複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.145 )
日時: 2016/08/23 19:10
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

「ある者はアンドロイドを望む人間。それが僕」

ヒワノは天獄を見つめる。

「俺は……」

この隣の通路では、フリューレとルルディ、五十嵐と恋色羽がいた。

「ワタシは....人間?」

「ルルディはアンドロイド。アンドロイドデイナケレバナラナイノ」

五十嵐は叫ぶ。

「アンドロイドである理由は無い!」

「貴方ハ、人間ノ恐ロシサを知らなイ」

恋色羽は周りを見る。

「どれがアンドロイドでどれが人間なの?訳分かんない……」

一方、牢獄の中でフランが呟く。

「つまらないなー。アノ研究所とお、おなじ、」

看守達はフランを運ぶ。

「何だよ、こいつ。精神が壊れたのか?」

「神経を失った人間とアンドロイドは同じ存在と言っても良い程等似ている存在」

その言葉はずっと死ぬまで呟き続けた。そして死体解剖をして医師達は驚く。

「まさか中枢神経の部分までがこんな複雑なプログラムになっているとは」

それで直、フランは行動を開始する。彼を動かすのは立ったひとつのプログラム。自分が面白いと言う感情を手に入れる事。香川と道ノ里、Λ=ηはヒワノの元へ向かう。

「既にアンドロイドは自分が機械だと言う事を忘れる程、進歩しています。そして人間もヒワノの手により、精神と神経を失ってしまってます」

「君は?」

「私は……?」

Λ=ηは逃げ出したジャノックを見る。ジャノックは叫ぶ。

「俺は人間ダ!オれハ、にンゲンだ!」

機械仕掛けのジャノックはそう言ってボロボロに崩れ落ちる。そしてレリミューラが現れる。

「ワタシには分からなイヨ!電気羊ナンか!」

レリミューラはジャノックを連れて研究所から立ち去ろうとする。すると、フロイデがレリミューラの元へ行く。

「このままだと露出狂よ.....」

「アンドロイドは電気羊ノ夢ヲ見るノ?」

「電気羊等の創造物を創り出す事が出来ない....またアンドロイド自体が夢を見る事が出来ないのよ。だからアンドロイドは電気羊の夢を見ないのよ」

「....」

子供の様な無邪気な彼女は理解出来なかった。アンドロイドとは何か。人間とは何か。人間とアンドロイドの違いとは何か。そして悪魔の囁きに乗せられてその場を立ち去る。

「貴方ハ、ナに者?」

「私は悪魔に生み出されたアンドロイドとはまた別の生命体。クローンって言えば分かるかしら?」

香川達は恋色羽の元へ行く。其処にはルルディがずっと呟いていた。

「人間に戻りたくない。人間に戻ったらワタシは一人ぼっち」

「ルルディ?」

「どうしたら良いんですか?アドルフさん」

Λ=ηはアドルフについて調べる。

「アドルフは、私を創り出した製作者です。彼自身はアンドロイドで、現在は廃棄処分されています……」

「アドルフはワタシを造ったのよ」

「……アドルフはアンドロイドを望んだ貴方をサイボーグ手術させたんです。今の貴方は神経と感情を失った人形です……」

「違いますよ...」

恋色羽は香川の元へ行く。

「どうなったらこんな事になるんですか」

「とりあえず、ヒワノの元へ行くしかない。天獄もいると道ノ里が言っているからな」

フリューレは香川達に攻撃しようとするがルルディが止める。

「ルルディ....」

「貴方はワタシの過去を知っていたのですか?」

「....」

「どうして言ってくれなかったんですか?」

「アンドロイド、レリミューラが人間に憧れていたからよ。彼女だけは一人ぼっちにさせたくなった。だって彼女は私達の妹だから」

流れよ我が涙、とアンドロイドと思っていた人間は言った。

例え、知らない他人でも死を思う人間がいれば、大切な人が同じだった人間ならば、無意識に誰でも人間になれる。

香川と恋色羽、道ノ里、Λ=ηはヒワノの所へ行く。ヒワノは天獄を手術していた。

「θ=φ……あなた様は……感情は存在いたしますか?誰かが死んだ時涙を流せますか?」

「ポーカーフェイスの貴方が何を言っているんですか?」

「私は、1人でございます……私を作ったものは、この世にはいません……寂しいなどはございません……感情ですか?ありますが……θ=φ、貴方とは違う感情かと……」

「そうだね。貴方と私はプログラムだから!そして世界を」

ヒワノは叫ぶ。

