複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.229 )
日時: 2016/09/15 19:52
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

浜梨と茨田の間に大量の赤い糸が現れる。

「俺は幻覚を見ているのか?」

茨田は全力で逃げる。

「ねぇ........先輩?どうして私から逃げるんですか?」

「誰か!助け……」

赤い糸は茨田の口の中に入り込む声帯を縛る。

「…………!」

「他の女性を見る目はいらないです。他の女性に話しかける声はいらないです。他の女性に触れる手はいらないです。他の女性の元へ行く足はいらないんです。先輩」

赤い糸は茨田を操り人形のように縛り操作をする。

「先輩は私だけの物です。例え誰からも見捨てられても私は見捨てません。だから安心して私の傍にいてくださいね」

赤い糸は足、腕、目、声帯を破壊する。

「先輩に必要なのは赤い糸だけです」

赤い糸は傷を縫い合わせ修復する。

「止血はしました。後は赤い糸で出来た包帯で回復を待ちましょう。やっと.....私と四六時中もいてくれますね」

茨田は胴体だけの身体で逃げる。浜梨は笑う。

「オイカケッコですか?うふふふふふ..........先輩........捕まえた♪もう二度と逃げないで下さいね♪」

浜梨は茨田を物理的に束縛し始める。

「先輩がすぐに何処かへ行っちゃうからこんな事になったんですよ」

「……」


遠い昔。ある少年はとても正直だった。サンタも妖怪も迷信も全てを信じ切り、行動をしていた。勿論、運命の赤い糸も。しかし同年代から見てある少年は変わり者。彼と関わる人間等いなかった。友達、恋人もいなかった。それに親は貧乏。金も無くまさしく何も無かった。ただ彼には夢があった。

「俺は将来、絶対に金持ちになって見せる。そして友人と恋人を造るんだ」

遠い昔。ある少女はとても大人だった。サンタも妖怪も迷信も全てを妄言と捕え、行動をしていた。勿論、運命の赤い糸も。その為、彼女は大人しかった。同年代から見れば、影が薄い。彼女と関わる人間等いなかった。友達、恋人もいなかった。親は裕福だったがある少女に愛を注がなかった。彼女は愛が分からないまま生きていた。

「.....運命?何ですかそれ?」

少年は挫折を繰り返しクズに。少女は挫折をしないまま、親の跡を引き継ぐ事になる。

「あの。写真を撮りたいんですけど」

「え、此処は写真館ですよ」

「ええ」

「貴方が撮るんじゃなくて?」

「私が貴方を撮りたいんです。こんなに可愛いのにいつも撮ってばかりじゃその美貌が可哀想ですよ」

「....私が可愛い?」

「ははっ。何かどっかの少女漫画みたいですね。申し訳無い。私、風我見重……いや、茨田 春って言います」

「わ、私は浜梨 美穂(はまなし みほ)です。美穂って呼んで下さい」

「……ああ分かったよ」

浜梨は初めて一目惚れをした。愛を知らない彼女は初めて運命の赤い糸を認めた。愛とは何かを知った。浜梨は数年後親の反対を押し切って写真館を後にし、茨田の元へ行く。茨田はただのナンパ。だが茨田は性格が曲がっているせいで恋を忘れていた。その為、道徳心が大きく欠落してしまった。

「先輩が私に恋を教えてくれました。今度は私が恋を教えてあげます。本当の恋を。一人の異性を愛する意味を」

その後、浜梨は会社を辞める。結局、茨田の事件は被害者側が茨田を庇い薬を自分で飲んだと主張。会社も大事にしたくない為疑問が残るまま茨田の事件は終幕した。

浜梨は小さな島で暮らしている。真っ青な空に海。とても開放的な空間。

「うふふふふ.....ハッピーエンドですね」

すると彷徨いながら茨田が行動する。

「先輩。私がいなくて寂しかったですか?」

「……」

「ずっと一緒にいたいんだけど私も洋服とか売らないと駄目だから」

「……!!」

「もう先輩が私にベッタリじゃないですか。ほら今日は晴天です。一緒にずっと見ていましょう。ずっと一緒にいましょう。ずっとずっと....想い出の写真撮りますね。

ハイ、チーズ」

茨田は本当の愛を知ったかのように笑っていた。


第十三幕 愛するよりも愛されたい 完