複雑・ファジー小説
- Re: 世界の狭間に-the eternal world- ( No.30 )
- 日時: 2016/07/01 06:52
- 名前: まあじゅ ◆QLlWWt5w1A (ID: QeRJ9Rzx)
まあじゅです
更新遅れました。申し訳ございません
現実世界(?!)が忙しくなりまして...
ちなみに明日は僕のHPBですね。今日は前夜祭を...(ねぇよ)
>>29
あ、確かにそうですね
ただ、ノアの黒い右眼の瞳に金の六芒星があるのを想像したら、シンプルでいいかな、と思ったりもしたので、一応このままで行こうと思っています
六芒星にも色んな深い意味があるらしく、それが物語に使えそうだなと...
*ちなみに六芒星は▽と△を組み合わせたような図形です
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story1 明るい世界
10 -last-
ノアからはさっきとは違う異様な雰囲気が漂っている。
「ガナーニャさん、貴方はさっき、僕を死神と言いましたよね」
「あ.....あぁ.....ああ...!!」
ガナーニャは恐怖と絶望に怯えている。
「僕は死神でないです.....
少なくとも、僕は」
ノアのこの言葉の意味さえ、考えられなくなっていた。
「ちょっとノア、恥ずかしいからあんまりそのことは言わないでよ!」
ライクがこう叫んだような気がしたが、ノアは無視してガナーニャとの一方的な会話を続ける。
「貴方は、いまどうしたいですか?どうされたいですか?...時間をさしあげます」
「ぅあ...あ...わた、し...」
ガナーニャはなんとか喋ることが出来たが、そう言うと足から崩れるように膝を地面につけた。
「わたし.....わ、私は...」
彼女は涙を目に溜めて、幽かな声で言った。
「...............元の場所に、戻りたい...」
ガナーニャは続ける。
「あなたは...あなた達は、もう気づいてるかもしれないけど...。
...私は、もう、死んだ身なの。
今あなた達が入国しているこの国の人も。幽霊的な何かかしら?...私達が暮らしていた国は、今は跡形もなく消え去ったわ...。
この国は全て私達の理想の国。私達で作ったの。もう一度、やり直そうって。
...でも、もういいの。...もういいのよ...。
気づいてしまったの。あなたと出会ってから...。」
ガナーニャは一息付き、本当の優しい、しかし、悲しそうにも見える笑顔を作った。
「...この物語に、幕を閉ざしてください」
ガナーニャのこの言葉に、ノアはこう答えた。
「"...それは、あなたが望んでいることですか?"」
「.....!」
彼女の眼から、我慢していた涙がとうとう溢れた。
「...私たちは皆、今の生活にとても満足しました...。もう、思い残すことはありません...」
「...そうですか」
ガナーニャは微笑んだ。
「...ありがとう、旅人さん。あなたはまるで神様のようだわ。私達は、『私たちの本当の世界』へ帰ります。
...あなた達の、これからの旅の健闘を祈ります。本当に、ありがとう」
この言葉が、ガナーニャの最後の言葉となった。
ガナーニャの体は少しずつ消す擦れ始めている。
「...はい。あなたも」
少しして、ノアはそういった。
誰もいない空間へ向けて。
「いやー、今回は面白かったね!まさか、本当に幽霊の国があったなんて!1日ぐらい滞在しても良かったんじゃない?
...あ、魂持ってかれたりなんてされたらたまったもんじゃないか!」
人1人もいない、太陽に照らされて美しく光る草原のど真ん中を、2人の人間が歩いている。
「全くだよ。本当にこんなことがあっていいなんて...」
そうため息をついたノアの右眼は、光のない真っ暗闇の色に戻っていた。
「...ん?ノア、もしかして...」
「......うるさい、ライク」
ニヤニヤとしながら顔をのごき込んできたライクに、ノアは目も合わせずに冷たく、そう言い放った。
「...少なくとも、僕は神様でもない」
「...彼女は、幸せになれたのかな」
突然ライクが珍しく真面目なことを言ったので、ノアも思わず珍しい驚いた表情をした。
「...さぁね」
—story1 明るい世界 end—
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ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
記念すべき(?)第一回目のstoryが終わりました。まだまだ文才も無い不束者ですが、これからもよろしくお願いします。