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(さて、これから浜梨の家に行く訳だが、会社の後輩は扱いにくいな。どうやって金をむしり取るか……。それに、夕張とも逢わないと……)

「……此処が浜梨……美穂の家かー」

其処には、茨田の盗撮写真が目に余る程壁、天井に張られていた。

「やっと先輩に魅せられますね。私の愛が」

「……」

(引くレベルだぞ……。それに何で手錠とかあるんだよ！)

「あ、今、私ってこんなに愛されていたんだって思いませんでしたか？今からはずっと一緒にいてくださいね？私、もう写真じゃ満足できませんよ？」

「……ああ」

「それとあまり他の女性と話さないで下さい。後は他の女性を魅了するような格好は辞めて下さいね。かっこいい姿は私だけに....♪これからは本当の姿をもっと私に見せて下さいね。私も見せていきますから」

「……」

(まずいな。社内恋愛で想いが強くなると、別れる時に厄介だ。別れた後に社内で会えるかよ。とにかく、此処は身を引いて……)

「すまない。今日はちょっと取引先と用事が……」

「駄目ですよ。今日は、いやこれからは先輩と傍にいます」

「だから取引先が……」

「さっきの女の人ですか？駄目ですよ。私だけを見て下さい。私は先輩しか
いらないんですよ？」

「……うあああああああ！！！」

茨田は逃げる。浜梨は業務用の鋏と赤い糸を茨田に向ける。

「他の人の赤い糸は全部私が切ってあげますよ。先輩は優しいですからね。きっと他の女の人に言い寄られているんですよね？でも断れなくて……。もう先輩は此処にいて下さい。ずっとずっとずっとずっと私の傍にいてください」

「嫌だ！嫌だ！」

「どうしてですか？約束したのに」

茨田はその場を去る。そして夕張に連絡。

「……ちょっと追われていて、匿って貰いませんか？」

(畜生……どうして俺がこんな目にあわないと……。警察は……呼べないな。大事おおごとにされると色々厄介だ)

浜梨は家の中で眼鏡をかけ直す。

「先輩ったら照れてるのかな？でも丁度良いや、先輩に手芸してますからね。今度、先輩の家に送りましょう。これで先輩は喜んでくれますね」

浜梨は自分の抜けた髪の毛を縫いながら手芸をする。

「ちょっとチクチクしますけどこれも愛です......そう、愛です」

浜梨は手錠を回す。