複雑・ファジー小説
- Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.150 )
- 日時: 2016/08/25 16:49
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
高校では空模様達が遊んでいた。
「空模様、お前大丈夫か?」
「ああ……。しかし俺が洗脳されているとはね……」
「そういえば転校生がうちの学校に来たんだろ?」
「外国人らしいけど、ちょっとヤバいんだ。まあ、この学校がヤバいんだけどな」
空模様達は他のクラスに行く。すると一人の女性が先生や生徒に指を刺して話す。
「ワタシは奇跡ヲ起こセルヨ」
「レリミューラ?」
レリミューラは無邪気に笑う。
「信ジなイ人ニハ、奇跡ヲ起コしテ天罰ヲ与えルヨ」
「頭大丈夫か?」
その後、レリミューラの周りの生徒達、先生が姿を消す。学校は警察に連絡するが信じてもらえない。空模様はある人物を思い出す。
「俺の洗脳を解いた人なら……」
大学の屋上では、香川と漆奈、恋色羽が話し合う。
「最近、忙しくて、客人を呼べないんだよ」
「……」
「ほら手帳返したろ?何で怒ってんだよ?」
漆奈は香川に話す。
「乙女心を香川は分かってない!」
「いやいや俺は結構頑張ったよ?俺頑張って無かったら恋色羽……」
「……ん?香川って手帳読んでないの?」
「読んだよ」
「読んでその反応なの?」
「ああ」
「何か、込み上がって来る物とか無いの?」
「無いね」
「……だからうどんは駄目なのよ」
「うどんを馬鹿にするな!」
すると空模様がやってくる。
「香川の兄貴!」
「Vシネマみたいだな」
「リーゼント?何しに来た!悪党!」
「……」
「別に恋色羽は用は無い。香川パイセン。ちょっとヤバい事になりまして」
「何だ」
「カクカクジカジカ」
「成程、理解した」
「え?カクカクジカジカしか言って無いよ?」
香川は呟く。
「レリミューラと言う女性が奇跡とかいって人を消しているのか。お前は悪い夢を見ていたと考えて良い」
「違いますよ。香川のおやっさん」
「奇跡なんてこの世には無い。全ての現象には必ず理由があるからだ。意味も無く人が消える訳が無い」
「奇跡がありますよ。ただし、私だけに!私は輪廻転生を操る事が出来るから!」
「それは真漸亜教から逃げ出したい為についた嘘だろ」
「……え?何何?全く聞こえないな〜?」
「……」
そして数時間後、空模様はレリミューラを呼ぶ。レリミューラは話す。
「前ニ会っタ事アルよネ?」
「そんな運命の出会いだの奇跡だの信じない。それに私は君と会った事は無い」
「何デ断定出来ルの?」
「本題に入ってくれ」
「ワタシは奇跡を起こせルヨ!例えば……」
香川の後ろに、女性が現れる。
「悪魔ヲ召喚スルと言ウ奇跡」
「どうも悪魔のフロイデ・ヴァーンズィンよ」
「コスプレか?」
漆奈は怒る。
「私は本物の巫女です!」
「あ、ああ……」
フロイデは笑いながら、香川を見る。
「貴方ならレリミューラを認められるはず....」
レリミューラは大学以外の景色を真っ黒に染める。
「何だ?」
フロイデは呟く。
「奇跡よ」
「ワタシは奇跡ノ子。コノ腐敗されタ世界に落とさレタ選ばれシ者ダヨ」
空模様は怯える。
「……こえーよ……」
「何かがあるはずだ……」
「何もないわ。選ばれし者、香川」
恋色羽は驚く。漆奈は構える。
「どう言う事!?」
「香川、貴方は....超能力者。瞬間的に記憶出来る能力」
「……」
レリミューラは笑う。
「ワタシはこノ奇跡デ、無力な人間ニ天罰を下スヨ。貴方モ、奇跡の力デコンな奴等ヲ殺すんダ」
恋色羽、漆奈は香川に話す。
「超能力者だったの?」
「あれほど、否定してたのに……」
「私は超能力を超能力と思った事が無い」
「贅沢な悩みね」
「俺が出会った超能力者は、香具師と一十真」
「私は?」
「お前は普通の人間だ」
「そんな……」
「普通で良いんだ。普通が一番いいんだよ」
レリミューラは奇跡を起こし、腕から大量のモンスターを召喚する。
「普通ガ良イ?ソンナ面白くなイ事じょーく二もならなイヨ。ワタシと貴方ハ選ばれシ者」
空模様は後悔する。
「俺が呼ばなきゃこんな事には……」
フロイデは呟く。
「これも彼女が起こした奇跡。全て、必然で運命なのよ。さあ、自分を偽らないで。ちゃんと自分の口から言いなさい。私は選ばれた者ですって。私は神の運命で奇跡を起こせる様になりましたって。奇跡はこの世に腐る程ありますって。此処はちゃんと責任を持って言いなさい。貴方はいい加減な事、矛盾しか話さないから...」
恋色羽は周りを見る。
「香川は、本当にいい加減な事しか言わないけど……」
「蓬莱延命呪詛呪像様。我々をお助け下さい。奇跡を……!」
香川は呟く。
「超能力は果たして奇跡か?」
「奇跡ダヨ」
すると雨が降り始める。
「あくまでも私個人の考え方だが超能力は障がいだと考える」
香川は円周率、周期表等をスラスラと言い始める。
「凄いネ」
「私はサヴァン症候群だ。これが超能力と言われる正体でもある」
「.....面白いネ」
「私以外にもこの障がいや色んな障がいを持っている人はおり、サヴァン症候群もその他の障がいも生かしている人はいる。障がいは個性だと思っている素晴らしい人もいる。
ただ、私はこの障害を持って良かった事はあまり無い。嫌な事も全て覚えてしまう。これ程辛い事は無い。頭の中で随時フラッシュパックされていく。良い事もだけどね。
私が何故、SF等が嫌いか。それはサヴァン症候群がアニメや小説の影響で意図的では無くても軽く見られているからなんだ。勿論、対象外もあるけどね。まあ、別にそんな深く考える人もいない訳だし。面白くて取り上げているって言うのも分かる。
しかし香具師が持っていた過去を覗く力。一が持っていた二重人格。
彼等は幸せだったのか?何度も思うよ。アニメやドラマの世界だったらどれだけ良かったか。
こんなのが死ぬまで続くんだよ?
