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複雑・ファジー小説
- Re: 世界の狭間に-the eternal world- ( No.17 )
- 日時: 2016/06/27 05:27
- 名前: まあじゅ (ID: ybF6OwlW)
story1 明るい世界
5
「紅茶でございます」
「あら、ありがとう。旅人さんも是非お飲みになって」
「ありがとうございます。いただきます」
皺一つない制服の男性が、三つ目の暖かい紅茶を差し出そうとすると、ノアは、もう1人のはいいです、と言った。
ガナーニャは紅茶を一口すすい机に置くと、ノアを見て微笑んだ。
「さて、そろそろあなたたちの知りたいことを教えようかしら。」
「はい、お願いします」
「本当に、あの方は聞かなくてもいいのかしら?ほら、あのウサギのぬいぐるみを持っていた方。1番知りたそうにしてらっしゃったけど…」
「僕が代わりに聞いて、後で教えときます。…いつか帰ってくるでしょうけど」
「…そうね。時計の音を聞きたそうにしてらっしゃったけど…。あら、後少しで鳴るわね」
ガナーニャはポケットから小さくて古い時計を出した。
それを見たノアは
「...」
うっすらと顔をしかめた。
カチッ…
ボォーン…ボォーン…
広すぎる部屋を、大きすぎる時計の音が低く響き渡る。
「鳴った!鳴ったよレイラ!迫力のある音だね!」
その中に成人男性の興奮気味の声が混ざる。
「...よし、ノアのとこへ行こうか」
ライクがそう言い、一歩踏み出した途端——
——銃を持った警察らしき人々が周りの部屋のドアを蹴破って出てきたかと思うと、一瞬でライクを包囲した。
「...もう、人がせっかく楽しい気分に浸ってるってのに...」
その言葉とは裏腹に、ライクは、待ってました、とばかりににやっと笑った。
—continue—
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