複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.152 )
日時: 2016/08/25 19:31
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

第七幕 交わらない時計塔

ある世界では人間がわずか、300万人程しか存在しておらず、世界の大きさも平地のみでオーストラリア大陸程にしか其処には無かった。そして其処には同時に化け物(未確認生物)が共存していた。立場は完全に人間が家畜のような扱いで人間より圧倒的に強い化け物が人間のような暮らしを楽しんでいた。

そしてその地域の名前は、人間区域とそれ以外で別れており人間区域ではライブストックと呼ばれる区域で生活を強いられる。

人間と化け物の関係は奴隷と平民では無い。ありと平民である。だから化け物は人間にライブストックと言う区域を提供している。また、人間と化け物は基本的に同じ言語は話さない。

そしてライブストックには一人の人間がいた。名前は法堂 源生ほうどうげんせい。ライブストックはまさしく家畜のような生活。しかし人々は何も求めない。法堂も感情はあまりなかった。

「母さんと父さんの分のご飯を調達しないと……」

現在の人間は、数を数える。何かを書く等の行為は出来ない。ただ生きる為に食料を調達する。基本的に食料は死体か他の犬や猫等の動物。本来は、名前も無いのだが人間達が栄えていた頃の名残で何とか名前を付けると言う文化が受け継がれている。そしてある時、一人の男性が人々を集め叫ぶ。

「我が名は、スローヴォ!今日も我の話を聞きたい者は集まれ!」

毛が大量に生えている男性は講義をし始める。

「我は考えたのだ。何故、こんな暮らしをしなければならないのか。昔の書物を読んで、解読してみて分かった。稲作をするべきではないかと」

「稲作?何だそれ?神様」

スローヴォはこの地域では神と呼ばれていた。理由は彼が本と言う物を読めるからである。

「この生えている植物があるだろ?それを育てて食べるんだよ!」

法堂は呆れながら、その場を去る。

「無駄無駄。どうせ俺達の命は30年くらいだ」

人間の寿命は現在、遥かに短くなり最高40年。最低25年と言う環境の悪さを物語る。結婚適齢期は20歳まで。現在法堂は19歳。父親と母親はどちらも39歳。なのでもう身体が動けていない。ちなみにもう婚約者はいる。

この世界の住民は、この環境に疑問を持たない程、適合してしまっている。しかし、ある事件をきっかけに人間達はある疑問を抱く。

「我々はもっと生きたい。ならば、化け物を襲って食料にし、領地を奪えばいいじゃないか」