複雑・ファジー小説
- Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.177 )
- 日時: 2016/09/02 16:18
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
佐久間はエデルの元へ行くと、大量の暗殺者がエデルを囲っていた。周りにはペットの死骸が並ぶ。
「……これは」
暗殺者は話す。
「エデルは有能だ。しかしペット優先のせいでこれまで恵まれず、こんなゴミ共に紛れてしまった。それが惜しい我々は彼女をスカウトしにきた」
「それが動物を殺す理由にはならないだろ!」
「彼女にはこれからゆっくり薬漬けして、洗脳を開始する。こんな小さな命を育てる必要も無い」
エデルはペットを抱えて泣いていた。佐久間は怒る。
「お前等は暗殺者失格だよ」
「三流のクズが黙れ」
「俺は馬鹿だから人が死ぬ意味も何も分からない。だが、仲間が泣いている原因がお前等くらいは知ってるぜ」
「臭い事言うな〜何処の熱血漫画だよ。キモッ。暗殺者に仲間と言う概念は不要だ」
佐久間は一流の暗殺者をタコ殴りにする。エデルは驚く。
「三流なめんな!」
「ふえええええええええええ!?……意外に強い……!?」
一人の暗殺者は呟く。
「こんなクズに俺達が……」
エデルも暗殺者の顔面を殴り飛ばす。一発のパンチで鼻の骨が折れてしまう。
「……ゴミのくせに……」
佐久間は気付く。
「まさか……ほぼ24時間働いていたから滅茶苦茶筋力が付いたって事か!?これが社長の策略……」
「ふえええええ??結構ポジティブ!?」
エデルと佐久間はペットを近くの公園に埋める。
「こんな都会に公園ってあるんですね」
「安らかに……」
「まずい……流石に仕事しないと……」
すると、カードショップの前に忍賀と貝田がフィギュアについて語っていた。
「何言ってるんですか。フィギュアなんて完成品が全てです!」
「馬鹿言うな!ガレージキットも買えねえ奴がフィギュアを語るな!……これだからオタクは勘違いされるんだよ。にわかが!」
すると、磯野と犬山が現れる。
「……どっちも同じだ。馬鹿。仕事しろ!」
「あっははははは!ハーモニカ横丁!!」
佐久間とエデルは急いで仕事場に戻る。すると、後から付いてきた忍賀に止められる。
「あの……良いですか?」
「え、俺は仕事が……」
「お願いします!」
忍賀は佐久間と公園のベンチへ向かう。磯野は貝田に連れられる。
「忍賀は!?佐久間は!?」
「とりあえず……オタクとは何なのかを1時間説明してくれ……」
「は!?」
忍賀は相談する。
「あの……暗殺系アイドルってやっぱ売れないんですか!?」
「……気にしてたんだ。ごめんね」
「私、アイドルになりたかったんですけど、冤罪で捕まって強制的にこの施設入りさせられ、夢さえも無かったんですよ」
「……はあ」
「最初は暗殺者を辞めて、アイドル事務所にオーディションに行ったんですけども落ちてばかり。それじゃ、金稼げる暗殺者に就職しようとしても、小林財閥なんかの理由で落ちてばかり」
「俺と同じだな……」
「アイドルですか?」
「アイドル以外ね。なんで俺、アイドルになんの?」
「楽しいって何ですか?面白いって何ですか?」
「……」
「そんな事も分からないで私達は何となく生きているんです。自分のやりたかった事、自分が望んだ事。私は何がしたいのかが分からないんです。
この仕事に夢があったけど、いざやってみたら大した事無いや。辞めよう。人生の無駄だ。
楽しければ、望んでいれば、何をしても良いんですか?人間にとって時間は有限ですけど、それで良いんですか?」
「……」
「私は分からないんです。熱中していた昔の自分を否定する意味が。まあ、そう言う人って熱中なんてした事ないんでしょうけど」
「……解決しちゃった」
