複雑・ファジー小説
- Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.258 )
- 日時: 2016/09/28 18:45
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
甲斐は話す。
「宗教は何も無い人間にひょっとしたら特別な能力を与えてくれるかもと言う夢を与えているのだよ。科学は論理的すぎて目標があっても未知なる夢を見る事は無い」
安達と尾崎は甲斐の前に立つ。
「……この人は?」
「彼はこの名も無き教団の教祖です」
「貴方は暗殺者ですか?」
「入団希望者では無いのか?」
「俺は安達。反小林財閥を設立する為、仲間が必要だ。君の力が欲しい」
「私は金では動かない。私は目的の為にしか動く事は好まないのだよ」
「……目的」
「私が一番信仰しているモノだよ。目的は人を強くさせるからね。まあこれに当てはまるのは元々強い人間だけど……」
「どうすれば仲間になってくれるんだ?」
「別に私は小林財閥に興味が無い。だから実質仲間にする事は不可能と考えると良いね」
「そんな……」
すると、大量の人間と一人の女性が名も無き教団に押し掛ける。
「あたしの指示以外、余計な事はしないで……」
「はい見境 紬様!」
安達と甲斐は見境を見る。見境は安達の姿を見て驚く。
「……!貴方……」
「ん?俺?」
部下達は拳銃を信者達と甲斐に向けて叫ぶ。
「甲斐!貴様を小林財閥へ向かわせる。従わない場合は殺す」
「暗殺者が堂々と拳銃を向けるのか?」
「殺人は小林財閥で隠蔽出来る」
「安達。この状況の場合君ならどうする?」
「貴方と協力して脱出する。そして協力する時に仲間になる取引をするって事は確かだ」
「うむ、勘が良いね。だが協力はいらないと言ったらどうするんだい?」
「いらない?」
見境は何処かに連絡をする為に名も無き教団を出る。
「……」
何かを話しているが、部下の叫び声で聞こえない。
「そんな強がりはいらない。あの女性の元へ行かないと……。あの女性が俺の記憶の手がかりの気がする!」
「憶測は悲劇の幕開けだ」
甲斐は部下を殴る。部下達は発砲する。見境は驚く。
「何をしてるの!」
甲斐は銃弾をかわし、部下達を血祭りに上げる。
「……これは」
「信じてくれないだろうが、私は何にでもなれる事が出来るのだ。それも刹那から永遠まで。私は一瞬のみ、身体から大きなキバと爪を進化の過程に身につけ敵を殺したのだ」
「……まるで分からない」
「人間体を維持しないと生物兵器を開発している小林財閥は厄介だからね」
「生物兵器?」
見境はとっくに逃げていた。
「どうして……」
甲斐は安達に寄る。
「さて遺体の後片付けを手伝ってくれないか?君に協力はするから」
「ぁ……はい」
すると、甲斐の元に一人の男性が切り絵細工をしながら来た。
「随分と散らかしとるねー.....甲斐」
「虚。このタイミングで来ると言う事は小林財閥は君の差し金かい?」
「はて何の事でっしゃろ.....?」
「虚って……!」
「ああ、彼は暗殺の世界で有名らしいね」
「桐華にはもう会ったみたいやのー.....」
「立花さんにはもう会ってます」
「ほな小林財閥を壊滅するのに協力させてもらいますわー.....早速、小林財閥の資料を....」
当然、警察がやってくる。
「お前等、銃を」
虚は体操選手のように床を使いアクロバティックな動きをする。警察はいつのまにか棒手裏剣に刺され倒れていた。
「殺しても構わへんけど、とりあえず動きだけ封じたわ」
「封じた?」
「経絡って言うつぼに刺す事で様々な効果を呼ぶ事が出来るんやよ」
「そんなつぼが……」
虚は切り絵細工をしながら飄々としている。
「もう十分仲間は揃ったと思うで。仲間達を集めて小林財閥を本格的に潰す会議をせなあかんと思うよ」
「はい……。でも、どうして其処までしてくれるんですか?」
「僕は存在自体、虚なんやよ......やさかい今は君らん味方せやかて今度会うときは刃を向けるかもね......」
虚は笑う。
「でも金で飼われる程僕は腐っておらんから.....」
「……そうですか」
そして仲間達は安達の家に集合する。……が。
「滝さんはそろばん教室。カヲルさんは仕事中。立花さんは椎名さんと居酒屋。虚さんはギャラ交渉中。いるのは、甲斐とジャノック、HNRΩ、尾崎、平、トルベルア、犬山、草野……って草野さん!?」
「はい、私も仲間になりました」
「武藤さん言って下さいよ」
「ああ、すまない。それに我々榊等の社員と見漫間社長も……暗殺に協力する」
「あ、ありがとうございます。しかし、まとまりがまるでない……」
望田は犬山に叫ぶ。
「暴れるな!なんだこれ!」
すると地獄門は一人の女性を連れて帰宅する。
「此処が僕の研究室だ。裁」
「地獄門の妹さん?」
安達は地獄門 裁を見る。
「俺は地獄門 裁!宜しく!暗殺者だから協力してやるぜ!」
「ああ……」
望田は呟く。
「……安達、一目惚れか?」
地獄門は笑う。
「妹には彼氏はいないよ。だって彼氏なんていたら……」
地獄門は奇妙に笑う。
「おいおい!気にするなよ!俺は彼氏募集中だ!だが女々しい奴は嫌いだぜ?」
安達は裁の迫力に押される。
「……暗殺者のクセが……」
安達は倒れる。進行は武藤が行う。
「小林財閥を潰す方法をこれから説明する。此処に来ていない者は後で説明に向かう。まず小林財閥の雲井 祭が主催する暗殺者大会に参加する。ルールは無し。人数は基本19人だがこの大会のみ何人でも可能だ。ステージは毎回、技術の手により変えられる。対戦形式はトーナメント。だが毎回決勝は小林財閥直属のチーム、チーム名はデストロイヤーズ。
大会は今から10か月後だ。それまでは暗殺、訓練等は各自で行う事。直、優勝賞金は一兆円。だが参加費の五十億円はファイアースターカンパニーから借金をして参加を決定させた。くれぐれも下手な真似はするなよ」
「デストロイヤーズ以外のチームは?」
「ほとんどが小林財閥が経営している傘下か子会社だ。だから我々を潰す事に中心とした対策が取られるはずだ。例えば、一回戦で敵チームが我々の前で一斉に自爆させ我々の戦力を削る等な」
「……成程」
「それじゃ勝ち目ゼロか?」
「彼等の唯一の誤算は一つ。……我々を甘く見ている事だ。私はこんな酷い寄せ集めチームは初めてみた」
安達は起き上がる。
「おいっ!」
「だがこんなチームだからこそ、向こうも予測出来ないし何も出来ない。このバラバラのチームだからこそ、小林財閥の整列された支配を崩す事が出来ると思うんだ。友情でも金でも復讐で繋がった訳じゃない。安達の奇妙な運命により繋がったチームだからこそ、運命を託す事が出来るんだよ」
「そうか……」
こうして、安達の努力により奇妙なチームを造る事に成功した。彼等の繋がりは友情でも金でも復讐でも仕事でも重大な目的でも無い。ただの偶然による不確かな繋がりである。互いに何も知らない者もいるから、もしかしたら何も繋がっていないのかもしれない。だが、確かに安達の周りには好んで人がいる。まるで好きな時間に憩いの場を求めるように。それ程に彼等は無意識に無限大の可能性を秘めていた。