複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.235 )
日時: 2016/09/17 15:07
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

siyarudenさん、設定追加は確認しました。

これからも応援宜しくお願いします。

此処からは本編です。


明治7年。熊本から東京まで徒歩、192時間。八日間掛けて、いや休憩も入れるとそれ以上の時間を費やし東京へ向かう時代。鎖国から解放された国が文明開化により他の国の文化を学んだ時代。しかし変わりゆく時代に翻弄された人々の混乱が国中に起こっていた。

「また忍者が懲りずに犯罪を……もう主はいないと言うのに」

忍者は江戸の頃、大活躍していた。しかし文明開化に連れ、忍者と言う文化が認められなくなり、忍者を雇う者が少なくなった。忍者は命令が無い事に戸惑いを覚える。

「拙者を捨てるのならば、せめて最期に闇に消え骨になれと命令して下さい」

「……お前は忍者を捨てろ。忍者以外にも道がある。もう時代は新しくなる」

「……ならばその新時代を打ち止めてもう一度貴方に雇って貰います」

忍者を統括するのは、霜月一族。文明開化を阻止しようとしている。

さらに、陰陽師にも文明開化の風が当たる。陰陽師は江戸の時まで地位も格上。しかし文明開化により新たな宗教が異文化と言う認識が薄まり、陰陽師の権力は弱くなっていた。

陰陽師の最大派閥なのは天淵一族。式神を操る事が出来る。彼等もまた文明開化を阻止する為、力を欲しその為なら犯罪も構わない。

陰陽師と忍者の企みを阻止するのが警察組織の中に属している忍者討伐部隊。火野や親友達も嘗て入隊していたが火野は警察組織のやり方に疑問を感じ脱退。

そんな火野は現在、線六等神社せんろくとうじんじゃに来ていた。

「尾瀬ヶ原!」

尾瀬ヶ原の傍に漆奈と鬼神がいた。

「うおっ。鬼神」

「蓬莱延命呪詛呪像だ。悪事は見逃さん」

「……」

蓬莱延命呪詛呪像は黄金の斧を持つ。

「貴様は悪だ」

火野は構える。

「だが我は人間の法で判断するつもりは無い。善と悪を決めるのは人生が終わった時だ」

「……大量殺人犯でもか?」

「そんな奴は人間ごときでも判断出来るだろう。法が無くては貴様等は生きていけないのか?」

漆奈はホウキで神社前の掃除する。

「それでは、尾瀬ヶ原行くぞ」

「俺っち、正座してたから足が痺れて……」

火野達は千菊姫の元へ行き戯を監視する。

「目的次第では殺しても構わんぞ!」

「殺しはしない。俺が斬るのは悪の心のみ。と言うか妖怪相手は俺じゃなくて尾瀬ヶ原だ」

「ほう、どう言う事じゃ」

「俺っちは妖術使い。鬼火を使って相手に攻撃するんだ。口の中に入れて燃やしたりできるぜぇ!後は色んな所に火を出して囲ったり……」

一方、戯は専用の部屋で男の前に口に含んだ煙管の煙を浴びせる。

「....火使いか」

「何だ?気持ち良かったか?」

「早く仕事場に戻るべきかぇ.....?」

「……俺、精力剤飲んだんだけどな。俺じゃ満足できないのか……自信無くすな〜」

男は隣の部屋に行き服を着て去る。

「今度は花札で賭けようか」

「良いから帰りな。みっともない」

「……燃え上がらねえな。スタイルは言う事無しなのに」

戯は服を着て時雨を呼ぶ。

「やっと休憩時間だね!今日は火野さん来ないの?」

「時雨あまり人間と関んせんほうがいいぞ........その分別れが辛くなる.........」

「……」

火野は尾瀬ヶ原と千菊姫と話し合う。

「昨日の被害は?」

「ああ、やはり狐の妖怪が悪戯をしおった。全く幕府は何故動かんのじゃ」

「さて日が暮れる。吉原の稼ぎ時だな。それに寒いし、まあ雪がまだ今年降っていないのが幸いか」

火野達は夜通し監視するが、何も起こらなかった。

「お主等、もう帰ってもええんじゃないか?」

「……すまない、依頼人の為だ。もう少し……」

火野達は眠る。一方、幕府関係者が店から出て家に帰ろうとしている時。

「あ〜骨抜きにされたわ。千菊姫より良かったな」

「へへっ。南蛮の石鹸の匂いがしますぜ」

するとキツネの妖怪が現れる。

「コンコン♪」

すると、火野と尾瀬ヶ原が店の窓から飛び出す。

「あっ……痛いッ!」

火野は足を挫く。尾瀬ヶ原は受け身を取る。

「やっと見つけたぜぇ〜。狐の妖怪。いや、千菊姫!」

幕府関係者は逃げる。そして狐の妖怪は消え千菊姫が現れる。

「……妾、偶然此処にいただけじゃ」

「狐の妖怪は恐らく千菊姫が出した式神だなぁ!」

「……戯が犯人じゃ!」

「戯は妖怪だが犯人じゃない。理由は戯自身に野望も欲望も快楽も無いからだぜ」

「……」

「しかもメリットも無い。折角来た客に悪戯するなんてあり得ないし、例え、人間を嫌っても性格上、戯は行動には出ないはずだ」

「でも、警官の時は……」

「あれは恐らく、周りの客達に言われて行動を起こしたんだろう」

「どうしてそんな事が分かるんじゃ!」

火野は起き上がる。

「長年、悪人を見て来た勘だ」

「そんな不確かな!」

「不確かなのは妖怪も同じだぜ」

火野は千菊姫に刀を向ける。

「……だが、こんな事をした理由は分からない」

尾瀬ヶ原は話す。

「明らかに、戯による嫉妬じゃと思うんだが」

「……」

「そうじゃ。戯は妾の全てを奪った。それで直、あんな曇った表情をしておる。許せなかった……だから幽霊騒ぎを起こして、原因を戯にさせてあわよくば、戯を追いだして妾がもう一度、吉原を引っ張ろうと」

「……そんなやり方で千菊姫は後悔していないのか」

「……後悔は」

すると笠を被った侍が千菊姫を斬る。

「妖怪は悪だ。情等不必要」

侍は去る。火野は追いかけようとするが足を痛める。

「……!」

千菊姫は化け物の様な姿になる。

「妾は……妾は!人間が嫌いじゃ」

千菊姫は精神崩壊し、血を流し死に消える。火野と尾瀬ヶ原は見送る。すると、時雨と後を追う戯がやってくる。

「火野!」

「……」

「....この子は時雨。わっちと同じ妖怪....」

「そうか。可愛いな」

「えへへ。やっぱり火野って良い人だね」

「……嬉しいが……俺は」