「そうですね……人それぞれですね。だけど、私は人生を熱中します!暗殺系アイドル!」
「……自己解決したなら俺は仕事に戻るよ」
「ありがとう!ファンの佐久間君!」
「……ははは」
佐久間は仕事場に戻る。佐久間は貝田と共に、ミミーズの会社情報をハッキングする。
「磯野の野郎。俺のフィギュア全部没収しやがった……俺の苦労が……!」
「会社が栄えれば、好きなだけフィギュアが買えるぞ」
「分かってる……!早く、ミミーズを蹴散らさないと。しかし、ミミーズはフィギュア業界まで進出していて、しかも造りが精巧なんだよな〜。惜しい」
すると、一緒に働いていた先輩が呟く。
「お前等、何考えてんのか知らないが絶対に草野みたいにはなるなよ」
「草野さん?」
「俺と同じ様に、暗殺すらまともに出来ないカスだ。しかし息子には一流の暗殺者だと嘘をついている」
「……」
「俺達は腐ってんだ。醜い真似までして守りたいもんなんかないだろ」
「刀根さん」
「……草野を助けてやってくれ。妙なプライドから……。ぐわっ!パソコン壊れた!?……最近機種は嫌いだ……」
「それ10年前のパソコンです……」
一方、草野は精神がギリギリだった。
「私は一流。私は一流。私は一流暗殺者なんだ!」
佐久間と貝田は草野を見る。
「確かに……ブラック企業。倒産の危機。貧乏。精神崩壊するよ、普通」
「ついでに、薬物依存」
「後は、確か借金あったよな。特にエデル」
「……駄目だこりゃ」
すると、君島と川崎がもやしを持ちながらやってくる。
「何が駄目なんだい?」
「君島さんと川崎さん」
「あー草野じゃな?ちょっとこっちへ来い」
川崎と君島は佐久間と貝田を連れて行き、草野について話す。
「草野はミゴ・ロークフの暗殺者として一番のベテランなんだ。10年間、くすぶり続けている」
「10年間……」
「ワシは息子の気持ちが分かる。ワシにも息子がおってな。息子にはついつい、強がってしまうんじゃ。ホラ、現在ピアニストの……」
「ああ……この人ですか」
犬山は叫ぶ。
「ハーモニカ横丁!木村は……」
川崎は叫ぶ。
「大事な話しとんじゃ黙っとけ!ボケェ!」
君島は呟く。
「……とにかく、息子にだけは強いお父さんでいたいんだ。分かってくれ」
「でもそれじゃいつまでたっても草野さんは息子に偽ったままですよ……」
草野はブツブツ呟く。其処にワンスモア・Iが現れる。
「やあ、ワンスモア・I。僕はもう止められないよ?」
「・・・・・・」
「本当に止められないよ?良いの?」
「僕は、保険金を一年前から加入していた。そして今日、僕は事故を起こされて死ぬ。これで息子に、強いお父さんのままのイメージで終わってくれる」
ワンスモア・Iは車の手配をする。
「盗んだ普通車で時速90㎞で引き殺す・・・・・・」
「私の命の価値は……息子の未来に引き渡そう」
ワンスモア・Iは草野と共に外に出る。手配した車で遠くの森へ向かう。
「・・・・・・」
「よし、私を殺せ」
「・・・・・・」
草野は外に出て、目を閉じ道路の真ん中で立つ。ワンスモア・Iは車を発進させる。すると、ロビンソンが叫びながら車に近づく。
「お前、何してんだよ!?」
「・・・・・・?」
草野は呟く。
「居酒屋の迷惑客……」
「草野。お前の事は俺は良く知っている。俺は情報屋だからな」
「だから何ですか?私は息子への保険金の為に……」
「それで本当に息子が幸せになると思ってんのか!俺は、大昔に暗殺者に親と弟を殺された。俺はその場から逃げだし、公園でずっと生活を続けて来た。俺は何度も、夢だと思って顔面を殴りまくった。だけどどれだけ殴っても、家族は戻って来なかった。……家族は金よりも重いんだ。大切にしろ。息子も。自分自身も」
「……きゅ、急に何を……」
ワンスモア・Iは呟く。
「帰るぞ。茶番は終わりだ」
「……止めてくれたのが、居酒屋の迷惑客とは……。せめて、佐久間さんじゃ……」