複雑・ファジー小説

Re: イエスタデイ・ワンスモア【オリキャラ募集中】 ( No.285 )
日時: 2016/10/13 19:02
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

三【terzo(テルツォ)】の回

一人の高校生が駐車場が広い孤児院の前に立つ。

「私の名前はθ=φ!腕を武器に変形出来るんです♪武器と言っても架空の武器ですけどね!」

θ=φは腕から大量の爆弾を放出させる。

「この様に爆発出来ちゃいます。私?私は究極のセクサロイド!耐久性は結構あります!」

孤児院は爆発し、中にいた子供達等は吹き飛ぶ。

「ほらほら努力しないと〜いつまでそんな温室にいるつもりなのかな?」

「誰か……助けて……」

「命乞いをする前に助かる努力をしないと駄目ですよ」

「違うの。私の友達が……」

「友達ですか?なら友達は努力不足です。良い子にしてもプレゼントは貰えませんよ」

θ=φは絵本を持った少女を殺そうとする。すると、黒の短髪に黒い瞳 筋骨隆々の体形
上半身は裸で黒いロングコートを羽織っている男が現れる。

「お前、何してんだ?」

「爆弾テロです」

「警察は来ないのか?」

「この世界の名前を知って下さい」

「明日は檜になろう。成程、他者の助けを拒む世界か.....」

「そうなんです。ドゥーロさん」

ドゥーロは特注のロングコートを脱ぐ。θ=φは解説をする。

「赤コーナー。ドゥーロ!彼は地下プロレスの一代派閥、我執印プロレスのエース。過去に水牛、グリズリー、カバと戦い勝利した事があります。まさにプロレスに人生を捧げた男。それがドゥーロです!」

「....」

「では話し合いをしましょうか」

θ=φは血まみれのイスを二つ用意する。子供は助けを求める。ドゥーロはイスを破壊する。

「.....お前を処刑する」

「私はただ、皆に奇跡と努力を教えているだけですよ!」

「お前の得は何だ?」

「自己犠牲ですよ、貴方と同じです♪ダークヒーローさん」

子供は泣き叫ぶ。ドゥーロは動揺しない。

「内心は揺れ動いているんですよね。貴方が今いる環境に」

「.....」

「正義のヒーローを演じていたいけど、悪徳な組織で殺人も犯している貴方が罪を背負わずにあの子供の前でヒーローを名乗る事は出来ないと判断したんですよね?でも人殺さないと、この孤児院が経済難で潰れてしまい、子供達が悲しんでしまいます。うんうん、ヒールレスラーの悲しい悲しい心情ですね♪」

「言いたい事はそれだけか。遺書にしては物足りないな?」

「随分とお話するね?だったらイス壊さないで欲しかったなー」

するとドゥーロの身体は結晶化し始める。

「俺の能力は結晶化。結晶はダイヤモンドより固いウルツァイト窒化ホウ素以上の強度を誇り銃弾おろかミサイルさえ傷一つもつけられない...」

「分かりますよ、結晶の構造を自由自在に変えられるので腕をブレード状に変型させて斬りつけたり身体を棘だらけにして突き刺す結晶をマシンガンのように撃ち出せる。他にも拳を地面に叩きつける事で結晶を地面から無数に隆起させる事も出来る
結晶化させると同時に身体能力をも向上させるので凄まじい怪力で剛腕を振るう」

「思ったのだが俺の事を随分と調べているようだな」

「違うね、私が造られた時から知ってるんです」

「どう言う事だ?」

「だって私は貴方を破壊する為に生まれたセクサロイドですからね!」

θ=φは腕を変形させ、トゲを発生させる。ドゥーロは身体を結晶化させ動かない。

ドゥーロの能力は動作を行う場合、結晶化を部位ごとに分け無ければならない。何故なら、関節部位等を硬質化してしまうと関節を動かす事は困難になってしまう。簡単に言えば鎧を思い出すと良い。鎧は決して1枚の金属で出来ていない。関節部分に曲げられるように工夫が凝らされている。てな訳でドゥーロも部位ごとに結晶を分ける。結晶は構造を変えられる為色んな物質も作成可能。プラスチックの結晶や架空の金属の結晶も造れる。自分の身体のみだが。

