのは初めてじゃないぞ。俺が鬼になった時は、部活終わりのグランド整備の時だし」
「うーん……どっちかと言うと、時間とかタイミングよりも敵がダゴビキ以外現れないのが気になるんだよね、僕は」
俺の言葉に、氷空は苦笑いしながらそう言った。
緑川先輩もそれに頷く。
「今まで赤い髪の奴や、黄色い髪の奴らが来てただろ?最近、来なくなってからダゴビキ?とやらも強くなったみたいだし、何か裏があると思うんだよなぁ……」
考えすぎだと思うけどな、俺は。
「じゃあさ、3人でダゴビキの原因探しするってのはどうだ?」
「あー……ごめん。僕これから陽菜のお見舞い」
俺の誘いを断りながら、氷空は鞄を背負った。
それに「えー」と俺が不満そうな声を上げると、緑川先輩も「実は俺も用事が……」と言った。
「用事って?」
「康平と勉強会。まぁ、俺は俺でそれっぽい奴見つけたら相手しとくから。何かあったらミドリが連絡役をしてくれるさ」
「任せるミド!」
先輩の言葉に、緑色の鬼がえっへんと胸を張る。
氷空と違って先輩は鬼とすぐ仲良くできたんだなぁ、と思い、なんとなく氷空に顔を向けると、不思議そうに首を傾げてきた。
「じゃあ、また明日の練習で」
「おう。またなー。先輩さようなら!」
「おう。またな」
そんな会話をしつつ、俺たちはそれぞれ帰路についた。
−−−
「次々にダゴビキを発動させているのは、やはりジーケだろうか」
街の様子が見られる鏡を見ながら言ったクドツの言葉に、キモンは「多分な」と答える。
「こっちには全然来ないのに、ダゴビキを出しては負けるって……っていうか、本当に強いのか?コイツは」
「いや、この感じ……まだ遊んでいるような感じがする。桃太郎様があれだけ評価する幹部だぞ?それがこの程度の実力なわけが……」
クドツの呟きを嚙みしめるように脳内で反芻させたキモンは、やがて小さく息を呑んだ。
「まさかコイツ……遊んでる?」
「……フンッ。ガキだからって油断しているんだろ。俺は知らん」
クドツはそう言うとソファに仰向けに横になり、やがてぼやくように言った。
「もしもこのまま負け続けるなら、全員まとめてクビにされるだけだ」
その声は、微かに震えていた。