複雑・ファジー小説

Re: 世界の狭間に-the eternal world- ( No.1 )
日時: 2016/06/27 20:33
名前: まあじゅ (ID: wrLdH9zW)

story1 明るい世界

1

辺りは闇の世界。
半日前まで生き物が飛び交う、晴々としていた大草原も、夜になるとお化けや殺人鬼の1人や2人は出てきそうなほどの不気味な雰囲気が漂っている。

こんな場所を人間が少人数でうろつくなんてことは、更々ないように思える。

——そんな中を...

「ねぇノアー、見つかったー?」
「...その質問30秒前に聞いたし答えた」
「えぇー」

...この場所に到底似つかわない2人が通っていく。(決してだしゃれではない)

1人は背が高く、20前後の人間。

痩せてるように見える体にだぼっとした服を羽織り、今にも弾け飛びそうなリュックサックを背負っている。派手なハットの下の天パは中途半端に伸び、黒いピンが数箇所光っている。一言で言うと『チャラい』。

片手にはりんご3個分ほどの大きさのうさぎのぬいぐるみを持っているが、おかしいのはそれだけではない。そのぬいぐるみが今にもどこか取れそうなほどの、ボロボロの縫い目だらけなのだ。


もう1人は、背が低く小柄な、パッと見10代前半の人間。

サラッとした白い髪から覗く、じとっとした2つの眼は色が違い、左眼は青く、右眼は今の闇の夜のように真っ黒だ。青い目の下には黒子が2つついている。

首元の、ボタンの2つ空いた真っ白なカッターシャツからはいかにも『面倒臭い』雰囲気が漂っている。その上にもう1枚少し色褪せた服を来ているが、やっぱりボタンは止まっていない。

肩には小さめの袋をかけ、右脚には黒く光る銃がベルトで固定されている。


似ても似つかわなそうな2人は
「ねぇノ」
「まだ」
やっぱり似つかわなかった。

「...こんなに歩いても見えないなんて。さっきの人、嘘をついたんじゃ...。ライク、あの人が言ってたことは本当?」
「間違いないはずだよ。だってあの人は僕に人形をくれた。」
「...根拠はないのか...」
ライクと呼ばれた男は、持っていたうさぎのぬいぐるみを抱きしめた。
「立派な根拠だよ!人形を扱う人間は心が綺麗なんだよ。嘘をつくわけがないよ」
「...その言葉、ライクにブーメランだと思うけど」
ノアは無表情で言った。

少しの沈黙があり、ライクは口を開いた。
「...でも、確かに国どころか人の気配すら全くないのはおかしいね。このあたりだったはずなんだけどな...」
「...久しぶりの野宿か。ライク、テントを出して」
「はいよー」


—continue—