もう一度言う。SFに出てくる超能力はいくら優れていても障害だ。しかしSFはそれを進化と呼ぶ」
「....」
「こんな力が奇跡か?奇跡であってたまるか!私にはこの世の中が軽すぎる。誰も理解してくれないこの重さを」
すると世界はねじ曲がって行く。
レリミューラは笑う。
「超能力ハ奇跡。奇跡。奇跡」
「どうしてそんなに受け入れられるんだ?どうして普通じゃない事を貴方は受け入れられるんだ?」
香川は発狂しようとする。しかし恋色羽が抱きしめる。
「私は普通だ!普通なんだ!」
「人と違う能力を持つ事ってこんなに苦しいんだね。香川……」
「別に誰も悪くない。小説もアニメもドラマも世間も。悪いのは私の弱さだ。私が……」
「……今度は私がヒーローになる番だね」
香川は古い過去を思い起こす。
香川はサヴァン症候群で人と違う事に苦悩する。インターネットで調べてもアニメやドラマ、小説の事しか出ない。そんな時、不良に絡まれている恋色羽を助ける。
「痛い……!空模様さん!逃げましょう!」
「恋色羽!今度こそ、金もってこいや!」
恋色羽は香川を見る。
「また逢えますか?」
「……また明日会えるよきっと」
香川はその場を去る。その時に香川は人を救う意味を考え、英雄と言う考えに辿り着く。
恋色羽はその時に奇跡を信じる事になる。そして奇跡を信じ、英雄との再会を望む。
世界はいつしか、大崩壊を始める。フロイデは呟く。
「良い暇つぶしにはなったわ。さあ、私の進化した超能力の仕上げよ」
漆奈はずっと願う。
「蓬莱延命呪詛呪像様。奇跡を。蓬莱延命呪詛呪像様。奇跡を」
そして大学は崩れ落ちようとする。香川は呟く。
「俺達死ぬな?」
「だから言ったじゃないですか。宇宙人来る前に死ぬって」
「そうだな」
「……」
「また来世だな。お前の超能力で一緒に行けるだろ?」
「また明日ですよ……!」
「ああ……今度こそ必ず会いに行く」
レリミューラは狂気的に騒ぎ始める。
「奇跡!奇跡!奇跡!アハハハハ!」
そして世界は崩壊する。
「おいおい今日も学校かよ」
「あ〜超能力欲しい……」
「ねぇ?私の服綺麗?」
一人の教祖が話す。
「……誰でもただで救済をいたします」
「あ、はい!香具師さん」
普通の世界でフロイデは呟く。
「今までの現象は全て私が見せた幻。まあ、本当は飽きたから全てリセットする予定だったけど、ある奇跡により一部の人間のみ、記憶を維持したまま現実世界に戻る事が出来たのね.....」
漆奈は蓬莱延命呪詛呪像を崇める。
「昨日、世界が滅亡する夢を見た。ただ貴方が守ってくれた。ありがとう。でも、香川と恋色羽って誰なんだろう?」
すると一が漆奈を呼ぶ。
「・・・・・・友達が空模様に苛められるよ!」
「何!?」
空模様は一人の少女に向かって叫ぶ。
「お前……」
「貴方達ハ、ワタシヲ、冒涜シタかラ、天罰ガ下ルヨ!ワタシは奇跡ノ子ナノ!!」
一人の教授が大学を案内しながら、超能力について話す。
「超能力とか言う不可解な事はあり得ず、幽霊等もいません。まあ私も無宗教ではありますが、意識はしておりませんので大晦日に神社でおみくじは買いますよ。信じませんがね」
場は盛り上がる。
「本当に超能力とか想像力が豊かですよ。私にはそんな才能はありませんからね。光の反射で透明になれるとか。科学っぽい事を引用してはレーザー、レーザー。ハハハッ!まあアニメで楽しめる分良いんじゃないんですか。
私は、あ!どうしてこのような現象が起こるんだ!どうして身体の構造がこうも変わるんだ!何故こんなに都合が良いんだ!
とか考えてしまって。ああ、天才は苦悩するな〜」
場は盛り上がる。
「特に幽霊や輪廻転生とか信じてる人。馬鹿とは言いませんがあまりにも死後を期待しすぎて……。笑っちゃいます。霊能力者とか陰陽師とか。凄いですよね。あれで金稼いでいるんですから」
教授のポケットに血濡れた過去は無かった。
舞台は屋上へ変わる。すると、近くにいた少女が手帳を落とす。教授は良い人ぶって手帳を拾い上げようとする。すると手帳は風でパラパラとページをめくり始める。手帳の中身は空っぽ。
少女は教授を見ながら呟く。
「香川教授」
「……」
教授の目には大きな涙の粒が垂れる。
「恋色羽か?」
其処には、車いすを動かす恋色羽がいた。
「また逢えましたね」
無題 完