複雑・ファジー小説
- Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.149 )
- 日時: 2016/08/24 18:42
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
香川達は、真漸亜教 本部の元へ行く。現在は真・真漸亜教と活動している。
「でっかいコンクリートの建物だな」
「一応実家」
「でも真漸亜教は分裂したから結局誰に会いに行けばいいんだ!」
「・・・・・・怖いよ」
「恋色羽。事情を聞いて判断しろよ」
「……うん」
「怖いのか?」
「……トラウマだからね」
「大丈夫だ。私が付いてる」
「……」
「あれ?突っ込まないのか?」
「早く行こう」
漆奈はホウキを持って潜入する。すると信者達が狂気的な目としてぬいぐるみと叫んでいた。
「ほあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
「……」
「俺は絶対に勝って見せる!見てろよ、熊のぬいぐるみ!!!!俺は出来る!何でも出来る!天才だ!頑張れ俺!俺は最強!空前絶後の超人類ィイィイィイィイィイィイィ!!」
「駄目だ。こいつ等」
すると信者達は恋色羽を見る。
「教祖様!恋色羽が帰ってきました!」
すると現れたのは狂気的な目をした空模様だった。
「リーゼント!」
「……戻って来ると信じていたぞ。犯罪に手を染めなくて良かったよ」
「……お父さんは?お母さんは?」
「みーんな、みーんな、死んじゃった。全部香具師と言う男のせいだ」
「どう言う事?」
「一人娘のお前が消えてから、後継ぎがいなくてな。だから、当時幹部だった奴等で決めあっていたんだ。そして決まったのが香具師。そしたら、名誉会長の父親、母親が病死。俺の親も事故死。そして香具師は自殺。そこから真漸亜教は空中分解。幹部達がそれぞれの教団を造ってんだよ!つまりさ、お前がいなくなったからこんな事になったの。だから、責任取れ」
「責任って……」
「お前が超能力なんて騒がなきゃ俺達は幸せだったの!全てのご先祖様の怒りを治めるにはお前が教祖になってずっとこの部屋にいれば良いんだ」
「監禁……?」
「言い方が悪ければな!でも、信仰すべき親、ご先祖様の傍にずっといるんだぜ!最高だろ?」
漆奈は驚く。
「そんな理屈が通用出来る訳無い!なんだこれは!ただのカルト教団じゃないか!」
「違う!」
「・・・・・怖いよ〜此処」
「恋色羽。お前が責任を取れ」
香川は止めようとするが恋色羽は空模様の傍へ行く。
「恋色羽……」
「私のせいで……」
すると信者達が香川達を追い出していく。
「恋色羽!」
「……」
香川達は外に追い出される。漆奈は叫ぶ。
「此処まで酷い教団だったとはな!こんな悪は初めてだ!!」
一は漆奈を連れて逃げようとする。漆奈は止める。
「何をしているんだ!?」
「無理だよ!何か怖いし!あんな教団と関わる理由は無いよ・・・・・!」
「でも悪は見逃せないんだ!」
「ふえええええええええええ!」
「香川!そうだろ!」
「……」
「香川!?」
「今回の原因は全て恋色羽が家出をしたからだ。つまり悪いのは恋色羽だと結論が出た」
「香川!ロボットじゃないんだからこういう時は何でもいいからがむしゃらに助けなさい!」
「英雄は最後まで自分の信念を通さないといけない」
「……香川と恋色羽。仲良さそうだったけど全部英雄だのそう言う理由で付き合ってたの?」
「……」
香川はその場を立ち去る。一は漆奈を強制的に連れて行く。
「……私は」
香川は車いすの少女を見る。すると真漸亜教にあった熊のぬいぐるみを持っていた。
「君。そのぬいぐるみは?」
「おまじないです!このぬいぐるみに話せば、何でも願いが叶うって!」
「……真漸亜教か?」
「前はそうだったけど今は違います」
「今は?」
「今の名前は、真・真漸亜教。物に心や神が宿ると言われている宗教です」
「……成程。理解した。真漸亜教と真・真漸亜教は全然違う宗教だったのか。しかし何の為に」
香川はポケットに手を突っ込むと血濡れた過去ともう一つの過去があった。
「恋色羽の手帳か?」
香川は手帳を見る。其処には、毎日の出来事が書かれていた。最初は辛い日々を送っていると言う事が分かる。しかしある日から書いている事は次第に明るくなっていた。
「……私と出会った日か」
「5月23日。今日、かつて私を助けたヒーローと会った。やっと出会えた。最悪な出会いだったけどこれから、私の人生が始まると思った。やっと大学に入って良かったと思った」
香川は過去を握り締める。
そして遠く昔に香川は恋色羽を助けた事を思い出す。
「……悪い事ばかりじゃない」
香川は建物の中へ入る。建物の中にはっさっきの車いすの少女を含めた数十名がぬいぐるみにひたすら想いを伝えていた。そして其処には眠っている漆奈と恋色羽がいた。空模様は叫ぶ。
「何の用だ!」
「お前はいや、お前等は洗脳されている」
「どう言う事だ!」
「どうした?」
「あ、教祖様。今回の資金はこれくらいです」
「まあまあだな!」
教祖は香川の方を向く。
「用が無いなら帰れェ!それとも入団希望者か?」
「信者達をマインドコントロールするのは楽しいか?一十真」
教祖は姿を現す。正体は一十真。
「テメェ、いつから俺が黒幕って気付いていた?」
「ついさっきだ。お前は金目的でマザー教を崩壊させ、救いを失った信者達に新たな宗教を洗脳させ、信者達から大量の金を詐欺した」
「でもよ、崩壊させたのはあんたと恋色羽だぜ?」
「……」
「まあ、恋色羽を此処へ連れて帰るのは、信者達の要望にはなるべく応えねぇといけねえからな。まあ、可愛いからこのまま頂いても良いだが」
「……漆奈は?」
「同じ理由だよ。それに俺は彼女が好きだったからな。たっぷり信者にして洗脳させる予定だったぜ」
「警察はもう呼んだ。このイカれた教団は終わりだ。悪は滅ぶ」
「……お前、英雄気取りか?笑えるな。この世にそんな物があると思ってんのか?おい、分かるだろ?お前なら」
「……」
「俺には分かるぜ?お前の苦しみが」
「……」
「僕は苦しかったんだ。だから、勝ち組になりたかったんだよ」
香川はタバコを吸う。
「この世にヒーローなんていない。誰も俺を僕を助けてくれなかった!」
「俺は!…………うああああ……」
「僕・・・・・・もう」
香川は血濡れた過去を話す。
「香具師は、それでも前を向いていたぞ。私も必ず英雄になる」
「分からないよ・・・・・僕には」
車いすの少女は訳も分からず教祖の元へ行く。
「私、もう歩けないの?もう治らないの?くまさんに願っても駄目なの?」
教組は笑う。
「そうだよ。僕はうそつき。もうテメエの身体は治らねえよ」
「……」
一は熊のぬいぐるみを投げ飛ばし高笑いする。
「僕、英雄にはなれないよ」
そして警察は、一を逮捕。カルト教団の事件が公になる。
香川は漆奈、恋色羽と共に大学の屋上で話す。
「良かった!良かった!悪は消えたのだ!」
「……空模様達はリハビリが必要なほどの洗脳を受けていたみたい」
「どうやって洗脳をしたのかな?そう言えば一って何処なの?」
「一は……」
一方、一は呟く。
「香川……君は僕と同じだ。僕と同じだよ」
一の方を医師が見ている。
「彼は二重人格の可能性が高いです」
「二重人格?」
「香川と言う男にも二重人格があるかもしれませんね」