複雑・ファジー小説
- Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.279 )
- 日時: 2016/10/08 16:44
- 名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)
点在は夢を見る。真っ白な世界の目の前には座布団に正座し浮遊している男性がいた。
「貴方は?」
「俺は平等院優卯。よろしく頼む」
平等院は浮遊しながら編み物を始める。
「え、え〜とっ幻覚を見てるのか?」
「その通りだ。お前はこの過酷な状況で酷い幻覚を見ている」
「……それを幻覚が教えてくれるなんて親切だな」
「俺はある意味、世界の神だからな」
「神?神なら戦争を止めてくれよ!」
「面倒だ。人間ごときにそんな力を使う暇は無い」
「何だと!?何人の人が死んだと思っているんだ!」
「お前は蟻が死んだ数を覚えているか?」
「五億くらいだ」
「適当に言うな。分からないだろ」
「いっぱい死んだ。これで良いか?」
「まあ良い。正直俺も人間に対してはその蟻程度にしか思っていない。それでガタガタ抜かされても困るのだよ」
「じゃあなんで俺の幻覚に現れた!」
「編み物自慢だ」
「他でやれ!」
「結構自信作なんだけど見せる人いないから。どう?」
「意識がもうろうとして……」
「それじゃ神だけにこの紙に編み物リクエスト書いて。編んで見せるから、あげないがな」
「……」
「ばいばいきーん」
点在は起きる。
「パイロット捜索しないと……ううっ……腹減った」
一方、一人の兵士が外国人を連れていく。
「亞狗兎。そいつは誰だ?」
「ご主人様、彼は敵国の捕虜でございます」
「私を誰だと思っている!モスカ大使だ!あの、天空の城でお馴染のモスカ大使だ!」
「知りませんよ、貴方みたいな敵国の人間は」
六田口は叫ぶ。
「縛って殺せ!」
アクトは拒否する。
「無理です。戦後で訴えられます」
「我々が勝てば問題なーい!」
「まあ私は殺して構わないのですがね」
アクトは少ない食料をモスカ大使に渡す。
「これでも食べていろ」
アクトが渡したのは現地で取れたゴボウ。モスカ大使は激怒する。
「こんな木の根っこ食べられるかっ!戦後で訴えてやる!」
「……どっちにしろ訴えられるのだな」
一方、葛西は戦闘機に乗っていた。
「登岐目。遺書を書く時間さえ無かったよ」
「まあ戦闘機に乗れるなんてそうそうないよ。良かったね!」
「俺は操縦資格を持って無いんだ!」
上司は叫ぶ。
「騒ぐな!お前は光栄に思え。お国の為に命を張れる事をな」
「それより燃料が明らかに少ないぞ?」
「ああ……燃料が万が一無くなったらお国の為に命を捨ててこい。戦闘機の先に爆弾を設置している。ちゃんと先端を敵国に向けて死ぬんだぞ」
「……なんだよ、それ!ふざけんな!」
「……じょ、冗談だ」
「冗談!?」
「ジョーク?って言う奴だ」
「馬鹿にしてるのか!」
「ちょっとリラックスさせようと思っただけだ!」
「そんなジョークで誰がリラックス出来るんだよ!」
「流石に国も、俺達の命を軽く見て無いだろ。まあ墜落してもパラシュートで脱出して餓死するか仲間に助けられて飯抜きにされるからだ」
「……畜生、せめて戦闘機をモデルチェンジしてくれれば……」
「無理無理、戦闘機は細かいマイナーチェンジの繰り返しだから。敵国は戦闘機を強化し更新してるのにな」
「そうなの?」
「いや適当に言っただけだ。ジョーク!」
「……もう、良いよ」
誰も思っていなかっただろう。こんな生活を2年する事に。
そして、六田口は焦り始め、ある作戦を決行する事になる。