複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.20 )
日時: 2016/07/11 17:20
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

山の中、中年の女性がボロボロになりながら少し若い青年にしがみ付く。







「お願いです!私には娘がいるんです!だから助けて下さい!」

「娘は何処に行ったのか」

「娘は処刑されました!どうしてこんな事に……!

ただ夫が犯罪者と言うだけで!何故家族まで殺されないといけないのでしょうか!」

「お前は呪いと言うモノを何なのか理解しているか?」

「さあ?分かりません」

「……」


青年は女性の腕を縛り、山道の道路へ放り出す。


「た、助けてくっださい!」


「……俺は呪いを止めるぞ。そして、英雄になる。そうすれば……ククク」





青年は猫の様な眼で女性を見る。








すると、ボロボロの家から笠原が現れる。


「やっぱり見殺しには出来ない!」




青年はボロボロの家に向かう。


「……」


ボロボロの家には、黒姫がいた。



「嫌われ者は一生、嫌われ者……。誰も救ってくれない。誰も好きになってくれない。誰も見てくれない。


誰も理解してくれない。

ワタシ……何で生きているんだろ?」



青年は黒姫を見る。



黒姫はナイフを青年に向ける。


青年はベージュ色のテクノカットの髪、猫のような青い目が特徴。身長は177㎝。20歳。

「……腐臭がする。お前は何人、人を殺したんだ?」

「……いちいち数える必要は無いわ」

「一度だけしか言わない。よく聞け。

俺は『追尾弾』こと細多喜 隆人。名字を呼ばれるのは好きでは無い。

そして呪いを絶対に止める英雄だ。覚えておけ」



細多喜は勝手に家の中に入る。

「勝手に入らない方が身の為だよ……!」

黒姫はナイフを細多喜に向ける。

細多喜は避ける。


「……」

「何者なの……?貴方は?」



「呪いを止める英雄だ」


細多喜は食料を運び込む。

「全ての食料と水が……」

「俺は英雄だ。だから何でも許される」


黒姫は細多喜を止めようとする。

「止めておいた方が良い。オレは元SP。あのアルベルト・シャドを護衛した事もある」



黒姫は少し引く。



「その判断は懸命だ。俺は余計な事、余計な会話、余計な抵抗をしたくはないしさせたくもない」



細多喜は電話をする。


「此処なら身代わりがいるから問題無いか。それにこんな街にGPSを起動するのもバカげた話だ」





電話の相手はブライアン。


「おい、取引だ。早くアルベルトを寄こせ」

「呪いと言う不完全で不安定な状況でもそんな事を言えるのだな。まあ余計な会話は嫌いだから単刀直入に言わせてもらう。

アルベルトの場所は端町の隣町である、丸中町まるなかちょうの丸中空港の一階、男子トイレに縛り付けている」

「分かった。それじゃ、この呪いが終わったら直ぐにお前が呪いを止めた英雄として世間に向けて発表すれば良いんだな?」

「言ったはずの言葉を解説するな。余計な会話は嫌いと言ったはずだ」



細多喜は電話を切る。



すると、笠原が中年の女性を背負ったまま住人から逃げている。


黒姫は動揺する。


「笠原……」

「無駄だ。まあ好都合だ。住人が女達を捕まえる隙に逃げ出そうでは無いか」

黒姫は笠原の方へ走る。



「……助けないと……」




細多喜は呟く。

「黒姫がいなければ呪いを止めた英雄の証明がされないではないか。

第三者の証明があってこその英雄なのだから。

そして英雄になれたなら、俺の罪の全てが免除され俺の功績のみが残るのに」