「綺麗な能力ですね!ただ、肉体の構造はどうなっているのでしょう?身体自体を結晶化させてしまう場合、血液も結晶化してしまい動かす事は出来ませんよ!」

「皮膚だけを結晶化させている。それに重さは俺の体格なら耐えられる」

「人智を超えてますね♪でも皮膚だけでも……」

「....」

ドゥーロは手のひらから大量の棘型の結晶を出しまくる。ドゥーロとθ=φは交戦する。しかしθ=φはドゥーロの硬さには負け折れてしまう。

「良い能力ですね!凄いです!」

「.....」

少女は絵本を抱えながらドゥーロを見る。

「ドゥーロ......」

「.....」

「あの〜聞かないんですか?どうしてこの孤児院で爆破テロをしたんですか?とか、ドゥーロの事をなんで知ってるんですか?とか」

「頭の狂った奴に聞く意味はない」

「それじゃ自分で言っちゃいます。それは……貴方がサイボーグだからですよ」

「サイボーグ?」

「その通りです。身体の結晶化を行うと人体に大きな影響を及ぼすので身体の中の臓器を全て取り除き生命補助の装置を入れています」

ドゥーロは自分の身体を裂く。すると、機械化されていた内部を見る。少女は絵本で目をそらす。

「....」

ドゥーロは動揺しない。

「貴方は衝撃的な事実を述べられたのに動揺していないですね。何故だと思います?」

「....分かる訳も無いし知る理由も無い」

「それじゃ勝手に答えますね。それは貴方に服従回路プログラムが設定されているからです」

「服従回路?」

「貴方は悪徳組織に入り殺人を行うと言う服従回路です」

「.....」

「貴方は素晴らしい。孤児院を守ると言う人間としての良さ。服従や人の良さにより罪の重さを感じる事無くまさにプログラム通り実行出来るロボットの良さ。この二つが揃っています」

「俺は.....」

「貴方は服従回路があったからためらいも無く人を殺せたんです……」

「俺は人間だ。人間であったはずだ」

「そうかも知れませんが、今この現実を受け止める方が大切ですよ?」

ドゥーロは今まで殺した人間を思い出す。

「.....」

「貴方に対する矛盾の答えが知りたいです」

「.....俺は何も知らない」

「では選択しましょう。私のように、服従のみを行い人の良さを無くすか。こちらは随分気持ちが楽ですよ。全てプログラムですから。

それとも、その少女のように優しさで自己犠牲を繰り返すか。今の貴方のままでいるか。ただ、今まで背負っていなかった罪を大きく背負う事になります。

どっちがいいですか?」

「.....答え等無い。俺に貴様を殺すだけだ」

「その判断こそ、貴方らしいです。しかし、貴方は此処で私が殺します!ヒヒッ!楽しみですねー!」

θ=φは腕を広げ、腕から剣型の金属を大量発生させ、翼のように広げる。

「ターゲット確認、排除シマス」

ドゥーロは身体を結晶化させる。

「.....」

二人の闘いは驚異的だった。しかし、ドゥーロがθ=φを破壊する。

「貴様、何故手を緩めた」

「貴方が奇跡と言う一言で勝って欲しくないからですよ♪私の主力電源の鍵が壊れてしまいましたのでもう私は駄目だと考え、手を緩めましたー!」

ドゥーロはθ=φを見捨てそしてすぐに子供達を助ける。絵本を持った少女も手伝う。

「.....」

少女が持つ絵本のタイトルは、ピノキオ。少女は絵本を落とし最後のピノキオが人間になったシーンが見開く。

「あ、絵本が....!」

「懐かしいな。昔見ていた特撮ヒーローを思い出したよ」

ドゥーロは涙を流す。ピノキオは人間になれた事を嬉しそうにはしゃいでいた。

「ピノキオは嬉しそうだな。俺は.....分からない。俺には.....」

ドゥーロは自分の機械仕掛けの身体を見る。

「俺はあのまま服従すべきだったのか.....?俺は.....」





「作戦完了」

ドゥーロは大量の血を腹から吹きだした状態でイスに座り込んでいた。θ=φはイスに座って腕の武器である催眠薬を元の腕に戻す。

実はある所から、ドゥーロはθ=φにより催眠をされていた。武器と言っても殺傷する為の武器のみでは無く相手を混乱させる、毒状態にさせる等の武器を腕から制作可能。

「ドゥーロは辛うじて生きてますね〜!私が楽にしてあげます!」

すると、遠くから男がドゥーロを撃つ。

「……?」

男は歩きながらドゥーロに寄る。θ=φは動揺する。

「対象物、確認できません。対象物を殺害出来ません。対象物を認知出来ません。出来ません、出来ません。ドゥーロの暗殺が出来ま……せん」

θ=φが生まれた理由はドゥーロを破壊する為。その目的が果たされずさらに、目の前で自分が殺すべき対象物を殺され、機能にバグが発生する。

「出来ません!ドゥーロを暗殺、私が殺すべき対象物……?」

θ=φは暴走を始める。

「……私はどうして生きているのでしょう」

そして、θ=φは自害をする。結局はプログラムの運命だったのだろう。

男はドゥーロに向かって話す。

「ギブアップか?」

「....俺は」

三【スリーカウントフォール】の回 完

次回 死【14-4=?】の回

「四を死にするなんて……くだらねえな。だが自由で良いぜ!」