複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.153 )
日時: 2016/08/26 16:05
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

霧風赤司さん、オリキャラ投稿ありがとうございます。失礼ながら質問ですが無名名無は、人間と言う事で宜しいですか?

これからも応援宜しくお願いします。

此処から本編です。


ある時、法堂の家に二人の男女が現れる。男の方の名前はアイユーブ。女の方の名前はアアラーフ。

「ユーブ!」

アイユーブは話す。

「法堂!今日は……さんすうって言う勉強をするぞ!」

「生きる為に計算は必要か?」

アアラーフは呆れる。

「駄目駄目。そう言う事を考えちゃ。私達はこれからもっと発展していく必要があるのよ。神様も言ってたし」

「俺は生きていればイイよ」

「欲が無いのね。普通、欲がこう沸々で湧きあがって来ない?」

「良い食事をしたい。恋をしたい。良い暮らしがしたい。良い服が来たい。そんな欲が何故か俺の頭の中をぐるぐる渦巻いているんだ。だが、理性が何故か抑えてくる。勝手に食べ物を取るのは悪い事だと。善悪の区別が分からないのにな」

「急に怖い事言うなよ。考えすぎだ。毎日、生きていればハッピーだろ」

「……この現状を見てもか?」

アアラーフはある本を見せる。

「これは私達が生まれる遥か前の景色」

「何で、この中に変な墓標がいっぱい建ってるんだ?どうなってんだ?」

「神様が言うには、ビルって呼ばれる建造物らしいの。ちなみに、これは写真。恐らく、私達、人間は一回文明が滅んでいるのよ」

「……ハハっ。全然、意味分からないな?文明って何だ?とりあえず、さっき狩った豚でも食べるか?」

「……そうね」

すると異形の者が、何処からか現れる。周りの人達は全力で逃げる。異形の者は何を言っているのかが分からなかった。しかし何やら楽しげと言う事は分かった。すると異形の者は無からかごを創り出し、人間達を捕獲していく。

アアラーフは二人に隠れるように指示する。

「何だあれ?!父さんと母さんを隠さないと!」

「分からないけど、神様が危険と言っていた化け物の一人だわ」

「……何であんな卑劣な事が……。せめて正体でも分かれば……」

すると別の異形の者が現れ、人間を食べていく。この異形の者も発言はしているが何を言っているのかが分からない。

「……あれは比較的、俺達にそっくりだ」

「まずい、周りの家が破壊されていく……」

人々はひたすら逃げる。しかし次々と捕縛や殺害されていく。この現象は少なくとも、法堂が生まれた時から行われていた。人々は攻撃する間も無く化け物に良いように扱われる。

アアラーフは泣き崩れる。

「どうしてこんな事が出来るの……?」

すると、人を殺害していた化け物が法堂の家を破壊する。そして瞬時に化け物は父親と母親を殺害。法堂は叫ぶ。

「何してん……」

化け物は法堂を殺害する。アアラーフとアイユーブは全力でその場を立ち去る。

「法堂!」

「アアラーフ!いいから行くぞ!」

法堂はその場で倒れる。

「化け物め……!」

法堂は死ぬ間際に、化け物の声を聞く事が出来た。しかし何を言っているのかが分からない。ただ、表情はにこやかで溜まっていたストレスが発散出来たかのように笑っていた。

「……畜生。母さんと父さんを返せ!」

これが法堂の最期の言葉となった。

このように人間と化け物の関係は完全に上下関係。それに人間は気付く事も出来ず、ひたすら殺されていく。ちなみに人間の数は寿命が少ないが、出生率が高いのであまり変わらない。

そして化け物の世界は、極めて普通。本来送っていた人間世界と何も変わらない。平和な地域もあれば戦争区域もある。うちわもあればエアコンもある。さらに、化け物達は人間よりも高度な技術を持っている。時計も全ての時計が電波時計。その中でもひと際大きいのが、プレデタークロックタワー。つまり、時計塔である。現在は腕時計やスマホに時計機能が付いているので、時計自体は不要だが観光地には非常に人気がある。

その時計塔の中に法堂がいた。

「……え?え?此処何処?」

法堂は自分の口から発した事の無い言語を話す。

「あ……。俺の声と言うよりも言語が変わっている。どうなっているんだ?」

分かりやすく言うと、昨日まで日本語を話していたのに、今日起きたら英語も話せるようになっていたと言う事である。

「やあ!疫病神、此処は私のお気に入りの場所なんだが」

「……誰?」

「そんな事はどうでも良いのだよ。重要なのは君は何処の地区に住んでいるかだ」

「地区?」

「1〜21までの地区でこの世界は決められている。ただこの時計塔のみは何処にも属していない。君は何処の者かで、私は君への扱いを変えなければならない。……まあとりあえず、第9地区へ。大体、エイリアンが多いけど気にしないでね」

「……はい」

法堂は困惑しながら状況を理解しようとする。分かるのは話しかけた人物が無駄に爪が長く飲食物、骸骨、本、砂時計を所持していた事。本の内容は発条仕掛けの蟻。

「あんまりブラブラしてると、他の地区の奴らに何言われるか分からないな。テレポートでもするか」

男性はランプを持ちだし法堂と共にテレポートする。

するとエイリアン達は法堂を歓迎する。歓喜の曲が壮大に流れる。

「私は第九地区のリーダー。ガイアレンズだ。この曲は俺が好きな交響曲第9番って言うんだよ。誰が創ったのかは分からないけどな」

法堂は鏡を見る。自分の姿は何も変わっていない。

「此処は天国ですか?」

「第九地区。通称、隠者。孤独になりたい者、哲学者になりたい者、人生に迷っている者が一時的に逃避し、哲学者に人生を問う事が出来る場所。

大体、宇宙人が多いけど言語は同じ。ただ恥ずかしがり屋が多いから気を付けろ。テレポートされるからな」

ガイアレンズはそう言って本を読みだす。

「全然意味分からない……。え?」