複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.100 )
日時: 2016/08/05 17:35
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

木村は見境と瀬戸内と見境達の女子部屋で話す。

「あたしも結構な貧乏生活を送っていたわ。全く馬鹿な父親を持つと駄目ね」

「父親?」

「父親は冥西隊出身の暗殺者。でも暗殺に失敗して代わりにあたしが保護されたの。それが冥西隊。帝王学等を学んだわ。此処ではそう言う人を輩出しようと言う気が無いから、訓練だけで済まされているだろうけど」

「うん……何か怖い」

瀬戸内は見境が持っていたカツサンドを奪う。

「貧乏、貧乏って……。親父が暗殺者なら金持ちだろ!嘘付くな!だから、よそ者は嫌いなんだ!」

「瀬戸内?」

「あたしの返して!」

「いーやーだーねー!」

「……子供かよ。と言うか訓練中にカツサンド?」

そして19人の練習は続き、六月ヘ入る。木村は昼食中に強化ガラスで出来た窓を見る。

「外は雨か……。と言うか、思うだけど何で誰も脱獄しようと思わないんだ?」

望田と川崎と皇は応える。

「簡単だよ、木村。ほら、ボロボロの灯台があるだろ?其処から監視してるんだよ。一つ誰かのせいで壊れたけど」

「施設の環境も劣悪。本当に他の施設へ行きたいですよ」

「俺ァ……どうでも良い。環境で能力が変わるかってんだ」

皇はナイフを投げ、蛍光灯を割る。

「何をしてるんですか?」

崎峰とは違う看守が現れる。

「私の名前はトルベルア。さっきナイフで遊んでいた気か」

トルベルアは割れた蛍光灯の破片を靴で踏む。

「痛いっ!」

「痛いって靴履いているんですから……」

「私は靴を履いてません!おう!痛っいね!」

トルベルアの足は血まみれになる。

「覚えていろよ!落ちこぼれ共!……ううっ痛〜い」

「あれが憎めない悪役ですかね?」

「いや、ただの馬鹿だぜ。あれは……」

皇は蛍光灯の破片で遊びながら去る。そして木村は不束を殴った場所で神代と古武と水掛について組み手をしながら話す。

「木村。水掛ってどんな人?」

「本人に聞けよ」

「だって、木村以外無視するとかあり得ない〜」

「……水掛さんは本当はおしゃべりなんだよ」

「えっ!嘘!」

「ただ言い過ぎる事があって、友人がいなくなるんだ……」

「無口の理由はそれだったのか……」

「おい、その構えだとアッパーカットが」

「いやいや、か弱い乙女を殴るなんてばかでしょー!あほなの?ウジ虫なの?」

「……最近、皇に言われたウジ虫が流行ってんだよ。このままだと俺のあだ名ウジ虫になる……」

「ウジ虫……良いあだ名だね〜」

見境は木村を監視する。

「……あいつが本当に才能なんてあるのかしら?」

木村はこうして六月の上旬までウジ虫と呼ばれながら訓練をする。その間にグループはかなり仲良くなり、慣れが出始めていた。そしてそんな中、遂に練習試合が始まろうとしていた。

トルベルアはグループごとに数字を振り分け、相手チームと合わせる。相手はフルパワーと言う名前の施設。強豪として有名。

「ネームレスよ!くれぐれも汚い手はしないようにな!落ちこぼれ共!」

木村のグループの対してのフルパワーのリーダーは、三宅 伸生(みたく のいけ)。

「汚い手って?」

水掛は解説する。

「……此処の施設は妨害作戦が得意分野。ただ、それは試合ではタブーとされている」

「何で?」

水掛は周りを見る。すると、観客やスカウトマンが大量に熱気溢れる声援等をかけていた。

「……ん。試合は世間評価も大事。正々堂々としていればそれだけ良い企業に入れる」

「訳分かんないんだが……」

三宅は嫌味を言い続ける。

「全く、こんな奴等と殺し合いをしないといけないなんて無意味だね。本当に去年は何人卑怯な手で殺したんだ?あ?川崎く〜ん!皇く〜ん!榊さ〜ん!水掛く〜ん!」

不束は落ち着いている。

「あんな奴の言う事は聞かなくても良いんじゃ。とにかくこれは殺し合いじゃ。今までの優しい甘えを捨てる事じゃ」

瀬戸内は泣き始める。

「何で皆そんなに冷静なんだよ!嫌だ!死にたくない!」

犬山はカツサンドを食べている。トルベルアは崎峰を睨みながら木村達に話す。

「遺骨はネズミに食べさせてやるっ!せいぜい殺されるんだな!」

崎峰はトルベルアを殴ってから木村達に話す。榊は戦闘準備している。

「ニシシ。これから始まるのは楽しいリアルワールド。傷付けば血が吹き出るよ〜!それじゃ〜」

「せめて励ましてくれよ!崎峰さん!」

木村達は緊張する。

試合の内容は、互いの陣地に暗殺する標的を置いておく。木村達の陣地には
望田が標的になる。

「望田……」

「フン、これくらいやらないと私は見境さんに見捨てられます!」

「動機が不純すぎるだろ……」

そして残りの18人で相手の陣地に入り、標的を暗殺出来たら勝利。自分の陣地を守る人、相手の陣地に攻撃する人で別れ、試合の勝利を目指す。直、この試合で死んでも責任は無い。

「……フルパワーと言う施設の闘い方はオフェンスが武器でディフェンスがザルという傾向が見られる。つまり、オフェンスを抑えれば……」

そして、試合が始まる。ステージは昼の山の中。つまり、森。とはいえステージの範囲は狭い。互いの武器の使用は制限があり、銃の大きさやナイフの大きさ、銃弾の形まで決まっている。さらに補給する事は不可。暗殺に拠点等無い。今有る武器で仲間を護衛し、敵を暗殺する。フルパワーは、先陣切って13人で走るのは三宅。

「ネームレスなんてみな殺しだ!死んでしまえ!」

三宅等はS&W M5906と言う武器を装備。ちなみに、ディフェンスのみにトラップが許可されている。すると、三宅の前に不束が現れる。

「不束ッ!我々の組織にいれば良かったのにな!残念、無念、また来世!」

不束はしゃがみ木の影に隠れる。

「無駄だ!」

すると横から木村、瀬戸内、ルメール、見境、細多喜、平が銃弾を発砲。フルパワーのメンバーの数人が殺される。見境は呆れる。

「暗殺する最中に喋るなんてなめてるの?あたしも人の事言えないけど」

「黙れッ!卑怯者!こうなったら、一人でも辿り着いた奴が望田を殺せ!」

「無茶苦茶な……」

「でもこの作戦で、大きな犠牲を出しながら成功してるのよ。死ぬと言う事が簡単に見えるのかしらね。施設の評価は命よりも重い」

瀬戸内は発狂する。

「おかしい!おかしいよ!こんな事!どうして……人を殺さないと駄目なんだよ!」

細多喜と平は瀬戸内を落ち着かせる。ルメールは三宅を勝手に追いかける。

「少しでも木村さんに良い所をみせるしかありませんの」

「ルメール!」

一方、古武、神代、水掛は、相手の陣地に入っていた。相手は標的合わせて4人。

「水掛さん!うちらどうしたら良い感じ?」

「……ん」

水掛は手で指示する。

「……成程。……もう一度お願い……」