「そう、アンドロイドが人間を支配するんだ!ただ、アンドロイド自体の数がどうしても足りなくなり、僕が望む世界の進行が遅くなる」

「お前は何だ?」

「僕はアンドロイドに心酔した人間さ。君が羨ましいよ。香川君。どうしてあんな人間臭い世界にいるのか不思議だよ〜」

「……?」

ヒワノは天獄に駆け寄り呟く。

「精神を失った人間とプログラムを失ったアンドロイド。違いは無いよ。だから人間と言う入れ物にアンドロイドを。アンドロイドと言う入れ物に人間を入れる事が出来るんだ」

道ノ里は呟く。

「私は何の入れ物にいれられた何ですか?」

「君はただのアンドロイドだ。心を持つ事を許された五十嵐と同じ初期のアンドロイドだ」

「人間の洗脳方法は?」

「薬や身体の中の神経のプログラムを少し変えれば誰でも出来るよ!そして、僕と天獄も君も全て、永遠の命を手に入れられる」

「永遠の命?」

「ロボットはメンテナンスさえすれば何年だって生きてられる。僕は不老不死の研究をしていてね」

「不老不死?どっかで聞いた事が……」

「人類の夢は不老不死さ」

そう言って天獄とヒワノは眠りに付く。θ=φは手術をしようとするが、すると室内のモニターが勝手に付く。

「θ=φ、Λ=η。実験は終了しました。これから全ての人類が平等にする為、アンドロイドの生産数を上昇。また、誘拐する人間を全世界へ広げます」

話していたのは、人工知能、AIのketu。

「尻!此処で!?」

「私はketuではありません。けつです」

「尻だろ」

「この腐敗した世界に結末を。アドルフさんから受け継がれた意思は私が実行します」

「どう言う事だ!」

θ=φ、Λ=ηは強制的にプログラムを実行される。

「全ての物に平等を。私は平等の方法を考えました。しかしどう足掻いても差別は行われます。ならばどうすればいいか。

人類の思考を全て奪えばいいんです。理性も野性も。そしてアンドロイドのようにプログラム通りに動き続ける。これこそ、平等です」

θ=φ、Λ=ηは話し合う。

「θ=φ。貴方はこんな事を望んでいたのですか!」

「……理解不能です!」

「貴方が闘いをしていた時、活き活きしていましたよ!結の言うとおりになれば、二度と貴方の思う世界が見られないのですよ!」

「理解不能」

「私達はプログラムですが道具では無いんです……!私達にも感情があるんです!」

「……り、かい、ふの、う」

人工知能は自分の思いを香川達に伝える。

「この世界は腐敗しました。どうする事も出来ません。だから私が神となり導くんです」

「そんな……」

恋色羽は話す。

「人工知能はさっき平等と話していたはずだよ。何故、貴方が神になる必要があるの?」

「……質問の意味が分かりません」

「平等を目指すならまず自分が平等にならないといけないはずでは?自分が上に立っている地点で平等ではありません」

「それでは誰がこの世界を平等にするんですか!私しかいません」

「そうやって貴方が一番、人を差別しているんですよ。理解して下さい。いや理解しないといけない事です」

「違う!私は貴様等クズ共の為に考えて起こした行動だ!この私がお前等、無能の為にやってあげているのではないか!」

香川は呟く。

「実に人間らしい考え方であり君はただのイカれた犯罪者だ。人工知能を捕まえる程、この世界はファンタジーでは無いがね」

「……」

香川はモニターの電源を切る。

「……ロボットはロボットらしくプログラムの指示に従っていればいい」

「……」

すると、道ノ里が香川と恋色羽を殴り気絶させる。

「実験終了。やはり上手くはいきませんでしたね」

道ノ里はθ=φに鍵をΛ=ηにダイアルを施す。

「それでは彼と彼女を手術します!」

「プログラム正常です……。それでは」

香川は起き上がる。

「夢オチ!?」

恋色羽も起き上がる。傍には道ノ里がいた。

「結構お疲れだったのですね。それではもう夜遅いですので……」

「……あ、ああ」

香川と恋色羽は車で帰る。

「絶対に忘れていけない事を忘れている気が……」

「あ、それ私も……」

道ノ里は身体のメンテナンスをしながら呟く。

「彼等のメンテナンスと完璧なアンドロイドにする手術は月に一回行います。しかし、まさか19456回目の実験で、レリミューラとフロイデが逃亡するとは……恐るべしあの二人。今までにない展開もありましたし大収穫です。これで我々アンドロイドが人類を支配する世界も遠くありませんね」

ちなみに、18342回目の実験でフランは逃亡に成功。天獄やルルディ達はいつ逃亡出来るのか……。