複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.24 )
日時: 2016/07/13 17:20
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

一方、笠原は縛られていた女性を救出し、住民から逃げていた。


其処に、黒姫が笠原と合流し、細多喜の元へ行く。


住民は叫ぶ。

「害虫め!消えろ!死ね!生ゴミめ!」



明らかに、尋常じゃない程に発狂していた。

笠原は泣き顔になる。


「どうしてそんな酷い事を……」


黒姫は呟く。

「人間を害虫扱いする方が害虫だよ……」




細多喜は笠原と黒姫、そして女性を救う。


「この先に隣町へ行く山道があったはずだ。さすがに隣町に行くまでの根性は無いだろう」



笠原達は喜ぶ。


細多喜は呟く。


「完璧な俺が何故こんな嫌われ者共等と……」






暫く、山道を歩くと住人は追う事を止め街へ戻る。

そして、細多喜に電話が鳴る。


「ブライアンか。何の用だ」

「どうも、地獄門です。呪いの手がかりが見つかったので丸中空港へ来て貰いませんか?」

「取引は?」

「ありませんよ。僕はただ、この呪いを止めて欲しいだけです」

「……そうか、では丸中空港へ向かう。待っていろ」




細多喜は考える。


「地獄門は確か、元科学者だったな……」



黒姫と笠原は女性を運ぶ。



笠原は黒姫に礼を言う。

「ありがとう……助けてくれて」

「ワタシにも良く分からないのよ。どうしてアンタなんかを助けようと思ったのか。どうして、住人に捕まりたくない一心で逃げてしまったのか……。生きている意味が無いのに」

笠原は呟く。


「……もしかしたら、一人だったら生きる事を諦めていたかもしれない。でも、まだ皆がいる。仲間がいる。

この理不尽な運命を変えようとする希望があるから。

私達は今、此処にいる。生きようとするんだよ!」




細多喜は聞こえない様に呟く。

「生きる意味に理由をつけるな。だから完璧じゃない者は……」







細多喜と黒姫と笠原は丸中空港へ行く。


死体は無くなっており、地獄門が出迎える。


「僕の言う事を信じてくれて嬉しいよ」

「それで、呪いの手がかりは?」

「ああ、呪いの正体は悪性ウイルスによる感染症だね。僕等も住人の奴等もこの感染症にかかっている。ワクチンは無い」

「……成程、不完全な呪いの解き方は予想していたが感染症とは。

それで、感染症が起こった原因は?テロか?」

「テロがこんな世界中にウイルスをばら撒く訳が無いよね?」



黒姫は呟く。

「世界政府の陰謀説……」


地獄門は考える。

「人類補完計画みたいなモノかい?まあ、世界政府がこの現象をろくに調べないでくだらない占い師が呪いと言う一言で片づけたと言う事は……有り得ないと言う事は無いね」





細多喜は呆れる。

「そんな無駄な事を世界政府がする意味が分からない。財政破綻を引き起こしてまで……」








「ぎゃあああああああああああ!!!!」






突如、笠原の首の皮がめくれ、血が吹き出る。



傍には縛られていた女性がいた。


女性は笑う。

「ナイフって便利ね」


地獄門は眼鏡を拭く。

「全く、拷問する相手が一人減ったな。余計な事をしてもらいたく無いのだがね」




細多喜と黒姫は構える。


黒姫は動揺する。


「笠原……」





「このウイルスは元々兵器用に開発されたウイルス。つまり、生物兵器。

しかし、素晴らしい威力だわ。

さすが私の夫が創りあげた兵器」




「何者だ。お前は?」



「名乗る必要は無い。何故なら、全員此処で死ぬからよ!」




女性は、高笑いしながらナイフを振り回す。





三人は逃げ続ける。



女性はだんだん、スピードが遅くなる。


「早く、人を殺さないと……!私は……」







女性は全身血まみれになり腐る。





「何だったの……?」




女性の周りから、枯れていた観葉植物等が生き返った訳じゃないが生気を取り戻す。




細多喜は女性の服から何か紙が出ているのを見て、取りだす。


「……成程」



細多喜はショックを受ける。


「俺はこの呪いに勝てないのか?違う、まだだ。まだ、俺の人生は終局を迎えていない!」





すると、黒姫が地獄門に注射を打つ。



「……さよなら」


地獄門は腐る。


「僕は……もう人を殺せない……のかい?」

「ワタシは貴方の寿命を早めただけ」




黒姫は細多喜に向かって歩く。


「俺は完璧なはずだ。俺の計画が狂うはずが無い!」


「人の寿命は決まっている。


だけどさ、自分でその人間の寿命を書き替えたくなった訳よ。



人間の限界に挑戦させてみたい」



「……しかし」




細多喜は腐る。

「その計画……は、脳以外の全ての機能を失うぞ」


「そして人類は進化するのよ」














黒姫は丸中空港を後にする。












地獄門は最後の力を振り絞り、細多喜が持っていた紙を見る。





紙の内容は……。





妻へ。


このウイルスは、主に空気感染により起こる感染病を引き起こす。感染病は君の命を奪いに来るだろう。

だが、一つだけ助かる方法がある。


それは、ウイルスの感染者を至近距離で惨殺する事だ。

このウイルスは生物内から飛び散った場合にのみ、ワクチンの役割をしてくれる。

だが、副作用として自分が嫌っている者(動物や植物で言うと天敵)に向かって、無意識に攻撃体制に入ってしまう。



そして、この生物内から飛び散ったウイルスにのみ持つもう一つの特徴は、腐らせない、また腐ったモノを再び元に戻す効果を持っている。


つまり、このウイルスにかかると肉体が常に腐る事が無く永遠の若さを手に入れられると言う事だ。





常に肉体を維持出来ていれば、寿命と言う概念は無くなる。


つまり、不老と言う人類の夢が達成出来る。不死はさすがにまだまだだが、だが長寿は出来るはずだ。

300歳や500歳。人類はまだ成長出来る。



ワタシは、それを、証明する。






















黒姫は呟く。



「卯敷様。これから、別の地域で、さらにウイルスをばら撒いてきます」














卯敷と呼ばれた人物は、黒姫のような人間を大量に連れて来る。




「ああ、まだまだ世界は広い。世界政府はまだこのウイルスの存在も確認出来ていない。全く、無能だよ」




「人類はいつまでも若々しい肉体を手に入れ、全ての人間が不老不死となり……進化する」


「……ああ」





黒姫は笠原を思い出す。


「でも、それで良いの……?幸せなの?」



「世界の進化に感情は不要」






卯敷は黒姫を銃で撃つ。








「ああ!私はこれで、また寿命が増えたよ!」






















第一幕 アウトサイダー 完